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MLB選手会が抗議活動に関して選手擁護を正式発表

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
MLB選手として初めて国歌斉唱中にひざまずく行為を行ったマックスウェル選手(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 米国内で顕在化した人種問題に対するトランプ大統領の対応に各所から不満の声が出る中、NFLの選手が大統領に抗議の意を表すため試合前の国歌斉唱中にひざまずく行為を始めたことで、NFLとドナルド・トランプ大統領が批判合戦を繰り広げ、全面対決の様相を呈している。そんな状況下でアスレチックスのブルース・マックスウェル選が、MLB選手として初めてNFL選手にに同調したことで話題を集めている。

 現時点でマックスウェル選手に追随する選手はまだ現れていないが、それに先駆けMLB選手会のトニー・クラーク事務局長は25日、声明を発表し、選手の権利を尊重していく方針を明確にした。声明の内容は以下の通りだ。

 「我々は常に選手たちが保持する憲法上の権利や表現の自由を尊重し、支持していく。ある問題について議論すべき責務があり、それが続く限り、真剣に取り組みたいと考えている人たちは自らの意見、声を届け、彼らの関心を伝えてるべきだ。現在続いている非暴力的な抗議活動にある希望とは、直面する不和や文化的に否定的な難問に立ち向かうために皆が団結に向かうことだ。…そして我々は現在、そうした活動が最高潮に達しているのを目の当たりにしようとしている」

 声明からも理解できるようにクラーク事務局長は、明確に選手が抗議活動に参加することに全面支持の姿勢を打ち出した。

 ちなみに先陣を切ったマックスウェル選手だが、複数の地元メディアが報じたところでは、彼が抗議活動を開始して以来、人種差別的な中傷を含め様々な脅迫を受けているということだ。しかし彼は警察に被害届を出すつもりはなく、地元紙の『San Francisco Chronicle』の取材に対し以下のように答え、今後も抗議活動を続けていく姿勢を明らかにしている。

 「支持から脅迫までありとあらゆる反応があった。予想はしていた。ただそれはこれまで生きてきた中で体験してきた問題と何ら変わりはない。同じように対処するだけだ。

 今自分がしていることは平和的なものであり、意義を持ってやっていることだ。その自分のやり方を嫌悪する人がいるのなら、彼らは自分たちが問題を抱えていることを理解していないのだろうし、理解しようとしない道を選んだのだ。それはそれで自分は問題ない。

 今回の活動は、我々が問題に直面していることを人々に気づかせることが目的だ。それが現在NFLやNBA、そして野球場でも起こっていることだ。肌や色の違い、やって来た国や文化の違いのために誤解されている人たちがこの国に存在していることを、皆に伝えようとしているんだ。それが今自分が実行していることだ」

 果たしてMLBでもさらに抗議活動は拡散していくのだろうか。ロブ・マンフレッド=コミッショナーの方針も含め、今後の動向に注目が集まるところだ。

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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