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メディアの信頼度を海外ニュースの情報源としての観点からさぐる

不破雷蔵グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  
↑ 世界がつながっている以上、海外の情報は大切。どこから入手するのが信頼できるか(写真:アフロ)

海外ニュースに関していちばん信頼されているのは新聞

実際には情報の正確さはどこが伝えるかによるものだが、メディアベースでも信頼が多分に割り振られている。今回は総務省が2017年7月に情報通信政策研究所の調査結果として公式サイトで発表した「平成28年 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」(※)の公開値を基に、海外の各種ニュースの情報源としての観点から、各メディア単位での信頼の度合いを確認する。

まずは調査対象母集団全体の平均値。

↑ 普段利用している情報源における信頼度(2016年、海外ニュース)
↑ 普段利用している情報源における信頼度(2016年、海外ニュース)

新聞がトップ、テレビがそれに続き、ラジオがいくぶん低いものの、実質的には同レベルの状態。4マスでは唯一雑誌が低いが、これはコンビニの棚などでよく見かける一般大衆誌までも含めて雑誌全般との認識で回答されているからだと考えられる。

インターネット系ではインターネットニュースサイトの信頼度は高く1.73。次いでソーシャルメディア、動画共有サイト、ブログと続くが、ニュースサイト以外は基準値の1.50を割り込んでおり、どちらかといえば信頼できない範ちゅうに該当することになる。

年齢で違いが生じる!?

続いて各属性別の違いを確認する。まずは性別。

↑ 普段利用している情報源における信頼度(2016年、海外ニュース)(性別)
↑ 普段利用している情報源における信頼度(2016年、海外ニュース)(性別)

ほとんどすべての項目で女性の方が高めの値が出ている。特に雑誌やソーシャルメディアでは大きな差が出ている。これは利用性向そのものも多分に影響していると考えられる。もっとも、テレビやラジオ、新聞、インターネットニュースサイトが信頼できる範ちゅうで、それ以外は信頼ができない領域であることに違いは無い。

続いて年齢階層別。

↑ 普段利用している情報源における信頼度(2016年、海外ニュース)(年齢階層別)
↑ 普段利用している情報源における信頼度(2016年、海外ニュース)(年齢階層別)

大よそ全体値で信頼できる範ちゅうにあるメディアは、高齢層ほど高い値を示している。またいくつかの媒体で60代にてイレギュラーが生じているが、元々低いメディアは歳を経るほど信頼度も下がる動きにある。

ネットニュースサイトが高齢層ほど高いのは、一次ソースが新聞やテレビといった、もともと高齢層において信頼度の高い場所だからだと考えられる。他方、10代の信頼度が他の年齢階層と比べると突出する形で高い傾向があるのも気になるところ。幼い時からメディアとの接触に積極的となる一方(今件調査結果では元からその情報に関わる情報取得元として該当メディアを利用していない場合、平均値の算出には計上されない)、虚報や誤報の類との接触経験が少ないため、他の年齢階層と比べてピュアな状態で情報に接しているがための結果かもしれない。

続いて就業形態別。

↑ 普段利用している情報源における信頼度(2016年、海外ニュース)(就業形態別)
↑ 普段利用している情報源における信頼度(2016年、海外ニュース)(就業形態別)

特に際立った傾向は無いが、あえていえばインターネット系の情報源でフルタイムの値が低めに出ているのが目に留まる。「普段利用」とは就業時、プライベートを問わずだが、前者において情報源が不確かな場合が多いソーシャルメディアの情報をうのみにし、痛い目にあった経験を持つ人が多いのだろうか。容易に情報が拡散する仕組みを有するソーシャルメディアでは、誤報・虚報の類も浸透しやすい。ましてやそれが、すぐに内容の真偽を確認しがたい海外のニュースであればなおさらである。

最後は世帯年収別。

↑ 普段利用している情報源における信頼度(2016年、海外ニュース)(世帯年収別)
↑ 普段利用している情報源における信頼度(2016年、海外ニュース)(世帯年収別)

新聞やインターネットニュースサイトは一様に高年収ほど高信頼度を示す。テレビやラジオはいくぶん高年収ほど高い値のようだが、際立った傾向とは言い難い。またニュースサイト以外のネットメディアでは、ほぼ低年収ほど高信頼度を計上している。雑誌もその値動きに違い。年収そのものでメディアの信頼度に影響が生じると見るよりは、年齢階層に引っ張られていると見た方が妥当性はある。

年収区分や学生・生徒による変化はあるものの、大よそ信頼度の変化は世代(年齢階層)によるところがある。各メディアに慣れ親しんだ期間の違いがそのまま、それぞれに対する信頼度に浅からぬ影響を与えているかもしれない。その仮説が正しければ、今後10年単位の変化の中で小さからぬ信頼度のシフトが生じることもあり得よう。

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※平成28年 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査

2016年11月26日から12月2日にかけて、全国125地点をランダムロケーションクォーターサンプリング(調査地点を無作為に抽出、地点ごとにサンプル数を割り当て、該当地域で調査対象者を抽出する方法)によって抽出し、訪問留置調査方式により、13歳から69歳を対象とする1500サンプルを対象としたもの。アンケート調査と日記式調査を同時併行で実施し、後者は平日2日・休日1日で行われている。

今件項目では主要メディア、具体的にはテレビ、ラジオ、新聞、雑誌、そしてインターネットに関してはネットニュースサイト、ソーシャルメディア、動画配信・共有サイト、ブログ・その他サイトに細分化した上で、海外ニュースに関する情報源として、どの程度信頼できるかを「非常に信頼できる(3)」「ある程度信頼できる(2)」「あまり信頼できない(1)」「まったく信頼できない(0)」「そもそもその情報源を使わない、知らない」のいずれかから回答者自身の考えにもっとも近い選択肢を一つ、選んでもらっている。その上で、「そもそもその情報源を使わない、知らない」以外の回答に関して割り当てられた数字の平均を信頼度として算出している。全員が「非常に信頼できる」と答えれば3.00、「まったく信頼できない」なら0.00となり、値が大きいほど大きな信頼が寄せられていることになる。

一方この方法では「そもそもその情報源を使わない、知らない」の回答者は信頼度算出の際には除外されている。この回答者の中には「信頼がおけないので使っていない人」が居る可能性も否定できず、現実の信頼度は算出値よりもいくぶん低いと見た方が無難ではある。

グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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