ロッテによる清田育宏の契約解除は行き過ぎだった
ロッテの清田育宏が契約解除になった。「処分は当然」との声が多い。彼の行動は褒められたものではないが、法を犯した訳ではない。この処分は行き過ぎではないだろうか。
契約解除の最終的なトリガーとなったのは写真週刊誌による不倫報道だ。そして、これが謹慎明けであったことが拍車を掛けた。昨年9月に球団規定を破って外出・外食をしていたとして今年1月から処分を受けていたのだ。
しかし、不倫は所詮当事者間での問題でしかない。家族との修羅場がこれから待ち受けているかもしれないが、それは身から出た錆だ。最終的に離婚に至るかもしれないし、高額な慰謝料を背負うことになるかもしれない。それらにはしっかり向き合うしかない。また、おそらく球団との契約においては、スキャンダルが露呈した場合の契約解除に関する条項もあるのだろう。法的根拠もなしに、契約を破棄することはできないからだ。一方で見落としてはならないのは、彼は法を犯した訳ではないということだ。逮捕も起訴もされていない。その点においては、選手の私物を窃取したコーチや危険運転まがいの速度違反で逮捕された選手の事例とは異なる。
清田が謹慎明けだったことは事実だが、コロナ禍での飲食行為で頭を下げている政治家や医師会会長は居るが、だれも再起不能な処分までは受けていない。球団側の主張する「不要不急の外出を複数回行った」ことが、契約解除に値する悪事なのだろうか。野球賭博に手を染めた訳でもあるまいし。
かつて、女性スキャンダルの揉み消しに暴力団を起用した監督のケースでも、(善し悪しは別にしても)争点になったのは、暴力団にカネを渡したことであり、不倫自体ではなかった。このこと自体は正しい(カネを渡した相手が暴力団とは知らなかった、としてお咎めなしとなったことには首を傾げるしかなかったが)。
結局、球団は「不要不急の外出を繰り返した」ことを問題視したのではなく、スキャンダル報道が付いて回ることを恐れ、それに蓋をしたかったのではないか。今年1月からの謹慎処分も、前年の行動を報道された上でのことだ。「不倫はあくまで個人的な問題なので」と周囲の雑音をシャットアウトしてあげる手もあったと思う。
また、選手会は清田を擁護する動きを見せないのだろうか。選手が不利益を被るのを回避するために戦うのが組合の役割だと思うが。