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1人で5杯お代わり?グループで18杯!?…人気ビジネスホテル“ドーミーイン”【夜鳴きそば】のリアル

瀧澤信秋ホテル評論家
ドーミーインファンご存じ夜鳴きそば(写真/共立メンテナンス提供)

ドーミーインとサウナそして夜鳴きそば

ドーミーインといえば、泣く子も黙る!?不動の人気ビジネスホテルブランドであります。いきなり個人的な話になってしまいますが、筆者は毎日サウナに行きたいくらいのサウナーにして、ドーミーインのアイデンティティーともいえる“大浴場&サウナ&水風呂&外気浴”のととのいセットはかなりツボ。

充実したサウナ施設も魅力(筆者撮影)
充実したサウナ施設も魅力(筆者撮影)

ドーミーイン全軒へチェックインした経験もありますが(2018年9月現在)、これもドーミーインに泊まればサウナと冷たい水風呂あるよなぁ-という選択を続けた結果という部分もありました。ドーミーインでは最近サウナクラブ的なものまで立ち上げられ(DOMINISTYLEサウナ部)、ますますコアでピンポイントな展開にも心躍るドーミーインステイとなっています。

外気浴スペースにもなる露天風呂(筆者撮影)
外気浴スペースにもなる露天風呂(筆者撮影)

そんなドーミーインで時に話題になるのが「夜鳴きそば」。ドーミーインファンならご存じ、宿泊者だけが楽しめる無料提供の夜食ラーメンです。小腹が空いた夜、飲んだ後の〆にピッタリサイズにして、鶏がらスープをベースにしたシンプルな醤油味が夜食にグー。そんな夜鳴きそばですが、調べるほどに奥深いサービスということがわかりました。今回はトリビア的にリアルな夜鳴きそばを深掘りしたいと思います。

スタートは12年前にさかのぼる

夜鳴きそばのサービスがスタートしたのは2009年8月。もちろんいまでもそうですが、ドーミーインはもともと出張するビジネスマンのためというイメージ色の強かったホテルでした。仕事を終えてホテルに戻っても、部屋にこもったままひとりで過ごすのが普通のパターンであったところ、簡単な夜食を提供することで、部屋を出てスタッフやそこに居合わせた人々と、ひと時でも交流を楽しむきっかけになるのでは?と考えたことがはじまりといいます。

過ごしやすい客室も人気の秘密(筆者撮影)
過ごしやすい客室も人気の秘密(筆者撮影)

食事そのものというよりは、人と人とのふれあいの場を提供したかったというのが運営会社である共立メンテナンスの考えでした。そうした夜食提供というシーンに合うメニューとして考えられたのが、万人に受け入れられるラーメン→夜鳴きそばとなっていまに至ります。

トッピングのリクエスト?

筆者が夜鳴きそばを初めて体験したのが山梨・甲府のドーミーインでしたが、たしかゆかりご飯もあった記憶が。いまでは見かけませんが、共立メンテナンスに確認してみると、スタート時は混ぜご飯なども一緒に提供していたが、夜食ということで重くならないようにとその後なくなったとのこと。

夜鳴きそばのスープはあっさりとした鶏がらベースの醬油味、麺はスープと相性の良い細麺のちぢれ麺を採用、トッピングにはあおさのり・メンマ・ねぎを使用しています。夜食という位置づけなので、翌日に響かないよう麺は半玉というボリュウムで、あっさりとしたスープに具もシンプルにしているのが特色ですが、たとえば“メンマ大盛り、ネギ抜き”といったリクエストにも応えているといいます。

お代わり!?

夜食にピッタリのサイズである夜鳴きそばですが、ちょっと気になるのがお代わりができるのか?という点。確認してみると特に決まっていないとのことで、5杯食べたという猛者もいたとか。また、海外のゲストで6人組のグループが全員3杯食べ、一組で18杯作ったというスタッフの話も出てきました。キャッチーかつ興味深いトピックなのでタイトルにも用いましたが、まぁこれは極端な例としても麺は半玉と前述したとおり、お腹が空いているタイミングだったらお代わりしたくなる時があるかもしれません。

(筆者撮影)
(筆者撮影)

他方、こういうことを書く時に考えてしまうのが、いたずらに煽ってしまうことになりかねないということ。書くのを躊躇する場合もありますが、共立メンテナンスに確認したところ「お代わりもどうぞ、書いていただくのも全く問題ありません!」といいます。とはいえ何ごとにも節度を持ちつつホテルがこうしたサービスを提供する思いを推し量ることも大切でしょう。

外で買った飲料やおつまみなど持ち込めるか?

コンビニで買った弁当やおつまみ、ドリンクなど持ち込みたいという人もいるかもしれません。同社に確認したところ“OK”とのこと。そうはいっても人気のサービスだけに長居は迷惑になる場合もあるので、こちらも節度ある利用が肝要といえます。

また、部屋で食べたいというリクエストもあるようですが、食べずに長時間経ってしまったような場合には食中毒という危険もあることから、基本的に会場提供とのこと。ただし、特別な事情も考慮し使い捨ての持ち帰り丼ぶりも用意、また、現在はコロナの影響から、客室で食べたいというゲスト用にテイクアウトも対応しているといいます。

フロントスタッフが奮闘

夜鳴きそばの担当は基本的にフロントスタッフ。リラックスしたゲストの笑顔が見られることや、作ること自体も楽しいと何気にハマるスタッフもいるといいますが、フロント業務とは一味違う業務に日々奮闘しています。

(筆者撮影)
(筆者撮影)

基本ルールとしては「手洗いで始まり手洗いで終わる」「必ず5分前にオープン」「無線を準備(フロントスタッフと連携しつつ混雑時にはヘルプに入ってもらいスムーズに提供する)」「ガスを使用しないオペレーション」等、運営の細かい気遣いも見られます。

トマト味!?も発見

共立メンテナンスでは、観光地でホテルや旅館も手がけていますが(共立リゾート)、こちらもドーミーイン同様のサービス提供を基本とし、共立メンテナンス施設の統一感というブランディング的効用も発揮しています。

ラビスタ草津ヒルズで出合ったトマト味バージョン(筆者撮影)
ラビスタ草津ヒルズで出合ったトマト味バージョン(筆者撮影)

そんな共立リゾートの一部店舗で最近みかけるのが夜鳴きそばトマト味バージョン。通常の醤油味とトマト味いずれかより選べるわけですが、粉チーズなどまで置かれている辺りも徹底しています。

食べられなかった時のカップ麺「ご麺なさい」が提供終了

夜鳴きそばが食べられなかった場合、提供時間終了後など希望者にはカップ麺「ご麺なさい」が渡されていましたが、2021年9月18日(土)を以て終了、今後は「ポンポコラーメン」の提供に代わるとのこと(時期など詳細は要公式サイト確認)。もちろん夜鳴きそばはなくなりませんが。

(筆者撮影)
(筆者撮影)

*    *    *

夜鳴きそばひとつも紐解いてみると様々な秘密が隠れさていました。今後も気になるホテルサービスを深掘りしていきたいと思います。

ホテル評論家

1971年生まれ。一般社団法人日本旅行作家協会正会員、財団法人宿泊施設活性化機構理事、一般社団法人宿泊施設関連協会アドバイザリーボード。ホテル評論の第一人者としてゲスト目線やコストパフォーマンスを重視する取材を徹底。人気バラエティ番組から報道番組のコメンテーター、新聞、雑誌など利用者目線のわかりやすい解説とメディアからの信頼も厚い。評論対象はラグジュアリー、ビジネス、カプセル、レジャー等の各ホテルから旅館、民泊など宿泊施設全般、多業態に渡る。著書に「ホテルに騙されるな」(光文社新書)「最強のホテル100」(イーストプレス)「辛口評論家 星野リゾートに泊まってみた」(光文社新書)など。

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忌憚なきホテル批評で知られる筆者が、日々のホテル取材で出合ったリアルな現場から発信する辛口コラム。時にとっておきのホテル情報も織り交ぜながらホテルを斬っていく。

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