小中学校のクラス人数の現状と昨今の推移
今は親の立場に居る人が学校生活を過ごしていた時代と、今現在の小中学校のクラス人数との間には大きな違いがある。現状などの動向を文科省の調査「学校基本調査」から確認していく。
まずは直近データについて。現時点では2015年度の値が最新となっている(2015年12月25日に確定報が発表され、2015年度分が更新された)。これについて小学校・中学校それぞれの人数階層別学級数比率をグラフ化する。
小学校は26~35人がボリュームゾーン、中学校は31~40人がボリュームゾーンとなっている。また「0.0%」との区分もあるが、これはあくまでも計算上の話。例えば小学校・中学校共に50人以上のクラスも複数存在する(すべて私立学校)。一方、7人以下のクラスも少なからず見受けられるが、これは特別支援学級や、複式学級(複数学年を同一クラスに編成する仕組み)など主に僻地や離島などにおける小中学校が該当すると考えてよい。
そして平均人数だが、各人数区分の中央値(7人以下は6人、50人以上は51人とする)を元に当方で独自に算出したのが次のグラフ。縦軸の最小値がゼロでないことに注意して見てほしいが、見事なまでに漸減している。
直近値(2015年度分)では小学校24.34人・中学校28.54人との値が出ている。そして10年強の間に3人から4人ほど減った計算になる。
クラス人数の多い少ないは、色々な問題と密接に関係する。いわゆる「授業妨害」を起す生徒に対処するためには(個々の生徒、そしてその保護者の素質によるところが大きいものの)、人数が少ない方が良いとする考えが一般的。また、その他の指導面でも生徒数が多いと、注意が行き届かないリスクが高まる。一方で少人数単位のグループを想像すれば容易に分かるのだが、クラスあたりの人数が少なくなると、一集団としての柔軟性に欠け、クラス単位での団結性が弱まる、個々の子供が孤立しやすくなるリスクが生じる。
なお現状では文部科学省では教育環境の改善のため「少人数学級の実現」を学校教育の改善課題の一つとして掲げている。今後さらにクラス人数は漸減を続けることは容易に想像ができる。
さらに少子化傾向、教育環境を整備し国際水準に合わせるため、クラスあたりの人数が減少する傾向にある。それによって生じるプラス・マイナス両面を注意深く見守らねばなるまい。
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