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遠方の花火好きも集まるその魅力は?「第3回 にし阿波の花火」(2024/11/9開催)レポート

やた香歩里花火鑑賞士な旅ライター

2024年11月9日(土)、徳島県三好市・美馬市にまたがる徳島県西部健康防災公園で「第3回 にし阿波の花火」が開催されました。決してアクセスしやすいとは言い難い場所ながら、花火ファンにも評価が高く、遠方からも多くの人が集まる花火大会です。

競技花火はもちろん、豪華なワイドミュージックスターマイン、珠玉の花火が上がるメッセージ花火など、見どころ盛りだくさんの花火大会でした!

会場の様子や花火の内容、昨年課題となった退出の様子などをレポートします。

見事な晴天で迎えた当日!

今回は、開催数日前まで雨予報が出ていました。台風の影響によるものだったので、好天は難しそう、せめて大雨はやめて…という雰囲気だったのが、2日ほど前からぐんぐん天気予報が好転し、当日は輝くような秋晴れ! 気温も下がりすぎず、野外イベントには最適の気候となりました。

会場には15時前に到着しましたが、今回は日中に音楽フェス「MONTAKA2024」が開催されたこともあってか、早くから多くの人で賑わっていました。

早めに到着できるならとフェスのチケットを購入していたので、フェス会場へ。

フェス会場も広く、後方にテーブル席(音楽フェス付き花火チケット購入者専用)、ステージ前は広いスペースがとられていて、音楽に合わせて体を揺らしながら楽しんでいる人もいました。私は音楽フェス未体験だったので、こんな風に楽しむんだー、と新たな発見。(公演中は撮影禁止だったので、写真無しですみません)

ただ、私の花火観覧席は三好側入口(会場西側)に近く、フェス会場は美馬側入口近く(会場東側)と、会場の端から端への移動で、用事で席に戻るとなかなかフェス会場に戻れなくなり…。撮影準備もあったので、せっかくのフェスが堪能できずでした。もうちょっとゆっくり楽しめるように段取りしていくべきだったなあ、と、反省…。

日没とともに開始時間が近づく

そうこうしているうちにあっという間に日没が迫ってきました。

私は前回に続き、カメラマン席を購入していました。
チケット販売初日、開始時間にはプレイガイドのサイト(私はチケットぴあで購入)に入ることもできない状態で、数分後にようやく購入画面に到達したころには無情の売り切れ。さすが人気のカメラマン席…。ですが諦めず何度もリロードを繰り返していたら、誰かが購入を途中でやめたのか、購入が成立しなかったのかはわかりませんが、ひょっこり復活。無事にゲットできました。

「にし阿波の花火」のカメラマン席は堤防上に設けられており、堤防のり面は観覧エリアではないので、前に人が立つことも、横切ることもなくとても快適。

そして今回も、開始前に大体の筒場の位置と距離を示した説明書きをいただけました。いろんな花火大会のカメラマン席を利用していますが、このような配慮は、撮影者向け事前説明会を特典としている「芸術花火シリーズ」のカメラマン席を除き、他で経験したことはありません。

ちなみに、今回の打ち上げでは、カメラマン席から、ワイドスターマインの筒場まで約320mとのこと。

前回はAPSCセンサーのカメラで10mm(フルサイズ換算16mm程度)の超広角レンズで撮っても、一部が画角に収まりきらなかったので

2023年の「第2回 にし阿波の花火」でカメラマン席から撮影。
2023年の「第2回 にし阿波の花火」でカメラマン席から撮影。

今回はフルサイズのカメラで12mmの超広角レンズを使用。

このサイズだと余裕で全体が収まりました。

2024年の「第3回 にし阿波の花火」でカメラマン席から撮影。
2024年の「第3回 にし阿波の花火」でカメラマン席から撮影。

オープニングセレモニーでは徳島ならではの花火も

18時を迎えいよいよ開始…かと思いきや、渋滞でシャトルバスの到着が遅れており開始を少し遅らせるとのアナウンス。

オープニングセレモニーが始まったのは18:15頃だったと思います。

主催者や主賓の挨拶などがあり、その後に、昨年同様、徳島県美波町の赤松煙火保存会による、吹筒花火が披露されました。

吹筒花火とは、その歴史を江戸時代にまで遡る独特の花火。高さ約10mの竿の先に火薬を詰めた竹筒をつけ点火するという豪快なもので、徳島県と美波町の無形民俗文化財に指定されています。

県外の人間にとっては非常に珍しいもので、こういう企画は嬉しいですね。この花火の撮影用に望遠レンズを用意している方もおられましたが、私はそこまで気が回っていなかったので残念ながらうまく撮影できず。この花火をしっかり撮影したい場合は望遠レンズ必須です。

そして、地元徳島県小松島市の煙火店、市山煙火商会による「歓迎尺」の打ち上げ。

3発の尺玉が同時に上がり、千輪の美しい小花が夜空に広がりました。

市山煙火商会は、地元では「花火といえば市山さん」といわれるくらい昔から愛されている煙火店なのだそう。この花火大会開幕の尺玉は市山煙火商会の花火が定番です。

吹筒花火と市山煙火商会の花火、2つの徳島県の花火の歓迎を受け、いよいよ「にし阿波の花火」本編が始まりました。

「第3回 にし阿波の花火」開幕!

オープニングスターマイン:丸玉屋小勝煙火店(東京)

オープングスタインの打ち上げ担当は、東京の丸玉屋小勝煙火店。音楽は、生年以外はシークレットで話題のシンガー、tuki.の『ひゅるりらぱっぱ』。アコースティック感の強かった『晩餐歌』とは打って変わって、拍子木や三味線など和楽器の響きが印象的な曲。アップテンポの楽曲が祭り気分をブチ上げます!

丸玉屋小勝煙火店こだわりの紅が夜空を彩ります。小刻みにリズムを刻む下層演出(トラの尾やザラ星)と、ゆったり大玉が上がるパートとの緩急が小気味よく、引き込まれました。

序盤は赤、終盤は鮮やかな虹色の花火で、期待感を高める見事なオープニングでした。

10社による競技花火開始

そして競技花火の開始。

「にし阿波の花火」の競技は、「尺玉芯入割物」「尺玉自由玉」「スターマイン」の3部門で行われます。

尺玉とは直径1尺(約30cm)の大玉花火で、10号玉とも呼ばれます。上空約300mの高さにまで上がり、開いた時の直径も約300mと大きく、各地の競技花火はこの大きさの花火玉で競われることが多いです。

「芯入割物」とは、丸い花火の中にさらに円(芯)が入った、複数の同心円が見られる花火です。「芯の数+一番外側の円」の数の層ができる同心円状の花火で、三重の芯が入った「三重芯」は全体で四重の層、四重の芯が入った「四重芯」は五重の層の花火となります。

菊屋小幡花火店(群馬):尺玉芯入割物「昇曲付 五重芯変化菊」
菊屋小幡花火店(群馬):尺玉芯入割物「昇曲付 五重芯変化菊」

「自由玉」は、基本的に「芯入割物」以外の花火を指します。まさしく自由な発想のもと、多彩なデザインの花火がみられます。

マルゴー(山梨):自由玉「ネオイルミネーション」
マルゴー(山梨):自由玉「ネオイルミネーション」

「スターマイン」は「速射連発花火」のことで、たくさんの花火を一気に打ち上げる方式。打ち上げる花火の形やタイミングで多彩なイメージを描きます。「にし阿波の花火」では音楽に合わせたスターマインが披露されます。

小松煙火工業(秋田):スターマイン「苔むす森 ~緑が放つ神秘の世界~」
小松煙火工業(秋田):スターマイン「苔むす森 ~緑が放つ神秘の世界~」

10社いずれも素晴らしく、とても見ごたえのある競技だったのですが、競技全部を振り返っているとさすがに長くなりすぎるので、優勝煙火店の作品と、個人的に強く印象に残った作品を振り返りたいと思います。

なお、競技花火の結果は翌日10日に発表されました。

優勝:伊那火工堀内煙火店(長野)
準優勝:マルゴー(山梨)

伊那火工堀内煙火店は2023年に続き優勝!二連覇おめでとうございます!

まずは優勝の伊那火工堀内煙火店の作品を簡単にご紹介します。

尺玉芯入割物:昇り銀竜付 四重芯菊先紅緑銀乱

見事な真ん丸、そしてとても層のはっきりした綺麗な四重芯でした。今回は割と芯が崩れてしまったものが多かった中、一番しっかりした芯が出ていたと思います。

尺玉自由玉:乱れ飛ぶ色彩蜂

タイトル通り、大きく広がった花火の中で小さな光が蜂のように動きます。点滅も長く続き、余韻の残る花火でした。

スターマイン:吉野川の合戦 ~華火絵巻~

個人的にとても印象が強かったのはこのスターマインでした。

音楽は「鎌倉殿の13人」のテーマ曲。インパクトの強い出だしから、加速していくメロディに合わせ次々に花火が開きます。序盤は緑と紫の花火が交互や対称に上がり、徐々に入り乱れていく、物語性の高い構成。

3部門揃って高い完成度で、納得の優勝です。

【尺玉芯入割物】

優勝作以外では、岸火工品製造所(徳島)の「引赤キラキラ 四重芯変化菊」もかなりきれいに層が出ていて印象に残りました。

片貝煙火工業(新潟)は、四重芯・五重芯が並ぶ中、「昇曲導付三重芯変化菊」を出してきました。バランスのとれた豪快な三重芯は迫力がありました。

左:岸火工品製造所「引赤キラキラ 四重芯変化菊/右:片貝煙火工業「昇曲導付三重芯変化菊」
左:岸火工品製造所「引赤キラキラ 四重芯変化菊/右:片貝煙火工業「昇曲導付三重芯変化菊」

【尺玉自由玉】

小松煙火工業(秋田)の「苔むす大樹」は、今年の「全国花火競技大会(大曲の花火)」などでも出品されていた作品。暗い和火が大きく広がる中に、緑の光が散らばり、タイトルの表現が見事です(しかし和火は現像が難しい…)。

菊屋小幡花火店(群馬)の「ブルーインパルス」は、深い青を背景に、白い光がすーっと伸びていき、まさに青空を飛行機が滑空するよう。青の色味もきれいでした。

左:小松煙火工業「苔むす大樹」/右:菊屋小幡花火店「ブルーインパルス」
左:小松煙火工業「苔むす大樹」/右:菊屋小幡花火店「ブルーインパルス」

【スターマイン】

岸火工品製造所(徳島)のスターマインは、米津玄師『海の幽霊』に乗せて、青と金で構成された演出。青の中にキラキラ輝く光は、タイトル通り夜空の星を表しているのだと思いますが、私には海に光る夜光虫に見えて、それはそれでとても幻想的でした。

岸火工品製造所:スターマイン「結光 ~星と海が出会った物語~」
岸火工品製造所:スターマイン「結光 ~星と海が出会った物語~」

信州煙火工業(長野)のスターマインは、「全国花火競技大会(大曲の花火)」でも打ち上げられた「信州の星空」。和火の花火をベースに、キラキラと点滅する星をちりばめ、眼前に澄んだ星空が広がりました。TSUKEMEN『星唄』のピアノと弦楽器の穏やかな曲調の中、弦の響きに合わせるように星が煌めき、心ゆさぶられる作品でした。

信州煙火工業:スターマイン「信州の星空」
信州煙火工業:スターマイン「信州の星空」

豪華すぎるメッセージ花火のラインナップ

個人や企業のメッセージを読み上げて花火を打ち上げるメッセージ花火は、各地の花火大会の定番プログラムですが、このメッセージ花火も「にし阿波の花火」では一味違います。

メッセージ花火は10発上がりましたが、すべて異なる煙火店の花火で、しかも今回競技に参加していない煙火店のもの。つまり、観客は、競技参加した10社に加え、さらに10社の花火を見ることができたことになります。

プログラムには煙火店名と玉名も記載されており、北日本花火興業(秋田)の「天空のユートピア」や野村花火工業(茨城)の「キラキラ万華鏡」など、代表的な作品も見られました。

左:北日本花火興業「天空のユートピア」/右:野村花火工業「キラキラ万華鏡」
左:北日本花火興業「天空のユートピア」/右:野村花火工業「キラキラ万華鏡」

個人的に注目している福山花火工場(千葉)や華松煙火(長野)の作品が見られたのも嬉しかったです(まだ各社の地元以外ではあまり見られないので)。

左:福山花火工場「虹霓(こうげい)」/右:華松煙火「昇り曲導付 翠緑に風薫る」
左:福山花火工場「虹霓(こうげい)」/右:華松煙火「昇り曲導付 翠緑に風薫る」

花火をあまり見ない人には、これがいかに豪華なことかあまりピンとこないと思うんですが…。たとえば地元の子供たちが、大きくなって少しずつ花火に興味を持ち始めたときに、「うちの地元、すごい花火玉が上がっていたんだなあ…」と気づくとしたら、ちょっと嬉しいですね。

各社の個性が光ったワイドスターマイン

競技花火の間のワイドミュージックスターマインは、オープニングの丸玉屋小勝煙火店のほか、4社の作品が披露されました。

「感謝の華」 小松煙火工業(秋田)

2024年の「全国花火競技大会(大曲の花火)」で総合優勝を果たし、内閣総理大臣賞に輝いた小松煙火工業によるワイドスターマイン。音楽はアンジェラ・アキ『HOME』でした。

ちょっと煙が溜り気味だったのが惜しすぎる…
ちょっと煙が溜り気味だったのが惜しすぎる…

全体的に、どちらかというと押さえた色味で、だからこそ花火の形の美しさや点滅の輝きが際立ちます。曲に合わせたゆったり目のテンポで1つ1つの美しい花火をじっくり楽しめました。

「にし阿波の花火」実行委員会の地域に対する想いを伺っていたので、改めて聞くと歌詞にグッときます。

「『艱難汝を玉にす』力強く、前に進むための歌」マルゴー(山梨)

プログラムタイトルが非常に文学的ですね。「艱難汝を玉にす」とはフランス由来のことわざだそうですが、「苦しみや困難を経て立派に磨かれた人間となる」というような意味をもちます。オペラやクラシック音楽が入りそうに思いきや、流れてきたのは米津玄師『ピース・サイン』。アップテンポで攻撃的な曲調で畳みかけてきます。

ちなみにこのプログラムは株式会社エス・ビー・シー提供なのですが、同社提供のワイドスターマインは2019年(第1回)、2023年も米津玄師さんの楽曲が使われています。そういえば米津さんは徳島県出身でしたね。

マルゴーらしい複雑な動きをする時差式花火もたくさん。
マルゴーらしい複雑な動きをする時差式花火もたくさん。

マルゴーといえば、電飾を仕込んでいるかのような複雑な変化をする時差玉や、LEDのようと言われる色鮮やかさが特徴ですが、今回は序盤は色味を押さえた中間色の花火が多かったように思いました。そして後半の畳みかけで十八番の時差玉がたくさん開きました。

テーマファイア 「響創」伊那火工堀内煙火店(長野)

フィナーレの1つ前のプログラム、「テーマファイア」は伊那火工堀内煙火店が担当。曲はTwo Steps From Hellで、序盤は『Freedom Fighters』が流れました。花火の打ち上げ方も、色味を押さえた印象ですが、複雑な下層演出、長く流れ落ちる柳、色彩に派手さはなくても思わず拍手が起こる演出力に脱帽です。

後半は『Shiver Me Timpanis』、一転して勇壮な曲調に合わせ、打ち上げ音まで計算された演出、「笛」という音の鳴る花火の使い方など、「これぞミュージックスターマイン!」といいたくなる音と花火の競演は圧巻でした。

要所要所で空間を睥睨するように上がる大玉花火が生き物のようにさえ見えてくる。終盤、下層に煙が溜りがちだったのが残念でしたが、それでも飲み込まれるような迫力でした。

グランドフィナーレ「月燁雷輝」岸火工品製造所(徳島)

最後を締めくくるグランドフィナーレは、毎回、地元徳島の岸火工品製造所が担当します。

アナウンサーのコールのあと、しばし静寂があり、音楽が鳴り始める前に数発の花火の発射音。

花火が開くと同時に流れた曲は、ベートーベンの『交響曲第5番』、そう、『運命』です。花火の打ち上げから開くまでの時間をドンピシャで合わせてきました。

そして赤い花火が上空で、地上で炸裂。

伸びる音の響きに乗るようにぐーんとザラ星が流れて行き、その上に開く大玉。大玉の1つ1つも形が美しい。

目まぐるしく変わる曲調をとらえ、不穏さも優雅さも表現するプログラム。音との合わせ方も多彩な花火玉も素晴らしく、もしベートーベンが見ることができたら、もう一曲くらい交響曲ができるのでは…なんて思ったり。

2019年はベートーベンの『交響曲第9番』、2023年は『カルミナ・ブラーナ』だったので、重厚なクラッシックがフィナーレを飾るのが定番になっていますね。

来年もまた見たいと思わせる、素晴らしいフィナーレでした。

昨年課題となった退出は…

2024年の退出時の様子は?

素晴らしい花火を堪能し、いよいよ退出。2023年は会場出口の滞留と駐車場へのシャトルバスの長時間待ちが発生していました。

2024年は、会場出口に関しては、JR行き、バスツアー、シャトルバスなど、列を分けて案内されていて、すんなり通ることができました。

駐車場(シャトルバス)利用の場合は…

駐車場へのシャトルバス待ちについては、発着場を拡大しバスの台数を増やすなどの対策がとられており、昨年よりはスムーズだったのではないかと思います。加えて会場内の出店は23時まで営業して長く滞在できるようにする、JRで移動できるエリアにも駐車場を設けるなど、主催者側は相当に対策を練っていました。

ただ、花火大会終了間際に、まさかの四国全域での大規模停電が発生。そのため信号が止まる、周辺で事故が発生するなどのトラブルがあり、その影響でかなり長時間待ちになってしまった方々もおられたようです。

JR利用の場合は…

私はJR利用でしたが、最寄りの江口駅までのルートは、出口を出て堤防に上がる手前で少し滞留、堤防道路上でバスツアーの方々が滞留していた箇所がありそこで詰まってしまうということはありましたが、会場を出てから45分ほどで江口駅に到着することができました(通常は徒歩30分程度の距離)。

江口駅は、2023年はまったく混雑なくホームに入ることができたのですが、今年はJR利用者が増えたのか、駅前に入場待ちの長蛇の列ができていました。私は阿波池田駅方面だったので、それでも電車が来たらスムーズに乗ることができましたが、徳島方面行きは列が長く、到着便に乗り切れず次の便に回るような感じで、最終便の時間までかなりの人が並んでいたようです。花火終了が30分ほど押したのも、遅い時間の便に人が集中した原因になったかと思います。

停電の影響での列車遅延が心配でしたが、私が駅に到着した頃にはその様子は見られませんでした。

JRに関しては、来年以降さらに利用者が増えるような気がします。

  *  *  *

終了後の混雑は「にし阿波の花火」固有の問題というわけではなく、いろいろな花火大会で発生しています。駅で2時間並んだとか、駐車場から長時間出られなかった、というような話を聞くこともあります。

「にし阿波の花火」の場合は、まだ回数が浅いので毎回状況が変わり、観客の方も先が読めないので不安になってしまう部分もあるのだろうと思います。

長時間待ちも、わかっていれば対策する人が増えてくるので、今回はシャトルバス待ちを避けて駐車場まで1時間以上かけて歩いたという人も結構いたようです。運営側の対策と観客側の慣れの積み重ねで、状況は今後も改善されていくのではないでしょうか。

とはいえ、基本的に、最後まで満喫してすんなり退場、すんなり駅へ、またはシャトルバスで駐車場へ、そしてすんなり帰着…というのは難しいだろうと思います。今後も不測の事態が起こらないとは言えないですし、帰路は時間がかかることを織り込んだうえで観覧されることをお勧めします。

遠くても来てよかったと思える花火大会

花火の満足度は大変高い花火大会で、カメラマン席での打ち上げ場所の説明などもそうですが、会場内にはスタッフも多く、出店やトイレもたくさん設置されており、またパンフレットの内容が詳細だったり、SNSと公式サイトの両方でちゃんと情報更新されたりと(どちらかしか更新しないところは意外に多い)、細かいところで観客への配慮が感じられます。

会場内にあった、打上筒のオブジェ。参加10煙火店の名前が入っています。こういうところにも、煙火店に対するリスペクトを感じます。
会場内にあった、打上筒のオブジェ。参加10煙火店の名前が入っています。こういうところにも、煙火店に対するリスペクトを感じます。

今年も見に行って良かったと思える花火大会でした。今後、チケットやアクセスしやすいエリアの宿はさらに争奪戦になるんだろうなあ…と、今から心配です(笑)

来年こそは見てみたい…と思われた方は

近隣の方はともかく、遠方からの場合、早めに計画を立てること必須の花火大会です。近隣に宿泊施設が少なく、チケットを押さえてから宿を探そうか…というペースだと、宿がとれない(あるいはめちゃくちゃ高い)可能性があります。

チケットや駐車場も、人気席や良い場所は早くに完売してしまいます。チケット販売当日のしかも販売開始時間にスタンバイしていないと確保が難しいような席もあります(カメラマン席やペア席など)。

2024年は8月6日に公式からの開催告知があり、チケットは9月8日の発売でした。遅くとも夏ごろには公式サイトをチェックする、公式SNSをフォローしておくなどして(個人的には今すぐSNSフォロー推奨)、情報をつかんでください。

告知される前でも、前年の情報を参考に、どういう交通手段で行くか、宿泊はどうするか、どのチケットをとるかなど(来年は変更があるかもしれませんが、どんな席を利用したいかだけでもイメージしておく)、ある程度計画を立ておくほうがスムーズです。

個人で手配が難しい方は、バスツアーなども多数催行されていたので、その情報も参照しておくとよいと思います。

2024年の情報の詳細は「にし阿波の花火」公式サイトにてご確認ください。

「にし阿波の花火」公式サイト

また、2024年9月に、「にし阿波の花火」開催の経緯やこの花火大会に込めた想いなどを「にし阿波の花火」大会長の藤川修誌氏に伺うことができましたので、ご覧になってみてください。

2024年11月9日開催「にし阿波の花火」 10月6日のチケット再販直前に、魅力の源を主催者に直撃!

花火鑑賞士な旅ライター

宮崎生まれの大阪育ち。人生の約半分を京都で過ごし、現在は千葉在住。もとからの旅好きが、関東移住を機に花火にはまり、旅の目的に花火鑑賞が加わりました。遠くへの旅行も好きだけど、身近なお出かけも好き。どこかで見た素敵なものを、誰かに伝えたい。知って欲しい誰かと知りたい誰かを繋ぎたい。日本酒ナビゲーターで温泉ソムリエで花火鑑賞士な旅人。

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