【河内長野市】美加の台のすぐ南側の南海旧線跡、天見川側のトトロ街道に、滝の流れる小さなお寺を発見!
河内長野市の三日市町より南側には、山と山の谷間にもともとからある集落と、山の上の新興住宅地がありますね。
新興住宅地でも最大なのが美加の台ですが、その南側は天見川が流れており、谷間になっていて渓流の音が聞こえるゆったりしたところです。そんな谷の中に、法谷寺と書かれた寺があることを知りましたので、行ってみることにしました。
ここは南海高野線の旧線路跡でトトロ街道と呼ばれているところです。千早口方面から進み、この先には美加の台駅がありますが、その途中で謎の小さな寺院に遭遇します。
現在は遊歩道になっている旧線路跡を歩くと、簡易住宅のような建物が見えてきました。
ここは寺のようです。周りが山に囲まれた谷のなか、集落もないようなところに突然現れます。
寺院の前に行くと、他のお寺でもよく見かける仏教の言葉などが貼り付けられている看板がありました。
上に、この寺の名前、「法谷寺」と書いてあります。ここは浄土宗の寺院です。
それにしても不思議です。集落のところにあるのならともかく、家がない自然の山と川の渓流、それから遊歩道しかない場所になぜ寺があるのでしょう?
まずこの場所にある理由ですが、それはこちらの地図を見ればわかります。寺の奥の山の上には石仏バイパスが通じており、そこから車で降りて来られる道があります。
このときはバイパスで車の通行量が多いこともあったので行きませんでしたが、ストリートビューなどで見ると、「法谷寺」との看板が石仏バイパスの道沿いにあって、下に降りられるようになっているので、この場所に寺があってもなんら問題がなかったわけです。
とはいえ、なぜ集落ではなくこのような谷底に寺が建てられたのか?建物も簡易的な作りです。
調べたところ、法谷寺は平成20年ごろと比較的新しくできた寺院だとわかりました。どうも地元の人に寺を建ててほしいと頼まれ、堺にある浄土宗寺院の子院のような立場としてこの地に来たそうです。
次に、河内長野には寺が多くあるのに何でわざわざ堺から法谷寺が来たのかといえば、宗派が浄土宗というのがヒントになっているようです。
こちらは、大阪府がネット上に無料で公開している自治体ごとに登録されている宗教法人の報告書なのですが、河内長野市を見ると有名寺院はもちろんそのほかの寺院も含めて圧倒的に真言宗系の寺院が勢力を保っています。
宗派の中に派閥があって少しややこしいですが、まとめてみると真言宗系の寺院が16あるのに対して、非真言宗系以外が17となっています。
(注:真言宗と律宗が合わさったとされる真言律宗を非真言宗系としてカウントしました)
浄土宗 1
浄土真宗本願寺派 2
真宗大谷派 1
融通念仏宗 5
日蓮宗 1
本門佛立宗1
和宗1
曹洞宗1
真言律宗1
辨天宗1
単位系仏教 2 (非真言宗系 17)
高野山真言宗 4
真言宗御室派 11
真言宗国分寺派 1(真言宗系 16)
登録されている寺院の過半数近くが真言宗寺院というのは、他の周辺自治体と比べて河内長野が際立っています。恐らくは高野山を後ろに控えているからというのが理由だと考えられます。
しかし、いわゆる現在の葬式を中心とした信者の多い日本では、真言宗より浄土系や日蓮系の信者の方が多いはず。実際に他の周辺自治体はそれらの宗派の寺院が多数を占めます。
法谷寺は、今回の大阪府の名簿に登録されていません。河内長野で登録されている浄土宗の寺院は美加の台にある法然寺だけでした。
つまり河内長野にいる人が、浄土宗の寺院が少ないために、新たに寺院を欲していたというのが背景にあるように感じました。
新興住宅地が近くにあり、様々なところから移り住んできた人たちなので、伝統的な集落にいる人と宗派も異なっていると思われます。
改めて建物を見ると、寺院建築ではよく見かける、花頭窓(かとうまど:火灯窓)という梵鐘の形に似た窓がありました。
せっかくなので参拝することにしました。
建物の間から山が見えます。この山の上には石仏バイパスがあり、その先には美加の台があるんですね。
本尊が祀られている本堂は閉まっているようでしたが、弁財天が祀られているところは参拝できるようになっています。
瀧袋山との山号をもつ法谷寺らしく、弁財天の拝殿の後ろは、小さな滝がありました。
寺の前には天見川の渓流が流れ、水の音がやさしく耳に伝わります。
ということで、意外なところにあった法谷寺を参拝しました。町から離れた山の中にあって驚きましたが、山と町が近い河内長野らしいといえばそうですね。
瀧袋山法谷寺
住所:大阪府河内長野市岩瀬160-1
アクセス:南海美加の台駅から徒歩14分
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