【河内長野市】地球オルガンで観心寺の森を鳴らし、さらに関西万博を目指す!サキタハヂメさんの野望とは?
今さら説明するまでもなく河内長野市を代表する寺院・観心寺。通常なら正面の山門から石段を上がり、まっすぐ行った奥にある国宝の金堂に直接参拝しますね。
しかし、途中で左に曲がる道があり、森におおわれたその道を歩いて行けば宝物館と重要文化財の恩賜講堂(おんしこうどう)があります。
この恩賜講堂は、京都御苑で行われた昭和天皇即位の大礼、その際に建てられた大饗宴(きょうえん)場の木材や装飾品が1930(昭和5)年に下賜(かし)されたものです。調べてみると観心寺のほか、全国の寺社や学校など、95団体に下賜されたそうです。
その中には橿原神宮や関西大学も含まれており、各地で会館などが建てられたそうですが、すでに取り壊され、残っているのはごく少数。その中でも当時の饗宴場を彷彿(ほうふつ)とさせるのは、観心寺の恩賜講堂だけなのだそうです。
昭和初期の時代背景の記憶が残るという意味でも貴重な恩賜講堂ですが、普段は外側からしか眺められません。しかし、行事やイベントで使われることがあり、文化の日に行われた観心寺マルシェでも「108人のヨガ」というイベントで恩賜講堂が使われました。
そして今回、河内長野市在住の作曲家、サキタハヂメさんのイベント「森のパイプオルガン2022」が恩賜講堂で行われます。
サキタハヂメさんについては、NHKなどメジャーな媒体で活躍する作曲家ではありますが、ここで河内長野市に目を向けると、毎年ラブリーホールで行われている「奥河内音絵巻」でおなじみですね。
しかし、今回のイベントは壮大な計画の始まりと聞きました。そこで12月10日・11日の開催を前に、サキタさんにお話をお伺いしました。
サキタさんによると、12月に恩賜講堂で行われる「森のパイプオルガン2022」は、地球オルガン・プロジェクトの一環として、観心寺恩賜講堂を使って演奏実験を行うとのこと。
地球オルガンプロジェクトとは、サキタさんが思いついたという「地球を演奏する」という壮大なプロジェクトです。
では、地球を演奏するということはどういうことなのでしょうか?それは楽器の演奏を電気信号に変換し、それをインターネットを利用して世界中に飛ばすというのです。
ネットを通じて受信した先では、その電気信号をもとに音を鳴らすことができ、結果的に地球規模で演奏ができるという仕組み。
理論上では、ネットやSNSで世界中の人とコミュニケーションが取れる時代ですから、それもうなづけますが、その信号を実際に音にして吐き出すにはどういう仕組みになっているのか、とても気になります。
まず、鍵盤を弾くと電気信号(MIDI信号)に変換されます。
次にその信号を受ける側ですが、開発中の楽器として、塩ビ(塩化ビニール)を使ってパイプを作っています。パイプひとつでひとつの音階を表現していて、それをいくつも組み合わせます。
さらに音の強弱のコントロールを、ファンによって作り出すことができるのだそうです。
では、なぜそういう発想が思いついたのかは、サキタさんのある経験。それは400匹の鈴虫です。
サキタさんがミュージカルソー(のこぎり)の演奏をしていると、それに共鳴して鈴虫が一斉に鳴き出したというのです。まるでオーケストラの演奏のように。
このときに自然と対話することの意味や素晴らしさを感じ取ったサキタさんが、このプロジェクトの可能性を見出したのです。
さらに、世界中の森を鳴らそうという地球規模のプロジェクトが、サキタさんの自己満足で終わるのではなく、自然環境を含む社会的課題の解決やSDGs(持続可能な開発目標)への積極的な取り組みを通じて人間社会のフォローアップを地球規模で行おうという目的があります。
こういうのは話を聞くだけで鳥肌が立ちそうな壮大な内容ですね。プロジェクトに携わっている人は、サキタさんをはじめ、次の方がプロデューサーとして参画しています。(以下敬称略)
- 永武賢二(チーフプロデューサー)
- 倉橋陽子(プロジェクトマネージャー/リサーチャー)
- 上田勝己(クリエイティブプロデューサー)
- 川崎正仁(イベントプロデューサー/プランナー)
さて、計画はずいぶん前から始まっていて、毎年行われている奥河内音絵巻や地元の木材を使ったオリジナル楽器の奥河内三弦(オッカサン)、奥河内五弦(オカンテレ)の開発は計画の前段階(フェーズ0)です。
今回の観心寺恩賜講堂で行われる「森のパイプオルガン2022」とYoutube配信でもある「森のキャラバン」はフェーズ1の段階。
その後、北欧エストニアなど海外での演奏が行われるフェーズ2を経て、2025年に行われる大阪・関西万博で行う計画がフェーズ3、そこで終わりではなく、その先のフェーズ4までの大がかりな計画があるのです。
ここで何点かサキタさんに質問しましたところ、次の回答をいただきました。
というわけで、河内長野から始まる壮大なプロジェクトの第一フェーズである森のパイプオルガン2022を体感してもらおうと、体感者を募集しています。
2022年12月10日 10:30開場 11:00開演 前売3000円/当日3500円
- 2022年12月10日 14:00開場 14:30開演 前売3500円/当日4000円(特典グッズ付き)
- 2022年12月11日 10:30開場 11:00開演 前売3000円/当日3500円
小学生以下無料。(料金には観心寺拝観料を含む)恩賜講堂は土足禁止なので上履きが必要です。
詳細は森のパイプオルガン2022 ~山を鳴らす はじまりのはじまり~(外部リンク)で、ご確認ください。
恩賜講堂のある観心寺の鎮守の森の近くでは、かつて空海が北斗七星の霊を呼び寄せ、中世の河内で活躍した楠木正成の首が鎮座。さらにその首塚の前で幕末の先駆けとされる天誅組が決起した場所と、日本の歴史が動くたびに、観心寺の鎮守の森は静かに見守っていました。
そして21世紀の令和の時代になり、鎮守の森の前では新しい歴史の第一歩が見られるとのこと。河内長野市民でもあるサキタハヂメさんの野望の一端を、一緒に見届けても楽しそうです。
観心寺恩賜講堂
住所:大阪府河内長野市寺元475
アクセス:南海・近鉄河内長野駅からバス 観心寺バス停より徒歩3分
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