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震災時にSNSで嘘情報発信、偽計業務妨害で逮捕も 安易な拡散にも注意を #専門家のまとめ

前田恒彦元特捜部主任検事
(写真:イメージマート)

能登半島などで発生した震災を巡り、SNSでは架空の住所を記して助けを求めたり、被害状況だと偽って別の津波動画を流したりし、不安をあおる嘘の投稿が相次いでいます。ニセの募金サイトに誘導し、義援金名目で金をだまし取ろうとする投稿もあるとのことです。

こうした投稿は本当に助けが必要な人に対する適切な救助や支援を遅らせることになるし、第三者が拡散することで現場も混乱し、かえって多くの人の命や財産を危険にさらします。遊び半分のいたずらでは済まず、偽計業務妨害や詐欺に当たる悪質な犯罪にほかなりません。過去にも同様の投稿が問題となり、警察によって投稿者が特定され、逮捕されたケースもあります。

善意に基づく安易なデマの拡散にも注意を要します。震災時や災害時には、こうした投稿を目にしたからといって即座にシェアせず、いったん立ち止まり、その真偽を慎重に見極めるという姿勢が重要です。参考となる記事をまとめました。

2016年の熊本地震では動物園からライオンが放たれたなどと嘘の投稿をした投稿者が偽計業務妨害の容疑で逮捕

嘘の情報でも投稿の表示回数に応じて金銭を受け取れるSNSの「収益化プログラム」が最大の原因だと指摘する識者も

センセーショナルで面白おかしい、不安や恐怖心をあおる、伝聞に基づく、他人の困りごとといった投稿は、デマの可能性が高い

投稿者のアカウントがいつ開設され、過去にどのような投稿が行われているのかを確認すること

情報源はあるか、その分野の専門家か、他ではどう言われているか、その画像は本物かなど、ファクトチェックが必要


世の中が混乱し、情報に飢え、不安を抱えている人が多いときこそ、こうした嘘の情報を投稿する投稿者にとっては好機です。混乱に便乗できるし、普段は慎重な人でもだまされやすい素地があるからです。

普段から公的機関や自治体の防災アカウントをフォローしておき、震災時や災害時にはどこの誰かわからない人物による投稿を鵜呑みにせず、複数の公的な情報源の情報と慎重に照らし合わせることで、デマの拡散に手を貸さないようにしたいですね。(了)

元特捜部主任検事

1996年の検事任官後、約15年間の現職中、大阪・東京地検特捜部に合計約9年間在籍。ハンナン事件や福島県知事事件、朝鮮総聯ビル詐欺事件、防衛汚職事件、陸山会事件などで主要な被疑者の取調べを担当したほか、西村眞悟弁護士法違反事件、NOVA積立金横領事件、小室哲哉詐欺事件、厚労省虚偽証明書事件などで主任検事を務める。刑事司法に関する解説や主張を独自の視点で発信中。

元特捜部主任検事の被疑者ノート

税込1,100円/月初月無料投稿頻度:月3回程度(不定期)

15年間の現職中、特捜部に所属すること9年。重要供述を引き出す「割り屋」として数々の著名事件で関係者の取調べを担当し、捜査を取りまとめる主任検事を務めた。のみならず、逆に自ら取調べを受け、訴追され、服役し、証人として証言するといった特異な経験もした。証拠改ざん事件による電撃逮捕から5年。当時連日記載していた日誌に基づき、捜査や刑事裁判、拘置所や刑務所の裏の裏を独自の視点でリアルに示す。

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