持家数は増加傾向だが住宅全体に占める割合は約6割であまり変わらず(2020年公開版)
賃貸住宅の方が気軽でよい、転勤の可能性があるので持家は荷が重すぎるとの考えを持つ人も少なくないが、多くの人は自分所有の住宅「持家」を欲し、実際に確保する。言葉通り足場を固めることになり生活も安定し、家賃を支払い続けても自分のものにならない状況から脱することができ、心理的な面でも充実感を得られるからに他ならない。それでは現状において住宅のうち、どれほどまでが持家によるものなのだろうか。総務省統計局が2019年4月に発表した、2018年時点における住宅・土地統計調査の速報集計結果から確認をする。
空き家ではなく賃貸住宅でもない、居住世帯が所有している持家の数は年々増加している。取得できる最古のデータである1963年分では1309万3000戸だった持家は、直近の2018年では3280万2000戸となり、2.5倍ほどに増加している計算になる。
直近の2018年においては、常時居住世帯のある住宅(=空き家ではない)住宅のうち、61.2%が持家の住宅。それ以外では民営の借家がもっとも多く、28.5%を占めている。
これだけを見ると、「50年余りで2.5倍にも持家が増加したのだから、持家比率もグンと増えて今の値にまで上昇したのだろう」と想像してしまう。しかし他の種類の住宅も同様に増えており、実際には持家率はほぼ横ばいのまま推移しているのが実情。
つまり持家そのものは増えているが、「人が住んでいる家全体に占める、持家比率に大きな変化は無い」。それだけ賃貸住宅数も増えている。さらにいえば、いわゆる企業の福利厚生の一環としての給与借家は漸減し、その分民間の借家が増えているのも把握できる。
日本における人口は1963年以降に限って見れば、2000年くらいまでは増加の一途をたどっていたがそれ以降はほぼ横ばい、むしろ減少傾向にある。2000年以降も持家数が増加しているのに他の形態の住宅も増え、持家比率がさほど変わらないのは、一見するとおかしな感がある。
しかしこれは1世帯あたりの人数が減少していることによるもの。最初の持家数のグラフに、1世帯あたりの人員数を重ね合わせると、それがよく分かる。
人口は減っているが世帯あたりの平均人員数も大きく減っており、結果として世帯数は漸増している。それに伴い住宅数は漸増し、持家以外も増えている。住宅種類の需要そのものに大きな変化は生じていないため、結局住宅種類別のシェアにも変化は生じないことになる。
今後高齢化、核家族化、少子化・平均世帯構成員数の減少はさらに進行することになる。それに伴い世帯数そのものも増加するが、持家数比率に大きな変化はないだろう。
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