Yahoo!ニュース

【富田林市】中高一貫校の富田林中学・高校の実力!本日開催のとんこう地域フォーラム2023の見どころは

奥河内から情報発信奥河内地域文筆家(河内長野市・富田林市)

かつては「6・3・3で12年」といわれ、小学、中学、高校と進学していくのが当たり前でしたが、中学と高校の6年間を接続し,6年間の学校生活ので計画的・継続的な教育が行える中高一貫校というスタイルも登場するようになりました。

富田林中学・高等学校もそんな中高一貫校ですが、とにかくいろんな分野で生徒さんが活躍しているということをよく耳にしていました。一度取材する機会があればと思っていたところ、ちょうど「とんこう地域フォーラム2023」が行われるという情報を入手しました。

とんこう地域フォーラムとは、2017年から始まったイベントで、「南河内を科学する2日間」というキーワードで行われるものです。

富田林高校は1901(明治34)年創立の歴史を持っていますが、2017(平成29)年に中高一貫校に移行しました。同じタイミングに、全国に217(大阪府に13)あるスーパーサイエンスハイスクール(SSH)指定を受けました。

SSHについては、国立研究開発法人「科学技術振興機構」の次世代人材育成事業のひとつとして、次のように定義(外部リンク)されています。

高等学校等において、先進的な理数教育を実施するとともに、高大接続の在り方について大学との共同研究や、国際性を育むための取組を推進します。また創造性、独創性を高める指導方法、教材の開発等の取組を実施します。

ということで始まったとんこう地域フォーラムですが、コロナ禍が起きると中止を経て、昨年までは非公開で行われていました。

しかし、今年は本日3月4日の2日目開催に限り、無料の事前申し込み(外部リンク)をすれば一般の人の見学参加も可能となっています。

私も本来なら一般参加者として本日参加しようと思っていました。しかし、非公開で昨日も開催されていることを聞いたので、昨日どのようなものか実際に見れば、それを今日の朝に紹介できると思いました。

そこで今回は、富田林中学・高校の先生に特別に許可をもらって初日の様子を見学できることとなったのです。

ということで、富田林中学・高校に来ました。今回は地域フォーラムで研究に関する発表会への出席ですが、それ以外にもこのように様々な部活でいろんな賞を受賞しているのがわかります。

噂通りのすごい学校なのかなと思いながら、初日会場の体育館に向かいました。

少し学校内を迷ったので、会場の体育館に入るとフォーラムが始まっていました。ちょうど開会のあいさつが行われ、本日のスケジュールが紹介されています。この日は中3から高2までの選抜された4つのグループによる探求結果を発表するというもの。

司会は元教諭・科学部顧問で現在は科学教室力塾の小川力也塾長です。またパネリストには次の方々が出席されていました。(以下、敬称略)

  • 宇田川周子(大阪大谷大学)
  • 笠井敏光(兵庫津ミュージアム)
  • 常見俊直(京都大学)
  • 高橋亜希子(南山大学)
  • 土屋功(読売新聞大阪本社)

またこの日壇上で発表するのは中3から高2までの選抜されたグループで、見学している生徒たちは今日、各教室で発表するとのこと。

いよいよ発表会が始まりました。中学3年生の探求テーマは「制服」で、1854(安政元)年創業の学生服業界の老舗・カンコー学生服(外部リンク)さんからヒアリングをしたうえで「こんな制服があれば」と提案しています。

その内容で驚いたのは、SDGs(持続可能な開発目標)を意識している点です。3つの提案が報告された後、このようにSDGsのどれに該当しているのかと説明していました。

実はカンコー学生服の営業担当の人が出席していましたが、発表後の感想で「まるで自社のプレゼン会議のようだ」と舌を巻いているのが印象的でした。中3でこの実力は私も驚きました。

次に、高校一年生の探求成果の発表会です。こちらはタカハヤ、アブラハヤの形態についてのレポート。富田林を縦断する石川や支流の千早川で実際に魚を捕獲したうえで、その特徴について探求したデータを紹介しています。

私はタカハヤという魚を知らなかったので、調べてみるとコイ科ウグイ亜科アブラハヤ属の淡水魚で日本固有種とのこと。主に中上流域の淵や淀みに生息しているそうです。それに非常に近いけど、最近別種となったのがアブラハヤなのだそうです。

目や尾の特徴よりも体色の変化のほうが起こりやすい話など、専門用語を使った本格的な研究内容に、高校生というよりも大学生の研究発表を聞いているような気すら起きました。

ここでパネリストの先生方からの質問が行われました。先生方の鋭い質問にも的確にこたえる生徒に、やっぱりレベルが高い学校だなあと感じました。

次に高校2年生の探求経過の発表です。文系と理系に分かれていて、文系の発表は富田林の伝統工芸品のすだれを使った新しい取り組みです。

金剛バル
金剛バル

すだれの会社と協力してすだれを使ってスマホケースを開発し、磁石の問題やハドメの問題などをクリア。こうして完成した製品をエコールロゼや金剛バルに出店して販売して実際に92個売上げて、6万4千円余りの売り上げを計上することができたという報告です。

確かに昨年の金剛バルで販売ブースを見ました。あいにく私はスマホケースを新調したばかりだったので買うことはなかったのですが、彼らの熱意に共鳴して購入する人が多くいたのでしょうね。

その結果、リアビズ(高校生模擬起業グランプリ)で、見事に金賞(外部リンク)を受賞したそうです。

またほかの発表するグループと違い、発表時のところどころにお笑いの要素があるのが印象的で、会場から笑い声が絶えませんでした。大阪のお笑いの影響というのもあるようですが、個人的には富田林のだんじりで行われる河内俄(にわか)の影響もある気がしています。

笑いを交えた発表は賛否分かれるかもしれませんが、少なくとも退屈せずに思わず聞き入ってしまう効果もあるような気がしました。

最後は、高校2年生の理系の発表です。メダカをテーマにした内容で、メダカも人間のような右利き、左利きがあるのではという可能性についてのレポートでした。

実際に実験を重ねた結果、右利き、左利きといっても差し支えないような習性を確認し、それは経験によって変わるのではという報告でした。

さらに今後の計画についても発表がなされ、まだまだ探求を続けていこうというようなことを締めくくりに発表していました。

このあと、中学3年、高校1年生の時同様にパネリストの先生からの質問を受けて回答するというやり取りののち、いったん休憩に入りました。

休憩が終わってからはパネルディスカッションです。選抜された生徒には事前に質問事項があり、それについて答えるというもの。

  1. うまく進んだ理由
  2. 探求が嫌になったことがあるがどう乗り越えたか
  3. 探求の活動自体が楽しめたのはどんな時か

それぞれの生徒が上記の質問について答えます。

「興味がある分野であったから楽しかった」「期待していたデーターが出たときにうれしかった」という肯定的な答えが多かったです。

中には「思っていることと違った意見の違いでぶつかった」「期待していた魚がまったく取れず、別の魚に対象を変えるなど苦労した」といった大変だった答えもありました。

そのあとパネリストの先生方からもそれぞれ探求学習に関する意見が述べられ、探求心の大切さや、一緒に探究活動をする人間関係の大切さといった内容が話されました。

ということで、昨日初日の様子を紹介しました。初日は非公開なので主に生徒が発表会を聞くという内容でしたが、今日はその生徒が発表する立場で多くの一般の人がその内容を見聞きすることになります。

その一覧表を入手しました。昨日とは比べ物にならないほど豊富なプログラムです。こちら(外部リンク)でも詳細が紹介されています。

会場は、南館の2階から4階と北館の3階で行われます。発表時間は13:00から15:05までで、途中休憩を挟みながらながら各教室で発表会が行われます。

昨日は中学3年生から高校2年生までの発表会だったのですが、今日は中学1・2年の発表会も予定されています。

また府立東高校(大阪市)、府立千里高校(吹田市)そして、府立長野高校(河内長野市)と、他校の生徒の発表もあるそうです。

さらに小・中学生を対象としたホバークラフト乗車体験というのもあります。

体育館ではいろんな企業も参加します。

地元富田林を含め、大阪府全体から21もの企業・団体が参加されるとのこと。華道や大理石など、普段あまりなじみのないところも出るそうなのでこちらも楽しみですね。

先生によればまだ定員に空きがあるので、当日ぜひ申し込んで見に来てほしいとのこと。

私は一日早く昨日発表会の様子を見ましたが、富田林中学・高校の実力を見せつけられた気がしました。この学校が科学分野を中心に活躍している理由がよくわかった気がします。

次世代を担う中高生の探求発表会、興味のある方は本日申し込んでから参加してみましょう。

大阪府立富田林中学校・高等学校(外部リンク)
住所:大阪府富田林市谷川町4-30
電話番号:0721-23-2281
アクセス:近鉄富田林西口駅から徒歩6分

※記事へのご感想等ございましたら、「奥河内から情報発信」ページのプロフィール欄にSNSへのリンクがありますので、そちらからお願いします。

奥河内地域文筆家(河内長野市・富田林市)

河内長野市の別名「奥河内」は、周囲を山に囲まれ3種類の日本遺産に登録されるほど、歴史文化的スポットがたくさんある地域です。それに加えて、都心である大阪市中心部に乗り換えなしで行ける複数の大手私鉄(南海・近鉄)と直結していることから、新興住宅団地が多数造成されており、地元にはおしゃれな名店や評判の良い店なども数多くあります。そして隣接する富田林市もまた、歴史文化が色濃く残る地域。また南河内地区の中核都市として、行政系施設が集まっています。これを機会に、奥河内(一部南河内含む)地域に住んでいる人たちのお役に立つ情報を提供していければと考えています。どうぞよろしくお願いします。

奥河内から情報発信の最近の記事