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藤浪晋太郎のトレードは本当にすごい!経験者・上原浩治が語る最下位チームからの大抜擢の価値

上原浩治元メジャーリーガー
(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 うれしいサプライズなビッグニュースが飛び込んできた。

 アスレチックスの藤浪晋太郎投手のオリオールズへのトレードが19日(日本時間20日)に発表された。

 最下位のチームから、ア・リーグでも最激戦区の東地区で首位(19日現在)を走るチームへの移籍である。「めちゃくちゃすごいこと」だと、驚いた。

 今季の藤浪投手は振り幅がすさまじいジェットコースターのようなキャリアを歩んだ。オープン戦で好投して開幕後は先発ローテーションに入ったが、結果を残すことはできなかった。中継ぎに回ると、160キロ超の剛速球でメジャーの打者をねじ伏せる場面が目立った。前半戦終盤から後半戦にかけては、課題の制球も安定してきた。自力で道を切り開き、使い古された言葉かもしれないが、「アメリカン・ドリーム」をつかみとろうとしている。

 ア・リーグ東地区の首位チームが藤浪投手をリストアップし、トレードを成立させた動きを日本メディアはどれほどマークできていたのだろうか。もっと高く評価されていいトレードだ。

 オリオールズが所属する東地区はレイズ、ブルージェイズ、レッドソックス、ヤンキースの5球団で争い、今季のヤンキースは貯金があっても最下位になるほどの激戦地区である。

 オリオールズの本拠地は、私も在籍した経験があるが、夏場は蒸し暑く、投手にとってもタフな環境ともいえる。藤浪投手には加えて、アスレチックス時代よりも注目度は確実に高まり、プレッシャーもかかってくるだろう。私も最下位だったオリオールズから首位のレンジャーズへシーズン中のトレードを経験して肌身で感じた。高校時代の同級生だった建山義紀がいたことで随分と心強かったが、気分は「転校生」のようなもの。藤浪投手もせっかくオークランドの環境に慣れてきた中で、まずは新しいチームに打ち解けていかないといけない。

 それでも、プレーオフを見据え、勝ち上がるために必要なピースとして期待されての補強であることは間違いない。与えられた場面で結果を積み重ねてチームに貢献し、個人としては「勝ちパターン」での起用が増えるようになれば理想的だろう。コツコツとアスレチックスで実績を積んだ「延長」のつもりで腕を振ってほしい。自慢の剛速球を携え、胸を張ってオリオールズのマウンドに立つ姿が楽しみだ。

元メジャーリーガー

1975年4月3日生まれ。大阪府出身。98年、ドラフト1位で読売ジャイアンツに入団。1年目に20勝4敗で最多勝、最優秀防御率、最多奪三振、最高勝率の投手4冠、新人王と沢村賞も受賞。06年にはWBC日本代表に選ばれ初代王者に貢献。08年にボルチモア・オリオールズでメジャー挑戦。ボストン・レッドソックス時代の13年にはクローザーとしてワールドシリーズ制覇、リーグチャンピオンシップMVP。18年、10年ぶりに日本球界に復帰するも翌19年5月に現役引退。YouTube「上原浩治の雑談魂」https://www.youtube.com/channel/UCGynN2H7DcNjpN7Qng4dZmg

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