紙巻たばこか加熱式たばこか…喫煙者のたばこの種類の実情をさぐる(2020年公開版)
喫煙者における加熱式たばこの普及状況
たばこ関連の話題の中で最近スポットライトを浴びているのが、加熱式たばこの存在。紙巻たばこのようにたばこの葉を燃焼させず加熱して使うたばこで、日本では2015年に発売されたiQOSをきっかけに知名度が上がり多くの人が利用することとなった、新しいスタイルのたばこ製品である。今回は2020年1月に発表された定期調査「国民健康・栄養調査」(※)の最新版となる2018年分における概要報告書から、加熱式たばこの利用実情を確認する。
今調査の結果においては、成人男性の喫煙率は29.0%、成人女性の喫煙率は8.1%となっている。なお現在習慣的に喫煙している人とは、たばこを毎日吸っているか時々吸う日があると回答した人を意味する。
そこで習慣的に喫煙している人にどのような種類のたばこを吸っているかを「紙巻たばこ」「加熱式たばこ」「その他(きせるなど)」の選択肢から複数回答で尋ねた結果が次のグラフ。「その他(きせるなど)」はごく少数の回答だったため今回の精査では除外する。
男性では全体で77.0%が紙巻たばこ、30.6%が加熱式たばこ。後述するが足すと100%を超すため、併用している人も少なからずいる。年齢階層別ではおおよそ20~30代では紙巻たばこの使用者は少なめで加熱式たばこは多め、40代以降になると紙巻たばこが増え、加熱式たばこは減っている。新しい喫煙スタイルともいえる加熱式たばこは男性若年層には大いに受け入れられている。
女性では全体で84.9%が紙巻たばこ、23.6%が加熱式たばことなり、男性よりも加熱式たばこの使用率は低い。年齢階層別では加熱式たばこの使用率は30代がピークとなるがそれでも46.2%で半数は超えていない。男性と比べると女性における加熱式たばこの浸透状況は今一つのように見える。
紙巻と加熱式の併用実情
喫煙者にとって紙巻たばこか加熱式たばこかはどちらか一方のみを選択しなければいけないわけではない。状況に応じて使い分けてもまったく問題はない。そこで習慣的に喫煙している人における使用するたばこの種類の組み合わせを尋ねた結果が次のグラフ。「紙巻たばこと加熱式たばこ」には、紙巻たばこと加熱式たばこの双方を回答した人に加え、さらに「その他(きせるなど)」も回答した人(つまり紙巻たばこ、加熱式たばこ、きせるなどをすべて使っている人)も含まれる(該当者は1人のみ)。
紙巻たばこと加熱式たばこを併用している人は男性で8.5%、女性で8.8%。年齢階層別で見ても多くて1割程度で、少数派でしかない。喫煙当初から使っていたのか、元々紙巻たばこを使っていたのが加熱式たばこに切り替えたのかはともかくとして、加熱式たばこ使用者の多くは、加熱式たばこのみで喫煙していることになる。
男性は20~50代で併用をしている人が1割程度いるが、女性では1割以上は30~40代に限定されているのも注目に値する。もっとも、加熱式たばこ使用者における紙巻たばことの併用者の割合を計算すると、異なる側面が見えてくる。
70歳以上は少数のためイレギュラーな値が出ているが、それ以外でも男女ともにおおよそ若年層ほど併用者の割合は少数だが、男性は少しずつ値が増えていくのに対し、女性は40代で大きく増える動きを示している。40代以降の女性喫煙者には加熱式たばこに完全に切り替えられない理由、あるいは紙巻たばこの使用も続けたいこだわりがあるのだろうか。
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※国民健康・栄養調査
健康増進法に基づき、国民の身体の状況、栄養素など摂取量および生活習慣の状況を明らかにし、国民の健康の増進の総合的な推進を図るための基礎資料を得ることを目的とした調査。2018年調査分における調査時期は2018年11月中、調査実施世帯数は3268世帯で、調査方法は調査票方式。
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