大学生が一番お寝坊な起床時刻の実態をさぐる
起床時間に関して「お年寄りは早起き」「大学生は起床時刻をはじめ時間にルーズ」とはよく耳にする話だが、事実なのだろうか。年齢階層別の起床時間の実情を総務省統計局による社会生活基本調査(※)の公開値から確認する。
次に挙げるグラフは男女・曜日別、そして年齢階層別の平均起床時刻の動向を記したもの。男女共に、曜日を問わず、20~24歳がもっとも遅起きとなっている。
成人では概して女性の方が起床時刻が早い。これは別記事でも記した通り、朝の家事で忙しく、少しでも時間を確保するためのもの。一方男女とも20代前半がもっとも遅起きとなり、以後少しずつ高齢層になるまでは早起きに移行していることが分かる。「遅起きピーク」の20代前半は多くの人が大学生であることから、時間的にルーズな生活を過ごしていることは容易に想像できる。
実際、ライフステージ別の起床時刻から、該当しうる領域もあわせた就学状態別の起床時刻を見ると、大学生などの仕切り分けがもっとも遅起きとなっている。
大学生などは土日には9時近くまで寝ているのが確認できる。
もっとも大学時代を過ぎると、一様に少しずつだが早起き化していく。70代以降は歳を取るに連れて逆に起床時間が遅くなるが、現役世代と比べて「お年寄りは早起き」との話は大よそ間違いはない。
やや余談になるが、男女で平日・年齢階層別の起床時刻を比べると次の通りとなる。
大学時代がもっとも遅起き、あとは年を取るに連れて早起き化する点は変わりない。一方成人となった以降は男女差がほぼ一定のまま推移しているのが分かる。これは多分に「配偶者や子供向け・朝の支度時間を少しでも工面するための」早起きと考えられる。子供が成人化する50代以降、差異が急速に縮まるのも、その理由ならば説明がつく。
男女の差異は20~30分。一日だけならともかく、平日は毎日繰り返されることを考えれば、感謝せずにはいられないとの男性諸氏は少なくあるまい。
■関連記事:
※社会生活基本調査
5年おきに実施されている公的調査で、直近分となる2016年分は2010年時点の国勢調査の調査区のうち、2016年の熊本地震の影響を受けて調査が困難な一部地域を除いた、総務大臣の指定する7311調査区に対して実施された。指定調査区から選定した約8万8000世帯に居住する10歳以上の世帯員約20万人を対象としている。ただし外国の外交団やその家族、外国の軍人やその関係者、自衛隊の営舎内や艦船内の居住者、刑務所などに収容されている人、社会福祉施設や病院、療養所に入所・入院している人は対象外。2016年10月20日現在の実情について回答してもらっているが、生活時間については2016年10月15日から10月23日までの9日間のうち、調査区ごとに指定した連続する2日間についての調査となる。調査方法は調査員による調査世帯への調査票配布と回収方式。
(注)本文中の各グラフは特記事項の無い限り、記述されている資料を基に筆者が作成したものです。