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NY原油5日:シェールオイルの減産期待で続伸

小菅努マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト
(写真:アフロ)

NYMEX原油11月限 前日比0.72ドル高

始値 45.65ドル

高値 46.94ドル

安値 45.21ドル

終値 46.26ドル

米国のシェールオイルの減産警戒から、底固く推移した。

10月2日に米ベーカー・ヒューズ社が発表した石油リグ稼動数が前週比-26基の614基と大きく減少した余波が続いている。7~8月にかけての原油相場が一時40ドル割れの急落となる中、シェールオイル生産プロジェクトにも大きな影響が生じており、米国のリグ稼動数は昨年後半の原油相場急落後の最低水準にまで落ち込んでいる。その影響は、米エネルギー情報局(EIA)の産油量データなどでも確認が取れており、マーケットではシェールオイル主導で需給リバランスが進むことに対する期待感が強くなっている。少なくとも、現在の採算環境では40ドル前後の価格水準で減産が行われることが確認されていることが、原油相場の下値不安を後退させている。

ただ、5~7月にかけて原油相場が60ドル水準まで反発した際には、石油リグ稼動数の増加が確認されており、原油安の是正を進めることに対する警戒感も根強い。シェールオイル開発プロジェクトは伝統的な油田開発と比較して短期スパンで行われるため、産油量が原油価格に敏感に反応する傾向が強い。

加えて、シェールオイルの生産性向上は続いており、現在は現行価格で生産調整の動きが確認されているものの、今後も値下がり対応なしで需給リバランスの動きを更に押し進めることができるのかは疑問視する向きも多い。実際に、本日も引けにかけては過剰供給の解消は困難との見方から戻りを売られ、上げ幅を縮小している。

シェールオイル分野で生産調整の動きが強まる中、原油相場の下値不安は後退する方向性にある。米早期利上げ警戒感が後退していること、株価が反発局面を迎えていることもポジティブ。ただ、逆に安値是正を進めれば改めて過剰供給傾向が強まるのは必至であり、戻り圧力も限定されよう。レンジブレイクがあればどちらの方向でも瞬間的に大きく動く可能性が高いが、その際は押し目買い、戻り売りが検討対象になる。なお、原油相場が大きなトレンドを形成する必要性は見出せない。

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マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

1976年千葉県生まれ。筑波大学社会学類卒。商品先物会社の営業本部、ニューヨーク事務所駐在、調査部門責任者を経て、2016年にマーケットエッジ株式会社を設立、代表に就任。金融機関、商社、事業法人、メディア向けのレポート配信、講演、執筆などを行う。商品アナリスト。コモディティレポートの配信、寄稿、講演等のお問合せは、下記Official Siteより。

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