名門女子大生の性売買も…北朝鮮「カラオケ文化」の問題点
北朝鮮当局はこのほど、画面伴奏音楽機(カラオケ機器)を設置した地方の飲食店に「資本主義の温床だ」として閉鎖を通知したと、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じている。北朝鮮の歌だけが入った機器を使用している店であっても、問答無用で廃業を命じられたとのことだ。
娯楽の限られた北朝鮮において、飲食店でのカラオケは人々の数少ない楽しみのひとつだ。友人同士や職場の会食、接待にも使われる。
RFAは、今回の措置でどれくらいの飲食店が閉鎖の憂き目に遭ったのかは不明だとしつつも、一時期、多くの店舗が競ってカラオケを導入していた事実を踏まえると、少なくとも全体の半分は閉店させられたのではないかとしている。
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今回の措置の特に厳しいところは、飲食店がカラオケ機器を撤去すれば営業を続けられるわけではなく、これまで設置されていた店は無条件で閉鎖させられたことだ。また、閉鎖された飲食店の責任者には、食堂の営業許可が再発行されないのだという。
現地情報筋がRFAに伝えたところでは、「北部の水害復旧作業に動員されながらワイロでこれを回避した若者らがカラオケのある店で遊んでいたことが問題になったため」としているが、果たしてそれだけだろうか。
北朝鮮では経済難の深刻化にともない、薬物や性売買などの違法行為が蔓延の度を増しているとされる。それらのうち、特に性売買は多くの場合、飲食店やサウナの個室が現場となる。
たとえばコロナ前に摘発された「青春食堂」は、従業員が美人ぞろいで繁盛していたが、そこにはこんな暗黒面があった。
青春食堂には他の店と同様、カラオケを備えた複数の個室があった。店はそこに入った客に対し、相場よりやたらと高い料理を注文させ、その利益はすべて店に入る。一方、客に付いた女性はサービスに応じたチップを受け取り、それはすべて彼女のものになる――。
さらに2020年7月には、名門女子大の学生ら200人が、総合レジャー施設内のカラオケ店での性売買に加担させられ、首謀者らが処刑される事件があった。
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また性売買ほどでなくとも、中国人客が卒倒するほどの過激な「個室サービス」を売り物にしていた店もあるとされ、「腐った資本主義文化」を目の敵にする金正恩政権にとってカラオケは、非常に問題の多いものだったのかもしれない。