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“岩手らしさ”を追求するデザインを/SUBTLE DESIGN・松前哲さん

岡沼美樹恵フリーランスライター/編集者/翻訳者
岩手で活躍するデザイナーの松前哲さん

松前哲さんは、岩手県久慈市生まれのデザイナー。東日本大震災を機に同じ県内、盛岡市の南部にある矢巾町へ家族で引っ越したそうです。

そんな松前少年がデザイナーを志したきっかけをうかがいました。

「実は私、色覚異常があって、色の判別が結構難しいんですね。黒板に赤いチョークで書かれた文字が見えなくて、それでわかったんです。社会の教科書の世界地図ですとか、『赤い範囲の国を答えなさい』みたいな問いに『え? どこ?』ってなって。こういうのをなくしたいってそのときに思ったので、そういうのってどうやったらなれるかなと考えてデザインを目指すことになりました」。

高校卒業後、専門学校に入学し、3年間デザインの勉強をした松前さん。専門学校卒業後、いきなりフリーランスのデザイナーとして活動を始めます。

専門学校を卒業して、すぐにフリーランスとして活動しました
専門学校を卒業して、すぐにフリーランスとして活動しました

「就職はせず、もうそのまま独立して今年で3年目になります。地域おこし協力隊の方に『お仕事させてください!』と押しかけて、お店のメニューなどをデザインさせていただいていて、在学中からいろいろお仕事はしていたんです。なんかそのときはイケイケだったので、『いけるんじゃないか』って(笑)」。

そのフリーランス1年目に出合った仕事が、盛岡市で明治42年から続く老舗和菓子店「御菓子司 山善」の看板メニューのひとつである「ぶどう飴」のパッケージリニューアルの仕事。これは、「もりおかやっぱりいいよね」をテーマに、岩手県盛岡市の“よいもの”をリブランディングする「モヤーネ」のプロジェクトのひとつ。若手デザイナーのひとりとしてプロジェクトに採用された松前さんは、リブランディングの候補に「ぶどう飴」があるのをみて「ぜひやらせてほしい」と手をあげたのだそう。

盛岡の老舗和菓子店「山善」の奥堂さんと協働しました
盛岡の老舗和菓子店「山善」の奥堂さんと協働しました

「手を挙げたはいいけれど、『僕みたいな若手でいいのかな』というプレッシャーも感じていました。山善の奥堂(和香子)さんからもいろいろアイデアをいただきつつ、お店の裏庭の山ぶどうにインスピレーションを得て、このデザインになりました」。

ぶどうの房を思わせる、かわいらしいデザインのパッケージが高く評価され、仙台市産業振興事業団が主催する「第9回 新東北みやげコンテスト」ではデザイン特別賞を受賞しました。

新東北みやげコンテストでデザイン特別賞を受賞しました
新東北みやげコンテストでデザイン特別賞を受賞しました

「コンテストに出していることを知らなくて。『デザイン特別賞取りました!』って聞いたときは『えっ!?』って感じで(笑)。でも、デザイナーとして初めていただいた賞なので、とてもうれしかったです」。

今後、「岩手らしさを追求していくデザインがしたい」と話す松前さん。デザインの持つ力で、盛岡を、岩手を盛り上げていく才能あふれるデザイナーの今後に注目です。

松前さんがデザインを担当した「ぶどう飴」のパッケージデザインリニューアルのものがたりは、「暮らす仙台」で紹介しています。ぜひご覧ください。

撮影:堀田祐介

フリーランスライター/編集者/翻訳者

大学卒業後、株式会社東京ニュース通信社に入社。編集局でテレビ誌の制作に携わり、その後仙台でフリーランスに。雑誌、新聞、ウェブでエンターテインメント、スポーツ、広告、ビジネスなど幅広いジャンルの執筆活動を行う。2016年よりウェブメディア「暮らす仙台」で東北のよいもの・よいことを発信。ローカルビジネスの発展に注力している。好きなものは、旅、おいしいものを食べること、筋トレ、お酒、こけし、猫と犬。夢は、クリスマスのニューヨーク・セントラルパークでスケートをすること。妄想は、そのスケートのお相手がジム・カヴィーゼルだということ。

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