ランドリーサービスで通勤電車の負担軽減も-ローソンの事業所内保育所
7月29日にオープンしたローソンの事業所内保育施設「ハッピーローソン保育園」。このメディア向け内覧会が8月4日に行われた。
■事前説明会は半数が男性社員、0~2歳児のための「セーフティネット」に
2005年から女性の積極採用(正規社員の約5割目標)をスタート、2007年には「子育て応援コンビニ」のコンセプトで「ハッピーローソン山下公園店」をオープンするなど、女性の雇用や子育て支援をアピールしてきた同社。育児休暇からの復職率はほぼ100%で、男性の育休取得者も増加中(昨年の男性社員の育休取得率は、短期も含め11人ほど)。また、今回の事業所内保育施設オープンにあたって行った社内向け事前説明会では、参加者の半数は男性だったという。男性の育児への関心が高まっている様子がうかがえる。
事業所内保育施設は2年ほど前から検討されてきたというが、最大の壁となったのは、基準を満たす施設が見つからなかったこと。本社ビルのあるゲートシティ大崎(品川区大崎)イーストタワー内のテナントに空きが出たことで、ようやくオープンが決まった。
施設面積は99.5平方メートル。対象年齢は0歳児(57日目)〜就学前。現在の利用者は4名で、0歳児が3人、1歳児が1人。原則として、自宅近くの保育所に入れなかった保護者(同社とグループ会社の社員)を対象としている。
保育園オープンに携わった、同社ヒューマンリソースステーション・マネジャーの山口恭子さんは、「育児休職後の早期復帰に役立つのでは」と話す。同社では最大3年まで育児休暇を取得できるが、3年間フルに取得する社員は少ない。「キャリア形成を考えたときに、早めに復職したいという声は以前からあった」(山口さん)。しかし、首都圏では待機児童問題が多く、特に0歳児から2歳児までの空きが少ない状況にある。3歳からは自宅近くの保育所へ、それまでの間は事業所内保育施設で、という一時的なセーフティネットとしての利用も見込んでいるという。
■子連れの通勤電車、負担解消のためのランドリーサービス
企業が事業所内に保育施設を設ける際、必ず言われるのが通勤電車問題だ。ベビーカーや子どもを抱っこした状態で満員電車に乗り込むことに不安を感じる保護者は少なくない。
これについて、同社が取った対策はランドリーサービスなどで、徹底して「保護者の持ち物を減らす」こと。通常の保育所の場合、保護者が子どものために毎日持っていく荷物は多い。保育所によっても異なるが、交換のための紙オムツや衣服、ベッドシーツなど。「ハッピーローソン保育園」では、紙オムツは園が常備して提供、衣服も汚れたらランドリーで洗濯してくれるため、毎日持ち帰る必要がない。布団は専用のコットン素材の布団にバスタオルをつけて使用。バスタオルも園で洗濯する。保育料金は、すでにある他社の事業所内保育施設の料金を参考に平均的な額を設定しているという。
7月で1歳になった長男を預けることに決めた佐伯奈美さん(29)は、中途入社3年目。もともとローソンに対して「男性が多く働いているイメージがあった」というが、入社してみて女性も多く(本社ビルでは全社員のうち、女性社員は4分の1程度)働きやすいと感じているという。自宅近くの認可保育所や認証保育所を見学し、3か所に申し込んだが全て入れなかったこともあり、入園を決めた。今月の18日から復職予定だ。
「小売は業界のスピードが速いので、長く育児休業を取ることには不安がありました。早く復帰するために、事業内保育所はうれしい」と佐伯さん。通勤時間はそれ程長くないが、それでもやはり手荷物が少なくてすむランドリーサービスはありがたいと言う。
「妊娠中や育休中の社員はもちろん、これから結婚や出産を考え、待機児童の問題で躊躇している社員にも『育休を取得後に戻ってくることができる』というメッセージを伝えたかった」と山口さん。子育て中の社員が働きやすい社会に向けて、大企業でも挑戦が続いている。
■名称:ハッピーローソン保育園
■園児定数:20人
■対象者:株式会社ローソン、株式会社ローソンHMVエンタテイメント、株式会社ローソンマートの社員の乳幼児
■対象年齢:0歳児(57日~就学前)
■職員:園長1名、常勤保育士2名、非常勤保育士2名
■施設面積:99.5平方メートル
■設備詳細:乳児室、保育室、調乳室、事務室
■保育携帯:月極保育・祝日保育(認可保育園などに入っている子どもでも、社員が祝日に出勤し、保育所に預けられない場合は利用することが可能)
※一時保育・病児保育・病後児保育はナシ
■保育時間:通常保育 8時~18時15分、延長保育 18時16分~19時(追加料金は500円、半額を会社負担)
■開園日:月曜日~金曜日・祝日
■休演日:土曜日・日曜日・年末年始