アメリカ人が想う最重要の、信頼のおける自国軍とは
敵性勢力の軍事的侵略行為から自国を守り自国民を保護し、国権を維持するための国家的組織として軍が存在する。世界最大の軍事力を有するアメリカの場合は主なものを挙げても陸海空軍、さらには海兵隊、そして沿岸警備隊もそれに類するものとなる。それでは同国民の視点では、どの組織が同国を守るためにもっとも重要だと思われているのか。同国の大手調査機関ギャラップが2014年5月に発表した調査結果をもとに、その実情を探る。
アメリカの陸、海、空、海兵隊、湾岸警備隊と主要5軍事組織のうち、もっとも同国を守るために重要だと思うかとの問いに、一番多くの人が選択したのは陸軍だった。26%が「アメリカを守るためにもっとも重要なのは陸軍」と答えている。
次いで重要視されているのは空軍で23%、海兵隊19%、海軍が17%と続く。空軍は年代を経るに連れて重要だとの認識が減りつつあるものの、直近になって持ち直しを示している。その分海兵隊は直近で多少値を下げ、空軍と立ち位置が逆転。
陸軍の安定感は他の部局を凌駕するものであり、安定のトップ。イラクやアフガニスタンにおける激しい地上での戦いが、これまでの「空軍が一番重要」という意見を持つ人を減少させ、陸軍をその分増やしたもののようだ。ビジュアル的な要素の大きい報道が、人の意識を変化させるという観点で考えれば、道理は通る。
他方、国を守るために重要だと思われている対象が、そのまま誇らしく、頼もしい存在であるように見えているとは限らない。どの組織が一番誉れ高いかとの質問には、海兵隊が他の組織を大きく引き離し、最上位にある。しかもさらにその度合いはますます上昇している。
海兵隊が寄せられる信頼性の高さは、その少数精鋭的なイメージと実態、数々の実録、さらには架空のドラマや映画などに登場するその雄姿が主な原因。エリート部隊たる海兵隊の活躍を直接・間接的に描く作品は多く、それらのイメージが浸透している。
無論数字の低い対象組織に重要性が無いわけでは無い。そして信頼がおけないはずもない。今件は相対的な話であり、また選択肢に挙げられていない組織も、同様の重要性を持ち責務を果たしている。
日本で同様の調査をした場合、どのような結果が得られるのだろうか。近隣諸国の動向が伝えられるに及び、気になるところではある。
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