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倉庫から発掘 渋谷公会堂でのBOφWY解散宣言ライヴ映像、完全オリジナル版が4K映像化

ふくりゅう音楽コンシェルジュ
BOφWY 写真:ユニバーサル ミュージック

●今年でデビュー35周年を迎えたロックバンド、BOφWY

2017年9月25日、渋谷の巨大ヴィジョンにBOφWYのロゴがデザインされた映像が映し出されファンの間で話題となった。

なぜ渋谷だったのか? 

実は30年前、BOφWYは1987年12月24日に渋谷公会堂で突然の“解散宣言”を発表した。解散宣言の3ヶ月前、9月5日にリリースしたアルバム『PSYCHOPATH』が、チャート1位を記録しているにもかかわらずだ。まさに人気絶頂期での解散だった。その際に収録された映像は、5台のフィルムによるカメラで撮影されたが、その後、躍進するメンバーのソロ活動への配慮もあってかリリースされることはなかった。

時は経ち、渋谷公会堂での伝説の一夜から14年後。倉庫からフィルムが発掘され2001年12月24日にドキュメンタリー性の強いライヴ映像作品『1224』としてVHSとDVDでリリース。しかし、人気曲「ONLY YOU」はフィルムの劣化により数十秒間フィルムの欠損があり、ライヴは素晴らしいものであったが一部不完全な作品となった。画角も4:3(スタンダード)での編集であり、後にBlu-ray化もされたがフォーマットに不満が残った。

●12月24日『BOφWY 1224-THE ORIGINAL-』発売へ

今回、あらたにオリジナル・フィルムが倉庫から発見されたことによって、欠損した「ONLY YOU」の完全ヴァージョンを含めHD化および4K・HDR化され、16:9(ワイド)の画角でのライヴ映像作品『BOφWY 1224-THE ORIGINAL-』として、2017年12月24日にリリースされることが発表された。

発掘されたオリジナル・フィルムは、LAのスタジオで4Kスキャニングされデジタル映像データ化。BOφWY作品を数多く手がけた映像ディレクターである前嶋輝氏が、30年の時を経て新たな編集を施している。

前嶋氏は、バンドは不在だが現存する会員制オフィシャル・サイト『BOφWY HUNT』でのインタビューで、BOφWYならではの動画編集について語っている。

前嶋:BOφWYに気がつかせてもらったことがあるんですよ。ひとつ教えてもらったというか。それまでは音で切る、音で編集カット点を切るっていうのを割と普通に思っていました。小節ごとに、音で切っていくという。でもBOφWYでは、音ではなく“動き”=アクションで切っていったんです。まぁ音で切る所もあるんですけど、基本アクションつなぎっていうか、ヒムロックのアクションだったり、布袋君のステップとか。もう、音だけじゃないんですよ。それをやり始めたのがBOφWYが僕の中で最初でした。それ以降も割とアクションつなぎを大事にしてきました。

出典:『BOφWY STORY ARCHIVE Vol.8 より』

●熱狂する会場にカウントダウンのごとく緊張感がほとばしる

『BOφWY 1224-THE ORIGINAL-』の見どころは、当時、まだ20代だった氷室京介(Vo)、布袋寅泰(G)、松井恒松(B)、そして30代に突入していた高橋まこと(Ds)による切れ味の鋭い演奏と躍動感あふれるパフォーマンスだろう。注目すべきは、メロディアスながらもパンキッシュでエッジーなサウンドの魅力はもちろん、アンコールで“解散宣言”をファンに伝えなければならなかった氷室京介による葛藤の表情だ。1曲1曲が進むごとに、熱狂する会場の雰囲気にカウントダウンのごとく緊張感がほとばしる。

『BOφWY 1224 -THE ORIGINAL-』写真:ユニバーサル ミュージック
『BOφWY 1224 -THE ORIGINAL-』写真:ユニバーサル ミュージック

●解散宣言直前、氷室京介がチラリと布袋寅泰を見るワンシーン

同年夏に、神戸と横浜でおこなわれた、通称4時間ライヴと呼ばれる、全39曲を披露した集大成ライヴとなった『“GIGS” CASE OF BOφWY』から4ヶ月。

半年も経っていないのに、クリスマスイヴの渋谷公会堂での氷室京介は全然表情が違うのだ。いかに解散について葛藤したかのあらわれかもしれない。そして、アンコール時、解散宣言直前、チラリと布袋寅泰を見るワンシーン。こんなドラマティックな一瞬を背負ったバンドは他にないだろう。

所属レコード会社 東芝EMIでBOφWY担当ディレクターだった子安次郎氏(現ユニバーサル ミュージック)は、会員制オフィシャル・サイト『BOφWY HUNT』にて、最後のツアー『DR.FEELMAN’S PSYCHOPATHIC HEARTS CLUB BAND TOUR』と、千秋楽となった渋谷公会堂でのライヴをインタビューで振り返っている。

子安:衝撃が大きすぎたからか、あまりよく覚えてないんですよ。たしか(ツアー初日)布袋君は最初、全然ステージで動かなかったんですよね。お客さんがあまりにもキャアキャア言ってたから。ちょっと手動かすだけでもキャアキャア。どんどん、そんなお客さんが増えて人気が過熱して。そこまで大きくなると布袋君は逆にもう動かずに、同じ位置でただ弾いていくってのを最初の何本かでやってたんですね。まぁ途中から戻りましたけど。でもまぁそれぐらいしか記憶になくて。特に最後の渋公なんて記憶があるのはヒムロック(氷室)のMCだけですよ。ステージ下手(しもて)で観てたんだっていう。

出典:『BOφWY STORY ARCHIVE Vol.7より』

●すべての音楽ファンに観て欲しいロックの“バイブル”

日本ロック史上でいつまでも語り継がれる渋谷公会堂での名演。BOφWY史上最高峰のライヴ映像となった『BOφWY 1224-THE ORIGINAL-』。

1987年12月24日当日、渋谷公会堂の外には、チケットを入手できなかったファンが全国から集まっていた。解散するのではないかという噂もあり、時がたつほどに人は増え続け暴動寸前の雰囲気となった。正面玄関のガラスは割られ、一触即発の空気の中。ライヴは終わり、スタッフにより入れなかったファンへ向けて拡声器で「BOφWYは終わりました」と告げられた。なんてドラマティックな瞬間であろうか。当時は、メディア関係者もほぼシャットアウトされたという貴重なるステージの完全版の映像化だ。

伝説の夜から30年の時を経て、初めて完全版の『BOφWY 1224-THE ORIGINAL-』が世に送り出される。すべてのバンドマン、音楽ファンに観て欲しいロックの“教科書”いや“バイブル”といえる鮮烈なライヴ作品だ。

BOφWYプロフィール

BOφWYとは、氷室京介(Vo)、布袋寅泰(G)、松井恒松(B)、高橋まこと(Ds)によって、1981年~1988年まで活動したロックバンド。新宿ロフト、渋谷公会堂、日本武道館、東京ドームまでを一気に駆け抜けた唯一無二のカリスマ的人気を誇り、アーティストにも数多くのフォロワーを持つ。1982年にアルバム『MORAL』でレコード・デビュー。1986年、4thアルバム『JUST A HERO』でブレイク。同年リリースした、シングル「B・BLUE」のヒットによって日本中にバンドブームを巻き起こした。6枚のオリジナル・アルバムを残している。

1stアルバム『MORAL』(1982年)、2ndアルバム『INSTANT LOVE』(1983年) 、3rdアルバム『BOφWY』(1985年) 、4thアルバム『JUST A HERO』(1986年) 、5thアルバム『BEAT EMOTION』(1986年) 、6thアルバム『PSYCHOPATH』(1987年)

BOφWY のバンド名にある記号“φ(空集合)”は、“何処にも属さない、誰にも似たくない”という意味をもつ。1986年、氷室による「ライヴハウス武道館へようこそ!」の名MCで知られる日本武道館公演を成功させるなど、名実共にNo.1ロックバンドの地位を確立。人気絶頂期の1987年12月24日、渋谷公会堂にて突然の解散宣言。1988年4月4日,5日に完成したばかりの東京ドームで行われた『LAST GIGS』を最後に解散。その人気は、チケット購入で電話回線をパンクさせるなど社会現象となった。1998年にリリースされた初のベスト・アルバム『THIS BOφWY』は、解散後10年を経過しているにもかかわらず220万枚以上の売り上げを記録。バンド不在のままセールスを驚異的に伸ばすなど、幾度もBOφWY現象を巻き起こし続けている。

BOφWY『BOφWY 1224 -THE ORIGINAL-』収録曲

01. LIAR GIRL

02. ANGEL PASSED CHILDREN

03. BLUE VACATION

04. ハイウェイに乗る前に

05. GIGOLO & GIGOLET

06. PSYCHOPATH

07. CLOUDY HEART

08. Marionette

09. わがままジュリエット

10. LONGER THAN FOREVER

11. 季節が君だけを変える

12. WORKING MAN

13. B・BLUE

14. RENDEZ-VOUS

15. ホンキー・トンキー・クレイジー

16. PLASTIC BOMB

17. BEAT SWEET

18. IMAGE DOWN

19. NO.NEW YORK

アンコール

20. MEMORY

21. ONLY YOU

22. Dreamin'

BOφWY1224 -THE ORIGINAL- ONE-NIGHT PREVIEW 1212

2017年12月12日(火)東京都 Zepp DiverCity TOKYO / 大阪府 Zepp Osaka Bayside

OPEN 18:00 / START 19:00

BOφWY オフィシャルサイト

http://boowy35th.com

http://www.universal-music.co.jp/boowy/

https://twitter.com/boowy35th

https://www.facebook.com/BOOWY35th/

http://sp.boowyhunt.com

音楽コンシェルジュ

happy dragon.LLC 代表 / Yahoo!ニュース、Spotify、fm yokohama、J-WAVE、ビルボードジャパン、ROCKIN’ON JAPANなどで、書いたり喋ったり考えたり。……WEBサービスのスタートアップ、アーティストのプロデュースやプランニングなども。著書『ソーシャルネットワーク革命がみるみるわかる本』(ダイヤモンド社)布袋寅泰、DREAMS COME TRUE、TM NETWORKのツアーパンフ執筆。SMAP公式タブロイド風新聞、『別冊カドカワ 布袋寅泰』、『小室哲哉ぴあ TM編&TK編、globe編』、『氷室京介ぴあ』、『ケツメイシぴあ』など

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