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FRBの利下げは年内1回との予測に(「予定」ではない)

久保田博幸金融アナリスト
(写真:ロイター/アフロ)

 6月11日、12日に開催されたFOMCで、主要政策金利を据え置くことを決定した。決定は全会一致。金利据え置きは7会合連続となる。政策金利であるフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標レンジは5.25~5.50%のままとなった。

 四半期に1度公表される経済見通し(ドットチャート)によると、2024年末時点での政策金利の予測中央値は5.1%となり、2025年末の政策金利の予測中央値は4.1%となっていた。

 1回あたり0.25%の利下げ幅で想定すると、年内はあと1回、来年は4回の利下げを予測する格好ながら、これはあくまで予測であり、予定とかではない。

 年内の利下げ回数は、FOMC参加者の8人が2回、7人が1回、4人がゼロと回答した。これから見る限りにおいて、利下げは慎重に進められるであろうとの見方もできる。

 パウエル議長はFOMC後の記者会見で、現時点で政策を緩和し始めることを正当化するような自信を持っているとは考えていないと述べた。

 この日の朝に発表された5月の米国の消費者物価指数は前月比で横ばいになり約2年ぶりに上昇が止まった格好となった。

 パウエル議長は「金融政策は引き締め的で、我々が望むような効果をもたらしている証拠はかなり明確だ」と歓迎した。

 市場は利下げを期待しすぎていた側面もあったが、今回のドットチャートを受けて、年内のどこかでの利下げが一度行われるが、連続しての利下げは考えづらくなってきた。大統領選挙も控えており、その利下げのタイミングもなかなか見極めづらくなりそうだ。

金融アナリスト

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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