なかなか安心出来る状態になってくれない太平洋高気圧
台風19号による豪雨や暴風、高波などにより被災された多くの方々に心よりお見舞いを申し上げます。
広範囲に記録的豪雨
今回、台風19号により東日本や東北地方で降った豪雨の特徴は、その雨のほとんどが24時間以内に集中的に降っていることであり、期間の総雨量とも言える72時間雨量の最大値とあまり変わらないものとなっています。
なかでも台風19号が伊豆半島を直撃した10月12日(土)の24時間雨量の最大値は、神奈川県箱根942.5ミリ、静岡県湯ヶ島717.5ミリ、埼玉県秩父市浦山647.5ミリ、東京都桧原村小沢627.0ミリ、神奈川県相模湖604.5ミリに達するなど、84地点で観測史上1位の記録的豪雨となりました。(1976年以降)
さらに10月13日(日)の24時間雨量の最大値も宮城県丸森町筆甫で588.0ミリに達するなど、59地点で観測史上1位の記録となりました。
また72時間雨量の最大値は、箱根で1001.5ミリと唯一1000ミリ超えとなっています。
箱根で日雨量の全国歴代1位を更新
これまで1日に降った日雨量の記録は、高知県馬路村魚梁瀬で観測された851.5ミリでしたが、箱根ではこれを上回る922.5ミリに達し、全国の歴代1位の記録を更新しました。
しかも、これまで日雨量のランキングはそのすべてが紀伊半島より西の地域で降ったものでしたから、今回東日本で降った大雨のすさまじさが分かるかと思います。
さらに10月の記録では、20位以内に半数以上が入ってしまいました。
風の強さも記録的
今回は雨による甚大な災害が発生しましたが、風に関しても、予想されたほどではなかったとは言え、記録的なものとなりました。
最大瞬間風速は、神津島44.8メートル、横浜43.8メートル(観測史上3位)、江戸川臨海43.8メートル(観測史上1位)、東京都心41.5メートル(観測史上2位)など、東京や神奈川などを中心に、前回の台風15号よりも強い風が吹き荒れ、台風の大きさを物語るように西日本でも所々で30メートル以上を観測しました。
太平洋に気になる雲域
台風19号は温帯低気圧に変わり、すでに日本のはるか東の海上へ遠ざかりましたが、日本の南、太平洋を見渡すと、新たな雲がまとまろうとしているようです。
計算によってはこれらの雲が今後発達することを示すものもあり、気象庁発表の予想図では右側の赤丸あたりで、台風の卵(低圧部L)が発生する予想です。
通常、10月も半ばになると、もうこのあたりの雲はあまり気にならなくなるものですが、なかなかそういうわけにはいかないようです。
平年より強い太平洋高気圧
台風は南にある太平洋高気圧の周りを回るように日本付近に来ることが多く、この時期ならば、すでに太平洋高気圧が日本のかなり南へ退いていることが多いため、台風も日本の南を離れて東進することが多いものです。
ところがまだ南の高気圧が平年より強く、もし台風が発生して日本の南へやってくれば日本付近へ北上させるような状態が続く可能性があります。
なかなか安心な状態にはなってくれません。