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国際NGO キラーロボットの脅威を訴える動画制作「if human: kill() 人間なら殺せ」

佐藤仁学術研究員・著述家
「Slaughterbots - if human: kill()」より

国際NGOのThe Future of Life Institute(フューチャー・オブ・ライフ・インスティテュート)がキラーロボットの脅威を訴える動画を2021年12月に制作した。

AI技術の発展とロボット技術の向上によって、軍事でのロボット活用は進んでいる。戦場の無人化が進むとともに「キラーロボット」と称される人間の判断を介さないで攻撃を行う自律型殺傷兵器が開発されようとしている。人間の判断を介さないで標的を攻撃することが非倫理的・非道徳的であるということから国際NGOや世界30か国が自律型殺傷兵器の開発と使用には反対している。ロシアやアメリカ、イスラエルなどは反対していないので、このように積極的に軍事分野での自律化を推進しようとしている。

今回、フューチャー・オブ・ライフ・インスティテュートが制作した動画は「Slaughterbots - if human: kill()」というタイトル。「Slaughterbots」は造語で「Slaughter」(虐殺)と「Robot」(ロボット)を合わせた用語。人間を容赦なく虐殺していくロボットを表している。そして副題は「if human: kill()」で「もし人間なら殺せ」とプログラミングされている用語で表している。

2017年にもキラーロボットの登場を懸念する国際NGOが「Slaughterbots」というタイトルの動画を制作して脅威を訴えていた。当時はまだキラーロボットがSF世界のような話だったが、現在ではすでに自律型殺傷兵器が実際の戦場で使用されていると報じられているし、軍事ドローンによる攻撃も日常的になっており、キラーロボットの差し迫った脅威が現実のものである。

今回動画を制作したフューチャー・オブ・ライフ・インスティテュートなど国際NGOらは国際人道法で自律型殺傷兵器の開発や使用の禁止を訴えている。だが、アメリカやロシアなどは国際法で禁止されることには反対しており、実現は遠そうだ。

動画の中では自律的に人間を襲撃してくるロボットが世界中で登場して人々が殺害されたり、パニックになり逃げまわったりしている。そして最後に国際赤十字のロボットも登場して、戦場においても人間性と人道の重要性を訴え「if human: protect()」(もし人間なら守れ)というメッセージが出ている。

▼「Slaughterbots - if human: kill()」(2021年12月)

▼「Slaughterbots」(2017年11月)

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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