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きょう抽せん 職場に届いたお年玉付き年賀はがき、当せんなら賞品は誰のもの?

前田恒彦元特捜部主任検事
(提供:イメージマート)

 きょう抽せんが行われるお年玉付きの年賀はがきと年賀切手。年賀状が自宅だけでなく職場に届く場合もあるが、もし当せんしていたら、賞品は会社のものか、それとも社員個人のものか。

「受取人」が誰かがポイント

 お年玉付き年賀はがきなどに関して定めた法律では、当せん金品の支払いや交付を受けられる者について、次のように規定されている。

・ 受取人

・ 配達されなかったときは購入者

・ それらの一般承継人(相続人などのこと)

 総務省の指針によれば、「受取人」とは、差出人がその意思表示などを受け取る者として特に定めた者、すなわち名あて人ということになる。他人が受取人になりすまして賞品と交換したら、詐欺罪に問われる。

 ただ、差出人が相手の自宅住所を知らないため、完全にプライベートな年賀状を職場に送ることもある。この場合、受取人はその社員個人ということになるから、賞品も社員のものだ。

 郵便局で引き換える際、1等や2等の場合には本人確認ができる身分証明書の提示を求められるものの、住所が相違している点は会社名が記載されている健康保険証や名刺の提示で対応してもらえる。

念のため職場に確認を

 問題は、取引先の関係者からのもので、社員の部署名や役職名まで記載され、その内容もおよそプライベートなものとはいえない業務に関する年賀状だ。この場合、受取人は社員個人ではなく会社とみることができるから、賞品受け取りの可否について、念のため職場に確認をとっておいた方がよい。

 ただし、宝くじの当せん金と違って非課税とされていないから、個人の場合は「一時所得」になる。年間50万円の特別控除があるので、1等の現金30万円でもそれだけだと税金はかからないが、生命保険の満期一時金などと合わせて50万円を超えるようであれば、確定申告が必要だ。

 一方、職場での取り扱いルールにより、年賀状の受取人が社員個人ではなく会社ということになると、賞品はその金額を問わず会社にとって法人税法上の益金になる。「雑収入」などとしてきちんと経理処理しておかなければならない。

 なお、書き損じや未使用のはがきであっても、当せんしていれば賞品と交換できる。ただし、これまで挙げたどのケースの場合も、賞品を受け取る権利は引き換え可能となる期日から6か月という早い期間で時効になるので、注意を要する。(了)

元特捜部主任検事

1996年の検事任官後、約15年間の現職中、大阪・東京地検特捜部に合計約9年間在籍。ハンナン事件や福島県知事事件、朝鮮総聯ビル詐欺事件、防衛汚職事件、陸山会事件などで主要な被疑者の取調べを担当したほか、西村眞悟弁護士法違反事件、NOVA積立金横領事件、小室哲哉詐欺事件、厚労省虚偽証明書事件などで主任検事を務める。刑事司法に関する解説や主張を独自の視点で発信中。

元特捜部主任検事の被疑者ノート

税込1,100円/月初月無料投稿頻度:月3回程度(不定期)

15年間の現職中、特捜部に所属すること9年。重要供述を引き出す「割り屋」として数々の著名事件で関係者の取調べを担当し、捜査を取りまとめる主任検事を務めた。のみならず、逆に自ら取調べを受け、訴追され、服役し、証人として証言するといった特異な経験もした。証拠改ざん事件による電撃逮捕から5年。当時連日記載していた日誌に基づき、捜査や刑事裁判、拘置所や刑務所の裏の裏を独自の視点でリアルに示す。

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