【名古屋市】源氏物語にも登場。春の訪れを感じる和菓子。京都老舗の流れをくむ名店の椿餅は極上の味わい
季節を感じる和菓子をいただきたくなり、名古屋市西区の『京菓子司 亀広良』を訪れました。
昭和29年の創業以来、伝統を踏まえつつも、現代的な感覚を取り入れた和菓子を生み出す名古屋を代表する名店です。
10年ほど前に西ハサバ交差点近くの旧店舗から、現在の場所へ移転されたため、建物自体は比較的新しいですが、趣ある落ち着いた雰囲気で品格が漂います。
名古屋亀末廣の唯一の別家
『京菓子司 亀広良』といえば、和菓子好きな方や茶道をたしなむ方にはなじみ深い名前かもしれません。
京都の老舗亀末廣からのれん分けされた名古屋亀末廣(2012年閉店)の唯一の別家として知られます。
銘菓「うすらひ」や「茶三昧」などはこちらで受け継がれています。
店内のショーケースには、季節の上生菓子が並んでいます。
生菓子以外にも、比較的日持ちのする和三盆や琥珀糖などの干菓子、羊羹、和風ブッセなど手土産に最適な品も取りそろえられていました。
どれも美しく迷ってしまいますが、お目当ては今の時期にこそ食べたい椿餅。
その他に新芽のよもぎを使った若草餅、不老きんとんなども購入しました。
日本最古の餅菓子ともいわれる椿餅
一説には日本最古の餅菓子ともいわれる椿餅。
源氏物語第34帖「若菜上」には、若い公達たちが蹴鞠を楽しんだ後の宴に供された記述があるほど、長い歴史を持つお菓子です。
凛とした美しさ
椿餅というと、こしあんを道明寺で包んだものを多く見かけますが、こちらは羽二重餅で包まれています。
そして上下を椿の葉で挟むだけの洗練された意匠は、冬の寒さに耐えて花を咲かせる椿の凛とした美しさも思い起こさせます。
羽二重餅の艶やかな白と、椿の葉の濃緑のコントラストが映えますね。
きめ細やかな羽二重餅はしっとりと柔らかく、丹波大納言を使用したつぶあんは上品な甘さ。
くちどけの良い滑らかな羽二重餅とつぶあんの調和は、ため息が出るような美味しさです。
平安時代の貴族たちも食べたのだろうかと、古に思いを馳せる、なんとも雅なひとときでした。
暦の上では春となり、寒さが緩む日もちらほら。
季節の和菓子・椿餅で春の訪れを感じてみてはいかがでしょうか。
大切な方へのおもてなしにもおすすめの逸品です。
【店舗情報】
店名 京菓子司 亀広良
お問い合わせ052-531-3494
住所名古屋市西区上名古屋1-9-26
営業時間 9:00~18:00
定休日 火曜日 水曜日
公式サイト
店舗の品揃えは取材時のものです。売り切れの際はご容赦ください。