新型コロナ・ベストなメンタル対策はやはりワクチン接種
「コロナうつ」など新型コロナとメンタルヘルスについての記事には、正直ウンザリしてきている人も多いと思う。わたしも記事を依頼されても、有益なネタがなく、万策尽きた感を持っていた。
しかし、自分自身も今週末ワクチン2回目の接種を終えることとなり、気持ちが明るくなってきた。しばらくは自粛とマスク生活は続くだろうが、非常に効果の高いことが実証されているmRNAワクチンが、精神的に大きな希望となっているのは間違いない。
睡眠リズムやコミュニケーション、運動など自助に頼っていた新型コロナのメンタル対策もマンネリ化していたなかで、ワクチン接種は感染予防だけでなくメンタル対策にとっても有効な対策であることは強調しておきたい。
ワクチン接種とメンタルヘルスに関しては、ワクチン接種が始まってから日が浅いため、まだ大学や研究所などから査読済み論文という形では発表されていない。しかし、アメリカ大手薬局(コンビニ)のウォルグリーン社が、ワクチンを1回または2回とも接種したと回答した18歳以上のアメリカ人1500人を対象に、今年の4月にオンラインアンケートを行った。その結果、COVID-19ワクチンを接種した参加者の73%が、パンデミックが始まったころと比べて、ポジティブな精神状態になったと回答したという。
やはりアメリカでは、薬局やコンビニなどいたるところでワクチン接種が可能であるなど、ワクチン接種が大規模かつスピーディに行われていることが、安心感につながっているようである。この調査において、ワクチン接種済みの人たちの間で共有されている感情は「安心感」(64%)で、次いで「感謝」と「楽観」となっていた。
ワクチン接種が広まる前は、ワクチンに対する不安もかなりあったようである。29%の回答者はワクチン接種に躊躇し、ワクチン接種が最善の方法であると判断するまで、不安や恐怖など、さまざまな感情をもっていたようだ。躊躇のあった人の6割は、40歳以下の女性が占めていた。
ほとんどの人は「ほかの人に感染させたくない」という他者配慮的な動機だったが、アーリーアダプターの大半の動機は、「自分の安心・安全」であった。日本でみられた、役所に押しかけて公務員に罵声を放っている人には、接種予約手続きの不便さももちろんだが、不安のあまり、自分のことしか考えられなくなった人も混じっているだろう。
コロナ禍で、特に女性の自殺者の増加や、子どもなど若年層のメンタルヘルスの問題が明らかになっている。上記で示した重要項目である「安心感」は、現状の感染・ワクチン政策や東京オリパラ準備の並行で、はたして得られるのだろうか。
国民の不安・不満も強くなっており、自助では限界を迎えていることは明らかだ。アメリカのような圧倒的な物流と合理的な柔軟性を日本に求めるのは難しいが、メンタルヘルスの観点からも、一刻も早いワクチン接種が望まれる。
COVID-19 Vaccine Helps Alleviate Pandemic Fears and Anxiety – 73 Percent Say Getting The Vaccine Has Positively Impacted Their Mental Health, Walgreens Survey Finds. Walgreens Newsroom. Published May 6, 2021. Accessed May 16, 2021.