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NY原油7日:米原油生産鈍化見通しで、大幅続伸

小菅努マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

NYMEX原油5月限 前日比1.84ドル高

始値 51.95ドル

高値 54.07ドル

安値 51.17ドル

終値 53.98ドル

米国内産油量の鈍化観測を手掛かりに、続伸した。

前日の急伸地合いを受けて、アジアタイムはやや戻り売り優勢の展開になった。米雇用統計発表後のドル安が続かなかったこともあり、早めに利益確定を進める動きが優勢に。ただ、ニューヨークタイムに入ると再び買い圧力が強まり、一気に上値を切り上げている。2月17日以来の高値を更新している。きっかけになったのは、米エネルギー情報局(EIA)の4月月報である。そこでは、2015年の米産油量見通しが前月から日量12万バレル上方修正されており、石油リグ稼動数の減少が生産調整の動きに直結し始めてると報告されている。既に週間統計で米国内での増産ペース鈍化が確認されていることもあり、マーケットは「シェールオイルの増産鈍化→需給均衡化」の流れを先取りする動きを見せ始めている。

もっとも、足元の供給過剰は日量10万バレルや20万バレルといった規模の世界ではない。米国に限定しても、直近10週間の在庫増加幅は平均で736万バレル/週に達しており、需給均衡化にはなお時間が要求される可能性が高い。季節要因から4月中には在庫増加トレンドに一定のブレーキが掛かるのが平年のパターンだが、引き続き需給にだぶつきが生じやすい環境にあることを考慮すると、原油価格の本格反発は困難だろう。このまま上昇が続くと、必要とされる生産調整が十分に進まず、年後半の安値是正が実現しない可能性が高まる。米ゴールドマン・サックス・グループも、需給均衡を実現するには原油価格の低迷が続く必要性を訴えている。このまま将来の需給均衡を先取りして上昇が続くリスクも想定しておく必要があるものの、現行価格には割高感が強い。

50ドルの節目を挟んで不安定な値動きが続いているが、米国で在庫の貯蔵能力限界を試すトレンドが続いてる間は、反発力が限定されよう。ただ、米国内のシェールオイル増産傾向が緩んでいることも事実であり、将来的な需給均衡化を先取りする動きが強まるリスクには注意したい。需給面からは依然として安値低迷が必要なステージとみているが、相場が先走りするリスクが浮上しているのが現状である。

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マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

1976年千葉県生まれ。筑波大学社会学類卒。商品先物会社の営業本部、ニューヨーク事務所駐在、調査部門責任者を経て、2016年にマーケットエッジ株式会社を設立、代表に就任。金融機関、商社、事業法人、メディア向けのレポート配信、講演、執筆などを行う。商品アナリスト。コモディティレポートの配信、寄稿、講演等のお問合せは、下記Official Siteより。

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