取材21年。胸に突き刺さった、西川きよし「ブランコの話」
西川きよしさんが、文化功労者に選出されましたね。漫才師としては初、吉本興業の所属タレントでも初の快挙となりました。
1999年、僕がデイリースポーツに入社し芸能担当記者になった時から今に至るまで、ずっときよしさんの取材をしてきました。
一時期、きよしさんにデイリーで連載をしてもらっていて、その担当をしていました。その関係で、大阪・箕面のご自宅にも何度かお邪魔しました。
まだ20代半ばの若手記者の頃、初めてきよしさんのお宅に行かせてもらい、西川ヘレンさんに出してもらったシュークリームは、今でも僕が人生で食べた全てのシュークリームの中で一番美味しいものでした。どこのお店のものかは分かりませんでしたが、人生に成功した人は、こんなものを常食できるのかと味蕾のみならず、脳のあらゆるスポットが刺激されたことを強く記憶しています。
きよしさんへの世間のイメージと言えば、真面目、丁寧、礼儀正しい。そういった領域だと思いますが、実際に取材をしていても、その領域から足を踏み出した姿を一度たりとも見たことがありません。
もし、仮に、イメージを保つために、きよしさんが頑張って、頑張って、その領域に自分の身を収めているとしても、あそこまで徹底してそれをやりきるのは本当にすごいことであり、それはもはや、芯から、真面目、丁寧、礼儀正しいということになると思っています。
幾度となく、インタビューもさせてもらいましたが、取材をし、原稿が紙面に掲載されると、親子ほど年の離れた僕などにも、それこそ、丁寧に御礼の電話をいただきます。
「西川です!紙面を拝見しました!エエ原稿にしてもらって、本当にありがとうございます!」
こちらが恐縮するほど、本当に丁寧で、力みなぎる御礼の電話。ただ、その電話がかかってくる時間が朝6時。
新聞を見て「少しでも、早く御礼を伝えなければ」という思いからのお電話なのだと思うのですが、朝6時に携帯電話に“西川きよし”という文字が着信として表れ、こちらは寝起きバリバリながら、大人としての精神レベルとテンションを数秒でマックスにまで急上昇させて、電話に出る。おそらく、ヒートショックばりに、体には負荷がかかっていたのかもしれませんが、どこまでもありがたいお電話でした。
あと、僕がきよしさんから直接うかがったお話で、今、思い出しても心が震えるのが「ブランコの話」です。
ヘレンさんへの感謝の思いを尋ねるインタビューだったのですが、この「ブランコの話」には優しさ、思いの強さ、やりきる力…。きよしさんのあらゆるものが込められている気がしています。当時の取材メモを以下に再録してみます。
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