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<ガンバ大阪>ホーム最終戦を白星で締めくくり、2連勝。

高村美砂フリーランス・スポーツライター

前節での勝利により、残留を決めたガンバ大阪。残留争いの渦中にある松本山雅FCを迎えてのホーム最終戦に『連勝』を合言葉に試合に臨む。立ち上がりは相手のシュートがポストをたたくなどひやりとさせられたところもあったが、徐々にペースを握ると、11分にMF小野瀬康介のミドルシュートが決まり先制。チームを勢いづけると、その後も安定した試合運びを展開し、30分にはMF矢島慎也のシュートのこぼれ球をMF井手口陽介が押し込み2−0、さらに45分にもMF井手口が決めて3−0と突き放す。後半もやや相手にペースを奪われたところもあったが、68分にはFWアデミウソンが追加点を奪うなど、危なげなく試合を運び、終わってみれば4-1と勝利をつかんだ。試合後のガンバ大阪監督、選手のコメントをお届けする。

●宮本恒靖監督

ー相手は残留がかかっている松本と、モチベーションの差もあるかもしれない中でどういった準備をして、前半すごく内容は良かったと思うんですが、どういうところがうまくいったと感じましたか。

端的にこの試合、ホームの最終戦を勝つというところと、15分でまず1点を取るというところ。2点目、3点目というのも、できれば前半でとってしまおうと。もちろん相手が残留に向けてパワーを持って来るのはわかっていた中で、それを上回るだけのパフォーマンスを出さきゃいけないという話をして送りだしました。確かに前半はよかったですが、後半立ち上がり少し受けてしまって…もちろん相手が出てくるというのは予想できたところですが…最後も1点取られましたし、前半良かったからこそ、後半もっとできたんじゃないか、っていうこだわりを持って欲しいということを今、選手にも言ってきたところです。

ー井手口選手はあのタイミングで交代した理由は?

少し前半、足を痛めていたのもありました。

ー井手口選手、ペナルティエリアの中での仕事ということを課題に挙げているという話をされていましたが、今日はそれが見られて中での2ゴールでしたが、評価を聞かせてください。

今日に関して言うと、あまり、らしいプレーは多くなかったと思っています。点を取れるところには入って来ていましたけど、日本代表選手としては、もっと格の違いを見せなければいけないし、攻守両面においてもっと高いパフォーマンスをこれからの試合では期待しています。

ーサイドをうまく使えている、プラス、インサイドハーフも絡めていました。攻撃については監督がやりたいことが見えて来ましたが、この終盤の形は監督の理想型に近づいてきたのか。

オートマチックにある程度の動きができつつあると思いますし、右サイドのビルドアップが少し改善されたところだったり、その分、アンカーでよりボールを受けて捌けるシーンが増えたり、というところがいい攻撃につながっていると思っています。もっとよりよくできると思うのですが、ある程度の形になって来ているなというのは思っています。ただ、去年の反省からいうと終盤にいいプレーをしても、またシーズンオフを挟んで違うチームになってしまうこともあるので、いま良くても、次のシーズンに向けての参考にはならないかなって思います。

ー来シーズン、攻撃の積み上げとして伸ばしていきたい点は。

サイドの攻撃に関してももっと精度をあげたいですし、後半福田湧矢が迫ったり、藤春がゴール前に迫ったりしましたが、形はあるけれど結果にはつながっていないので。もちろん数多く作ることが以前はできていなかったけど、いまはできるようになっているんですが、もっとこだわりを持ってやらないといけないということは選手にも言っていますし、守備においてももっとボールは奪いたいですし、攻守両面である程度、選手の中でもできつつあると感じているものはあるかもしれませんが、もっともっと求めたいと思います。

●MF矢島慎也

立ち上がり、ポストに当てられてるし、最後失点したし、結構紙一重なところもあった試合でした。僕も点を取れれば良かったですけど、陽介(井手口)の点にもつながったし、アデのところも絡めたし、アシストという部分ではできたのであとは点を取れれば良かったなっていう感じです。(インサイドハーフの役割を与えられている中で攻撃のところで力になるということもできた)まあいろいろやることは多いので、あそこから守備のところもいかないといけないし、やっとさん(遠藤保仁)が落ちたところで自分が距離を縮めてっていうところもそうだし、自分が空いたポジションに入ったら、宇佐美くん(貴史)がそこに入ってくれたりもするし、宇佐美くんが引いたら、その分僕が高い位置をとったりもしているし、いろいろと自分がポジションを変えるけど、バランスよく、みたいなところは前に比べたらよくなっていると思うので。その中でチームとして4点取れたのは良かったですけど、守備のところで最初にポストにあてられて最後失点をしたのは課題だったので完璧な試合ではなかったとは思います。(システム、メンバーがここのところ同じ形でやってきて、ようやくチームとしてもこなれてきたなという手応えはありますか)そうですね。このフォーメーションをやってきた中で、序盤、ホームの大阪ダービー戦のときからボールを握ることにはいい感触があって、それをつづけてきた中でバランスや距離、みたいなことも生まれて来たので。あとは今、やっとさんがアンカーに入ってボールを持てる展開になっていますけど、それをうまくどんどんやっていきたいというか。大分戦も…結果は出なかったですけど、僕個人としては継続的にボールを持つような戦いを続けていけばああいう試合も起きないと思うし。もちろんメンタル的な部分での不甲斐なさはあったかもしれないけど、チームの戦い方としても続けていくことでうまくなっていければ…試合運びもそうだし、もっと良くなるんじゃないかなって思います。

●MF遠藤保仁

(サイドから崩す意識も強かったのでしょうか)点差に余裕が出てからは中からでもトライはしていましたし、そういう部分が最初からできればよりいいかなとは思いますけど、でも、外からだけじゃなくて中からも崩しに行こうという狙いは見えたので前向きに捉えていきたいとは思います。(残留が決まった中でのトライですか?)いや、特にそれを言われているわけじゃないですが、どこからでも点を取れるようにっていうのはみんなで言っていますし、もちろん残留が決まって気持ちの余裕が出て来たのも1つあると思いますけど、相手のプレッシャーも、1つ外せればそこまで厳しくなかったので、その辺も今日は関係したのかなと思います。(サイドに意図的に、長いボールで走らせることもしていましたが、それはこちらのサイドの優位性を使おうという狙いですか?)できればいろんなところから点を取りたいと思うので、ただウイングバックにウイングバックがつくシステムなので、多少なりともミスになってもそういう狙いは見せておきたいというは思っていました。(サイドであれだけ優位に立てると中の使い方もやりやすくなる?)どうしても中は閉められてしまうので外で優位性を作りながらっていうのは良かったし、そこで点も取れていったので全体的にはうまくまわっていったかなと思います。(そこは監督の指示もあってうまく臨機応変にという感じですか?)そうですね。そんなに監督からは指示は多く出ていなかったので。ただ、中盤のバランスも良かったし、貴史(宇佐美)が状況をみて降りてきたりっていうところも点を取るきっかけにもなっていたので、どういう試合であれ、そうやって選手がピッチで感じていることをうまくチームの中で表現していくのは大事なことなのかなと思います。

●DF藤春廣輝

前半15分以内に点を取ろうというのは監督から言われていて、それがうまく先制点をとれて、2点目3点目とか点できて前半は完璧でしたが、後半は少し相手の頑張りに押し込まれましたけど、全体を通して良かったんじゃないかなと思います。(サイドを使って崩すことも多かった)そうですね。前の試合も結構サイドを崩してクロスっていうのもありましたし、今日も良い形で崩せる場面も多かったのでよかったです。(ケガから復帰してから、当初は慣れないといっていたウイングバックの中でも自分らしさを出せるシーンも増えてきました)そうですね。だいぶ、慣れてきたのもあるし、アップダウンをするポジションでもあるので僕の特徴はいかせるのかなと。ただ、終盤ああやって攻撃に加わっていったところで…あの時間帯でもあそこまで入れているのはいいとしても、それをゴールとか、結果っていうところにつなげられるようにやっていければいいなと。最後浦和戦で、楽しい試合になると思いますし、今シーズン最後の試合なので、全ての力を出し切って、最後3連勝で締めくくりたいと思います。

●DF菅沼駿哉

(入りも良く理想的な前半でしたか?)まあやっていても楽しかったですし、自分自身もあそこのポジションに少し慣れて、ようやく見える景色もよくなってきてスムーズさは出て来たのかなとは思います。(前半、効果的に点が入って、3点差に突き放せた。気持ち的に余裕を持って試合を運べたところもあったのでしょうか)監督からも15分以内に1点取るぞっていうことはいわれていたので、みんな立ち上がりの入りで、点を取りにいくということは意識していたと思うし、それが実際にできて、後のゴールにもつながっていったのかなと思います。(前半は特に右から崩すことも多かった。狙いとしていたところですか?)途中で監督から、右サイドから崩せているからそのまま狙っていけということは言われていたので、康介(小野瀬)と陽介(井手口)の関係性をみながらパスで作るところというのを意識してやっていました。それが次の浦和相手にどのくらい通用するのかっていうのも最後、しっかり追及してやりたいと思います。(ホーム最終戦を勝利で締めくくれました)きてくれているサポーターの人たちにしっかりと来季に向けたサッカーを見せられたと思いますし、今年は3バックで長くやってきて、ガンバらしさというか、守備的ではない攻撃的なサッカーができてきたなっていうのは実際に試合をしている選手たちも感じているところなので、そこは続けていきたいと思います。

●MF井手口陽介

1点目はボールがくると信じて走っていたのがゴールに繋がってよかった。2点目もボールがこぼれてくるのを信じて走っていたことが結果的にゴールに繋がったんじゃないかと思います。ガンバに復帰してからなかなか点が取れていなかったのでホームで2得点取れてよかったです。このあいだの仙台戦もそうですが、自分たちのいいところが出せていいところが出せたんじゃないかと思います。最終戦もしっかり自分たちのサッカーをして勝って、今シーズンを良い形で締めくくれるようにしたいです。

フリーランス・スポーツライター

雑誌社勤務を経て、98年よりフリーライターに。現在は、関西サッカー界を中心に活動する。ガンバ大阪やヴィッセル神戸の取材がメイン。著書『ガンバ大阪30年のものがたり』。

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