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増税、内定式、幼保無償化…の陰で「コーヒーの日」 NY、スタバより多い店とは?

南龍太記者
ジンバブエのコーヒー農園(写真:ロイター/アフロ)

 今日から10月、2019年度も折り返して後半に入った。消費増税10%や幼児教育・保育の無償化開始のほか、多くの企業で内定式が行われる。大きな出来事が目白押しの10月1日は、そうした話題に埋もれがちだが、コーヒー業界、コーヒー好きな人にとっても重要な日だ。日本と世界でそれぞれ「コーヒーの日」とされ、記念のイベントやプレゼントを用意しているお店もある。

 ニューヨークでは朝に、目覚めの一杯とばかりにコーヒー片手に出勤する人たちの姿がすっかりおなじみだ。手にしているのは「スターバックスコーヒー」の商品が目立つが、市内には店舗数でスタバを凌ぐチェーン店がある。その「2強」もさることながら、アジア系や中南米系のカフェなど日本未進出の繁盛店は無数にある。物価の高いニューヨークにあっても、コーヒーは1杯3ドル前後のお手頃価格が多い。スタバでは1杯当たり1ドル台で飲める方法もある。

 日増しに寒くなるこの季節、コーヒーをより深く味わうため、節目のこの日に生産者や世界的チェーン、街角の粋なお店へ少し思いをはせてみよう。

(※ コーヒーの飲用による効果、影響についてはさまざまな調査や指摘がなされています。ご飲用の際はご留意ください。)

需要高まる季節を前に

 日本で10月1日が「コーヒーの日」となったのは1983年。冷え込んで書き入れ時となる秋冬にかけてコーヒーの需要をさらに喚起しようと全日本コーヒー協会(東京)が定めた。

 10月1日はコーヒー業界の新年度でもある。2015年に国際コーヒー機関(ICO;International Coffee Organization)が「国際コーヒーデー」(International Coffee Day)と制定し、コーヒーの関連事業で生計を立てる何百万もの農家を支えようと、生産者の立場も尊重している。

「全日本コーヒー商工組合連合会」のウェブサイトより
「全日本コーヒー商工組合連合会」のウェブサイトより

 コーヒー豆は雨量や土質などの自然条件が整った土地でしか育たないとされる。その好適地は主に赤道を挟んだ南北に分布し、「コーヒーベルト」と呼ばれる。中でもブラジルが世界最大の生産量を誇り、10月に始まる新年度も、ブラジルでコーヒー豆が9月にほぼ収穫し終わることに由来するそうだ。

味の素AGFウェブサイト「コーヒーのことはここでわかる! コーヒー大事典」
味の素AGFウェブサイト「コーヒーのことはここでわかる! コーヒー大事典」

 日本では、コーヒーの日にちなんだイベントとして、カルディコーヒーファーム(東京)が1日に「コーヒーの日バッグ」、15日に「コーヒーの日巾着セット」を各店舗、数量限定で販売、キーコーヒー(東京)も1日午前11時から港区の本社ビル1階で第9回「工場直送チャリティカフェ」を開いて商品を詰め合わせた「お楽しみ袋」を数量限定で販売する(完売次第終了)。全日本コーヒー商工組合連合会(東京)はコーヒーミルやドリップセットなどを計520人に抽選でプレゼントする。

 また、日本唯一のコーヒーの博物館と謳(うた)う「UCCコーヒー博物館」(神戸市)は通常大人300円、65歳以上150円としている入場料を1~3日に限り無料とする。各社が「コーヒーの日」のPRを兼ねた活動に力を入れている。

スタバ凌ぐ「脱ドーナツ」のダンキン

 所変わってニューヨーク。市の保健精神衛生局のウェブサイトによると、市内にある飲食店2万6865のうち、「Cafe/Coffee/Tea」は1797あり、そのうちスタバは327店(9月26日現在)。

 ただ、この1797の数字に表れない、市内最多の飲食チェーン店がある。マクドナルドでも、ウェンディーズでもなく、ダンキン(Dunkin’)で633店ある。「ダンキンドーナツ」として知られ、2019年に名前から「ドーナツ」を取り、より飲料系に注力していくと姿勢を鮮明にした。日本では吉野家系列で運営されていたが、業績不振で1998年に撤退した。

ダンキンのウェブサイトより
ダンキンのウェブサイトより

 ニューヨークの店舗数では、ダンキンの後塵を拝すスタバだが、全世界では2018年に2万9324店、全米でも1万4606店と多く、それぞれ1万1300、8500のダンキンを圧倒する(店舗は概数)。

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 さらにスタバは新業態の「スターバックス リザーブ ロースタリー」を18年12月にニューヨークにオープン、東京にも19年2月に開いた。スタバは世界中で出店を加速し、19年に3万店を超えている(出典:statista)。

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 米国のスタバは「裏技」もある。コーヒーを頼んだ同じ店なら2杯目が無料でおかわりでき、1杯当たりで換算すると1ドル台になる(19年9月現在)。米スタバの会員となり、登録した「Starbucks Card」で購入することなどが条件。1杯15ドルのラーメン、20ドルのパスタがざらにあるニューヨークにあって破格だ。

大多数は2強以外

 上記円グラフを見てもわかる通り、スタバやダンキン以外が圧倒的に多いことが分かる。多店舗展開している例としては、日本にも上陸した「Blue bottle Coffee」(17店)

や、未上陸の「Birch Coffee」(8店)

、オーストラリア系の「Bluestone Lane」(19店)

、「Intelligentsia」(2店)

や「Everyman Espresso」(3店)

など個性的な店が揃う。

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 今回、日本のお店にはあまり触れなかったが、1杯数百円で落ち着けるカフェはありがたい存在だ。スタバのような有名店でなくとも、各地の街角には住民に愛されるカフェ、憩いの喫茶店があるものだ。

クイーンズ区フォレストヒルズの街角にあるベトナム系のカフェ
クイーンズ区フォレストヒルズの街角にあるベトナム系のカフェ

 10月1日、あらためてそうしたお店や、コーヒー豆を生産する人々に思いを致したい。

(表記のない画像は筆者撮影・作成)

記者

執筆テーマはAIやBMIのICT、移民・外国人、エネルギー。 未来を探究する学問"未来学"(Futures Studies)の国際NGO世界未来学連盟(WFSF)日本支部創設、現在電気通信大学大学院情報理工学研究科で2050年以降の世界について研究。東京外国語大学ペルシア語学科卒、元共同通信記者。 主著『生成AIの常識』(ソシム)、今年度刊行予定『未来学の世界(仮)』、『エネルギー業界大研究』、『電子部品業界大研究』、『AI・5G・IC業界大研究』(産学社)、訳書『Futures Thinking Playbook』。新潟出身。ryuta373rm[at]yahoo.co.jp

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