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世界は豚骨ラーメンに恋をしている。国内で外国人が急増する菊陽町でも豚骨最強を実感

上村敏行ラーメンライター
2024年6月17日オープンの「麺や 白鈴」は菊陽町の発展をびんびん感じる一店

台湾の半導体企業「TSMC」の進出で沸く熊本県菊陽町。超巨大企業の強烈なインパクトと共に絶賛発展中のこの町では“食”を取り巻く環境も大きく変わりつつある。今回の麺連載はそんな菊陽町の盛り上がりを実感する一店、2024年6月17日にオープンした「麺や 白鈴(はくりん)」を紹介。ラーメンのジャンルは、北九州の老舗「ラーメン一発」に習った、いわゆる“いにしえ系豚骨”であり、地元の老若男女だけでなく工場関連で急増した外国人の胃袋もがっちりと掴んでいる。「北九州の名ラーメンが熊本に登場」という麺情報に加え、“いま世界は豚骨ラーメンに恋をしている”ことを示す好例でもあるのだ。

26歳でラーメン店を開いた西中裕喜さん
26歳でラーメン店を開いた西中裕喜さん

「麺や 白鈴(はくりん)」の店主・西中裕喜さんは1998年熊本県大津町出身。北九州の名店「ラーメン一発」の2代目店主・西中淳さんは従兄弟にあたる。「僕自身は地元の熊本でラーメンのキャリアをスタートさせてまた違う豚骨を作っていたのですが、3年前久しぶりに『一発』のラーメンを食べた時…しみじみと旨いなと。まさに日常的に食べたくなる一杯はこういうものだと改めて感銘を受けました。ラーメン職人として入口に立っていたからこそ、また違う角度からラーメン一発の凄みに気付けたのかもしれません。熊本でも広めたいと強く思うようになりました」。

「白鈴」のラーメンは乳化した白いスープ。飲み干したくなる優しい濃度と塩気
「白鈴」のラーメンは乳化した白いスープ。飲み干したくなる優しい濃度と塩気

北九州の“超”が付く名店「ラーメン一発」は筆者自身も惚れ込んでいる店であり、現店主の西中淳さんと先代の亡き父との親子のストーリーはまた別の機会に詳しく書こうと思うが、「一発」そして「白鈴」は、“真っ白い乳化スープ”が第一の特徴である。

豚骨と鶏ガラを半々の割合で炊き、背脂も用いてしっかりと乳化させた白濁スープ。ライトな濃度で脂のギトギト感は全くない。フレッシュさにこだわり1日で使い切る、羽釜での取り切り手法をとる。一口目は比較的あっさりと感じる方も多いかもしれないが、食べ進めるごとに深い旨味が押し寄せてくる。いわば含みのあるピュアな白いスープ。だからこそ最後まで飲み干したくなる。そして毎日でも食べたくなる。麺は100年以上の歴史を誇る北九州「田中製麺」謹製。

寸胴ではなく羽釜で炊き上げる。写真でも分かるように白い。継ぎ足しはせず1日で使い切るため常にフレッシュ感が立つ
寸胴ではなく羽釜で炊き上げる。写真でも分かるように白い。継ぎ足しはせず1日で使い切るため常にフレッシュ感が立つ

「TSMC関連で台湾だけでなく多国籍のお客様に来ていただいています。豚骨のコクをしっかりと感じながら“くさみがないスープ”は外国人の方も食べやすいようで、このラーメンは世界にも通じる手応えを感じています。干し海苔か焼き海苔を選べる佐賀県産最高級一番摘み海苔のトッピングの魅力も広めたいですね。スープの中でとろけて風味が増し、麺ともねっとりと絡んで最高」と西中裕喜さん。

デフォルトのラーメン、佐賀県産最高級一番摘み海苔のトッピング、さらに国産豚の豚バラチャーシューを約6枚へと増量したチャーシューメンも美味。

菊陽町は一大観光地の阿蘇への入口的な場所にある。ドライブ途中に同町の発展を体感しに、また「麺や 白鈴」の白い豚骨ラーメンを味わいに訪れてほしい。

【麺や 白鈴(はくりん)】

住所:熊本県菊池郡菊陽町原水1159-5 菊陽町役場テナント101

電話:096-237-7938

営業時間:11:00〜15:45(LO)

休み:火曜(祝日の場合翌日)

席数:20席(カウンター12、テーブル8)

駐車場:12台(無料)

ラーメンライター

1976年鹿児島市生まれ。株式会社J.9代表取締役。2002年、福岡でライター業を開始。同年九州ウォーカーでの連載「バリうまっ!九州ラーメン最強列伝」を機にラーメンライターとして活躍。各媒体で数々のラーメンページを担当し、これまで1万杯以上完食。取材したラーメン店は3000軒を超える。ラーメン界の店主たちとも親交が深く、ラーメンウォーカー九州百麺人、久留米とんこつラーメン発祥80周年祭広報、福岡ラーメンショー広報、ソフトバンクホークスラーメン祭はじめ食イベント監修、NEXCO西日本グルメコンテストなど審査員も務めてきた。その活躍はイギリス・ガーディアン紙、ドイツのテレビZDFでも紹介

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