米海兵隊の総司令官、戦場におけるAI活用を訴求・自律型兵器の導入も指示
アメリカ海兵隊の総司令官のデイビット・H・バーガー氏は海兵隊の各部隊の行動の合理化と戦時におけるロジスティックスの加速にはAI(人工知能)の活用が欠かせないことを2021年2月に開催された国防産業のためのExpeditionary Warfare Conferenceというイベントにて明らかにした。
バーガー氏は「特に敵の追跡、ロジスティックスでの最適なルートの決定と無人機による配達にはAIを活用する必要がある」と語り「海兵隊は信頼できるAIのシステム化を急いで構築すべきだ」と主張した。そして「今すぐに標的の検知から攻撃まで完全自律化したプロセスを行うためのAIのプログラムを構築すべきだ。しかしAIとデータに依拠しすぎてしまってはダメだ」と語っていた。アメリカ海兵隊は人間の軍人が操作することも可能だし、自律的に運用することもできる「神風ドローン」を搭載した無人船(Long Range Unmanned Surface Vessel:LRUSV)を導入した。いわゆる自律型殺傷兵器である。
さらにバーガー氏は「AIシステムについてしっかりと訓練を行った海兵隊員たちは、技術に圧倒的な自信を持っていることが研究結果で明らかにもなりました」と語り、軍需産業界の人々に海兵隊向けにAI技術の訓練の支援を求めていた。
実際に人間よりもAIの方が優れている分野は多い。特にロジスティックスで最適なルートを決定するのは人間よりもAIの方が優位だろう。またAI技術の軍事分野での活用で、自律型の兵器の開発は進んできている。人間の判断を介さないでAI技術を搭載した兵器自身が判断して標的に攻撃を行うことが非倫理的であると国際NGOや世界の30か国が自律型殺傷兵器の開発と使用に反対を訴えている。アメリカは反対しておらず、むしろ、このように積極的に自律型の兵器の開発を進めようとしている。中国は自律型殺傷兵器の使用には反対しているが、開発には反対していない。