NY原油9日:イランが合意調印を渋り、反発
NYMEX原油5月限 前日比0.37ドル高
始値 51.00ドル
高値 52.07ドル
安値 50.60ドル
終値 50.79ドル
イラン核協議に先行き不透明感が再浮上する中、期先限月主導で反発した。
イランのロウハニ大統領は、核開発協議の枠組合意文書への署名前に、制裁解除が行われることが前提と発言した。核開発プログラムの停止には、その前に経済制裁の解除が必要としており、段階的な制裁解除を想定している欧米との間に認識のズレが存在していることが確認されている。あくまでも2日に成立した枠組合意は正式承認されるとの見通しも示しているが、最終合意までまだ混乱状態が続く可能性が浮上してきたことが、原油価格に対してリスクプレミアムの加算を促している。一時は52.07ドルまで急伸している。
もっとも、そこから本格的に上値を試すような動きまではみられず、引けにかけては上げ幅を削る展開に。これによってイラン核協議が振り出しに戻るようなリスクは限定的との見方が強く、大きくリスクプレミアムを織り込んでいくような必要性までは認識されていない。前日の米週間統計で、シェールオイルの増産、在庫積み増しが確認されたことも尾を引いており、引け値ベースでは大きな値動きには発展しなかった。
イランのザンギャネ石油相は、同国の市場復帰を前に他の石油輸出国機構(OPEC)加盟国が生産調整を行う必要性を訴えた。過去2年近くにわたってOPEC内ではイラン産原油の供給減少を穴埋めするための増産が正当化されていたが、イラン側が過剰供給状態に陥られないために、他加盟国に生産調整の必要性を訴えた形に。ただ、こうした声に同調する動きはみられず、6月のOPEC総会に向けてイランの市場復帰がそのまま供給増加圧力になるか否かか、政治的な駆け引きが活発化することになる。
50ドルの節目を挟んで不安定な値動きが続いているが、米国で在庫の貯蔵能力限界を試すトレンドが続いてる間は、反発力が限定されよう。ただ、米国内のシェールオイル増産傾向が緩んでいることも事実であり、将来的な需給均衡化を先取りする動きが強まるリスクには注意したい。需給面からは依然として安値低迷が必要なステージとみているが、相場が先走りするリスクが浮上しているのが4月の原油相場である。