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花火大会のカメラマン席ってどうなの?最近のカメラマン席事情と撮影しやすい・しにくいポイント

やた香歩里花火鑑賞士な旅ライター
2023年8月「酒田の花火」(山形)のカメラマン席から撮影。

カメラ人口が増えた昨今、花火写真を撮る人も増えてきました。各地の有名花火大会ではカメラマン席を設けるところも多いです。しかしこのカメラマン席、かなり高価で購入を躊躇してしまう方も多いはず。さてこのカメラマン席ってどんなものなのでしょうか?

※花火大会により、「撮影席」「カメラエリア席」など様々な呼び方がありますが、ここでは撮影者専用に用意されている席・エリアを「カメラマン席」と総称します。

カメラマン席とは?

●主に三脚(一脚等も含む。以下同じ)を使用して撮影できる席またはエリアです。区画だけのところ、パイプ椅子が設置されているところなどいろいろです。

●写真・動画の区別は基本的になし。

●おおむね高価。10000円以上に設定されているところが多く、2024年でこれまでのところ最高値は「The 絶景花火 Mt.Fuji」のVIPカメラマン席55000円(専用美食サービス付き)、続いて「諏訪湖祭湖上花火大会」50000円、「能代の花火」中央カメラマン席30000円、「京都芸術花火」28000円(駐車場、カメラマンビブス、当日の事前花火説明付き)あたりかと思います

2024年4月「桜島と芸術花火」(鹿児島) 「芸術花火シリーズ」のカメラマン席は特殊で、他の観客や設備に邪魔にならない範囲で自由に場所を選んで三脚を立てられる形式が多い。
2024年4月「桜島と芸術花火」(鹿児島) 「芸術花火シリーズ」のカメラマン席は特殊で、他の観客や設備に邪魔にならない範囲で自由に場所を選んで三脚を立てられる形式が多い。

カメラマン席で撮影するメリットは?

カメラマン席のメリットは

●三脚を使って立って撮影できる
基本中の基本ですが、超大事。実際には座って使用することもありますが、後ろの人のことを気にせず撮影できるのはやはり最大のメリットです。

●観覧良好な場所であることが多い
他の観客席より高い位置にあったり、全体を遮るものなく見渡せる場所であったりと、観覧するうえでも良好な場所であることが多いです。

●撮影しない観客とエリア分けができる
撮影しない人にとっては、三脚が邪魔、必要以上にスペースをとっている、と感じることもあるようです。撮影者側も撮影しない人に気兼ねする必要がないので、お互いwin-winです。

●大荷物でも安心
撮影機材で大荷物になっても、スペースが割と広くとられていることが多いので、荷物も安心して持ち込めます。とはいえ、たまにとても狭いエリア設定なこともあります。そういうときは1人で使用するにしても2人分のスペースを購入するなどした方が無難です。

●前の人がスマホを高く掲げてしまうことがない
これは最近とても多いのですが、かなり腕を伸ばしてスマホで撮影しようとする方もいて、どうやっても画面内に前の方のスマホが入り込んでしまうことがあります。カメラマン席であれば、このストレスがなく撮影ができることが多いです。

自席で三脚OKの花火大会で撮影したときのもの。前の人のスマホが映りこんでいます。
自席で三脚OKの花火大会で撮影したときのもの。前の人のスマホが映りこんでいます。

カメラマン席以外では撮影できないの?

撮影ルールは花火大会によりさまざま

花火大会の観覧席の撮影ルールは、大きく分類すると以下の3つ。

1.カメラマン席のみ三脚を使用して立って撮影OK、その他の席では三脚禁止(まれに一脚ならOKのところも)。
2.カメラマン席のみ三脚を使用して立って撮影OK、その他の席では自席で、座った状態・カメラが頭の高さを越えない範囲内で使用OK。
3.カメラマン席も設けず、三脚使用は基本NG。

いずれも、公式サイトやチケット購入サイトの注意事項、「よくある質問」のページなどに書いてあることが多いので、事前に確認しておきましょう。ルールに従わず撮影していると、他の観客や運営側とトラブルになる可能性があるほか、後でSNSで大炎上したケースもあります。

あえてカメラマン席を利用しないカメラマンも

花火撮影に慣れていて、撮りたいイメージなどが決まっている人や、遠方から夜景や添景を入れて撮りたいという人など、あえて会場外からの撮影を選ぶ人もいます。風向きなどを考慮して、当日ベストの場所から撮りたいなどの理由で観覧席はとらない、という人も。

花火撮影に慣れないうちは、カメラマン席が無難

花火撮影に慣れないうちは、高価なカメラマン席を利用することはためらわれるかもしれません。ですが、カメラマン席のようにある程度自分のスペースが確保されていて、周りに気兼ねすることもない場所なら、落ち着いて撮影に集中できます。

慣れてくると、自分好みの撮影場所や、手持ち機材と花火のちょうどいい距離感、また花火撮影の際に周囲に配慮すべきことなどもわかってくるので、それからだんだん撮影エリアを開拓していくとスムーズなのではないかと思います。

2023年11月の「にし阿波の花火」(徳島)カメラマン席から撮影。
2023年11月の「にし阿波の花火」(徳島)カメラマン席から撮影。

カメラマン席って高いよね?

カメラマン席は、一般の席より条件のいい場所(高所やセンター寄りなど)に設置されることが多く、またスペースも普通の1人分以上の広いスペースを必要とするので、通常の席の倍以上の価格となることが珍しくありません。

ざっくり見ると、現在は15000~20000円程度が多いようです。コロナ禍前は5000~8000円というところも珍しくなかったのですが、コロナ禍以降、一気に値段が上がりました。

ただ、2022・2023年はそんな高額カメラマン席も完売は早かったですが、2024年に至ってさすがに勢いが陰り始めたように見受けます。花火大会が多数復活したことや、この価格帯の席を頻繁に購入できる層が限られていることが理由だと思います。また、価格の割に条件の良くない席は勢いが落ちる傾向にあるようです。

カメラマン席ならどこでも撮影しやすいの?

各花火大会で、最大限撮影しやすい場所を配慮しているものと思いますが、残念ながら会場の事情などにより、必ずしも撮影好適ではないカメラマン席もあります。「条件の良いカメラマン席」については好みもありますが、おおむね評判が良いのは以下のような席だと思います。

条件の良いカメラマン席は?

●堤防上やスタジアム上段など、全体を見渡せ、かつセンターまたはセンターに近い位置に設営されている。

●広さが十分にある(150cm×150cm程度あると余裕)

●投光器が近くにない(ただし行ってみないとわからない)

●意外に重要!前が通路になっていない

撮影しにくいカメラマン席は?

「カメラマン席」といっても、必ずしも撮影しやすい場所とは限りません。私ならこれらのカメラマン席はなるべく避けたい、と思うのは以下のような席です。

●前が通路
カメラマン席の前が通路(段差がなく同じ高さの)になっていると、最初から最後までずーっと人が通り続けます。始まったら人が減るかと思いきや、そんなことはありません。また、通るだけならまだいいのですが、花火が打ち上がると通路で立ち止まってスマホで撮影を始める人が出てきます。これがとてもやっかい。
会場図を見て、明らかに前が通路の場合、大三脚と踏み台を持参した方が撮影しやすいと思います。ただし、使用が禁止されていることもあるので、そこは確認を。

●エリア最前列
たまに、エリア最前にカメラマン席が設置されていることがあります。前に障害物がなくて撮りやすいのでは?と思われるかもしれませんが、打上場所に近すぎる場合、対応できるレンズをもっていないと画角に収まらないことが多いです。場所によっては後ろで見ている人のことも気になります。

●区画が指定されていない
エリア自由のカメラマン席の場合、よりよい場所を目指して争奪戦が始まります。早いもの勝ちなので、早く行けない場合は、せっかく高いお金を出したにもかかわらず、人の頭やカメラの後ろから撮影しなければならないこともあります。
逆に早く行ける人にとっては、より良い場所を確保できるチャンス。開場後すぐに入場できるようにスケジュール調整をしたいところです。

エリア内自由のカメラマン席で出遅れたときのもの。手前にずらりとカメラが…
エリア内自由のカメラマン席で出遅れたときのもの。手前にずらりとカメラが…

撮影条件の良かった花火大会は?

最後に、個人的にカメラマン席の条件が良いと思った花火大会をご紹介します。過去の経験によるもので、今年含め今後は席の状況が変更される可能性がありますので、ご承知おきください。

●真駒内花火大会(北海道)
スタンド最上段のセンター付近に設置。高いところから全体を見渡せる。

●酒田の花火(山形)
堤防のり面で、高さはそれほどでもないけれど区画が広く、価格も安い。

●神明の花火(山梨)
堤防上で安定している。ただし花火が近く打ち上げ幅は広いので、全体を撮るには最大クラスの超広角レンズが必要。

●利根川大花火大会(茨城)
堤防上で高さもあり、前に人がいない。ただし後ろは無料エリアとなっているため、賑やかだし人波が押し寄せてきそうでなかなかスリリング。

●にし阿波の花火(徳島)
堤防上で、前を人が通ることなく、後ろにも余裕あり、見やすく撮影しやすい。横1mだが奥行きが3mあったので荷物スペースも余裕。

2022年9月「利根川大花火大会」(茨城)のカメラマン席から撮影
2022年9月「利根川大花火大会」(茨城)のカメラマン席から撮影

花火鑑賞士な旅ライター

宮崎生まれの大阪育ち。人生の約半分を京都で過ごし、現在は千葉在住。もとからの旅好きが、関東移住を機に花火にはまり、旅の目的に花火鑑賞が加わりました。遠くへの旅行も好きだけど、身近なお出かけも好き。どこかで見た素敵なものを、誰かに伝えたい。知って欲しい誰かと知りたい誰かを繋ぎたい。日本酒ナビゲーターで温泉ソムリエで花火鑑賞士な旅人。

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