Yahoo!ニュース

【保存版】加湿器の選び方

せす家電Youtuber/元家電量販店店員

今年も乾燥の季節が近づいて来ました。冬はもともと空気が乾燥する上に、暖房器具などの影響でより乾燥してしまいます。乾燥対策といえば真っ先に思い浮かぶのは加湿器ですが、加湿器は多くの種類があって迷ってしまうと思います。

安いのを買って失敗する人もいれば、高いのを買ったのに期待以下の働きだったなんてこともあるので今回は加湿器の選び方についてご紹介したいと思います。

加湿器は主に下記の5つの方法で選ぶケースが多いです。

①加湿器の種類(加湿方式)
②部屋に合わせた選び方
③使い勝手
④デザイン
⑤メーカーの特徴

一番重要なポイントをどこに当てるかは、人それぞれです。

加湿器の選び方①加湿器の種類

加湿器が機能する際に“加湿”をする方法が機種によって違います。その違いで、加湿量やメンテナンス性が変わってくるので、目的にあった機種を選ぶのがおすすめです。

超音波式

一見して加湿器と見てわかるタイプで、ミスト状の水分が本体から放出されるものです。仕組みとしては、超音波振動で水をミスト化することで加湿をしてくれます。加湿器と言われて多くの人がイメージするもので、冬場の家電量販店やホームセンターなどでは実演されていることが多いです。

メリット

◆加湿量が多い

超音波振動で強引にミスト化するため、加湿量は非常に高いです。水の粒子が大きいため加湿する力は一番大きく、加湿する速度や広さもNo.1です。とにかく加湿のことを考えた場合は超音波式の加湿器がおすすめです。

◆電気代が安い

熱を使わないため、電気代はそんなにかかりません。機種によっては1時間で1円以下の機種もあります。

◆価格が安い

超音波式の加湿器は種類が多く、安いものであれば2,000円前後で販売されているものもあります。1日中加湿ができる大型のタンクのものでも、1万円以下で購入できる機種もありコストパフォーマンスの高い加湿器となっています。

◆デザインが豊富

構造上、デザインが制限されることがなく、いろいろなデザインの機種が作られています。木目のデザインものやタッチ式スイッチのもの、またインテリアとしても使用できるライト付きの機種もあります。デザイン重視なら超音波式で選ぶのがいいと思います。

デメリット

◆カルキを放出する

メリットがたくさんある超音波式の加湿器ですが、デメリットは一つだけ。ただこれがかなり注意が必要です。

通常は加湿をする時は、水道水を入れて使われることが多いです。この加湿器は超音波振動で水をミスト化する際に、水道水に含まれるカルキやミネラルも粉状になって水のミストと一緒に放出されます。放出されたカルキやミネラル分は、静電気を帯びやすい電化製品やプラスチック製のものに付着してしまうことがあります。

指でこすれば取れる程度ですが、かなり細かく空気中に飛散するため、電化製品の内部やクリアファイルなどの1ページ1ページにカルキが付着するので、気になり出したら解決しない悩みになってしまいます。

そんなに気になる場合は水道水を使わなければいいと思う方もいらっしゃいますが、水に含まれるミネラルも放出するため、純水を呼ばれる何の成分も含まれていない水じゃない限り解決することがありません。

また同様に、頻繁にお手入れをしないと加湿器内で繁殖した雑菌がそのまま空気中に放出されるので衛生面に不安が残ります。

スチーム式(加熱式)

スチーム式は水を加熱した時に出る蒸気を利用して、加湿をするタイプです。機種によっては蒸気が少し見えます。

メリット

◆加熱するので衛生的

ヒーターで水を加熱して放出する蒸気は、煮沸してるため衛生的です。カルキやミネラル分は蒸気中にほとんど含まれません。

デメリット

◆電気代が高くなる

ヒーターで加熱する分、電気代がかかります。加湿器の中では一番電気代が高く、ものによっては1時間で20円前後かかる機種もあります。暖房器具などと併用して利用する場合は、ブレーカーが落ちてしまう家庭もあると思うので注意が必要です。

◆安全面で不安がある

ヒーターで加熱しているので、加湿器内部の水の温度が高くなります。万が一、使用中に本体が転倒してしまった場合は、内部の水がこぼれてしまう可能性があるので、寝室や高い棚の上など使う場所には注意が必要です。機種によっては湯こぼれを抑えてくれる機能が付いている機種もあります。

◆タンク内部にカルキが残る

メリットで加熱することにより蒸気は衛生的と記載しましたが、加熱して分離したカルキは本体内部に残ります。また、水が切れてしまっても電源が切れない機種だと、加熱し続ける事で乾燥が進むのでカルキが石化して簡単に落ちなくなってしまいます。加湿器内部は加湿器の中では1番汚れる可能性が高いです。

気化式

気化式はタンクの水にフィルターを浸して、湿ったフィルターに向けて送風することで加湿をするタイプです。

メリット

◆電気代が安い

ヒーターなどを使わず、送風ファンを回すだけなので電気代はかなり安く、1時間運転しても0.1円しかかからない機種もあります。

◆一番汚れにくい

これまでに紹介した他の加湿方式の加湿器に比べると、放出する湿った空気も、タンク内の水も汚れにくいです。

◆お手入れしやすい

気化式の機種は本体内にトレイがあり、そこを外すだけでお手入れができます。本体自体に水が溜まる機種は、本体ごと洗ったりする必要があって面倒ですが、気化式の機種はトレイだけの移動で済みます。もともと汚れにくい上に、お手入れもしやすい衛生的な作りとなっています。

トレイを外してお手入れ可能
トレイを外してお手入れ可能

デメリット

◆本体サイズが大きい

加湿能力を上げるために大きなフィルターとファンが必要になるので、本体サイズが大きくなることが多いです。比較的小さな機種でもA3判の用紙程度の設置面積が必要になる場合もあるので、設置場所の確認が必要です。

◆加湿能力が低い

濡れたフィルターに送風するだけなので、他の加湿器よりも加湿能力が低いです。エアコンがついている広いリビングなどでは、加湿するのに時間がかかってしまうこともありますし、湿度を60%に設定してもそこまで湿度を上げるのは難しいです。

◆設置場所周辺の温度が下がる

冬に加湿をする際、冷たい水を吸ったフィルターに送風するため、排出する空気の温度が低くなります。設置場所の近くはかなり寒くなりますので、普段生活する場所のそばに設置するには向きません。

ハイブリッド式

ハイブリッド式はこれまでの3つの加湿方式のうちいずれか2つを採用した機種です。2つの方式を組み合わせる事で、デメリットをカバーすることができます。

◆ヒーター×気化式

気化式にヒーターが搭載されており、暖かい空気を送ることで、設置場所周辺の温度低下を軽減し、湿った空気が広がりやすくなります。

◆スチーム式×超音波式

超音波式にヒーターを搭載することで、湿度の広がりを促進します。

②部屋に合わせた選び方

加湿器はその特徴によって、使用する部屋の向き不向きがあります。加湿方式だけでは決められない場合はどこで使用するかで決めるのがおすすめです。

リビングにおすすめ

超音波式

広い空間の加湿には超音波式がおすすめです。

エアコンをつけての使用でも十分に加湿することができます。一方で気化式などはエアコンがついていると加湿が難しいです。

寝室におすすめ

気化式

寝室は暖房を消して使うことが多いので、超音波式だと加湿量が多すぎて朝には一面霧景色になることがあります。気化式は加湿量が弱く、静音性に優れているので睡眠を邪魔せずに加湿可能です。

子供部屋におすすめ

気化式や超音波式

スチーム式の加湿器は万一の時に熱い水がこぼれてしまうので危険性があります。気化式や超音波式だと安全に使用することができます。ただ、超音波式は雑菌が繁殖しやすいのでお手入れは忘れずに行いましょう。

③使い勝手

加湿器は上記の3種類が主な種類ですが、メリットデメリットに記載しているお手入れのしやすさなどの使い勝手で選ぶことも一つの方法です。

お手入れのしやすさなら気化式

手入れが一番面倒なのは、スチーム式の加湿器です。スチーム式は少しでも水がない時間ができてしまうと、内部に汚れが発生して石化するためお手入れが大変です。気化式は比較的汚れにくいのでお手入れが簡単にできます。しかし気化式でもフィルターのお手入れは必要になります。お手入れ方法も基本的にはトレイを外して丸洗いできるので本体ごと移動したりする必要もありません。

どの加湿器にしても、頻繁なお手入れをしないと汚れてしまいます。

給水しやすい上部給水

加湿器は水を入れなければ加湿ができません。給水方法は機種によって異なり、多くの機種はタンクに水を入れる方式を取っています。しかし給水のタイミングはこちらの都合なんてお構いなしで、無くなったら給水しなくてはなりません。また、就寝前にタンクの半分くらい水が残っている時に、朝まで水が持つかどうか判断して途中で給水するか放置するか選択する必要があります。

本体に直接水を注げる上部給水
本体に直接水を注げる上部給水

そんな時に上部給水に対応の機種なら、本体はそこに置いたままペットボトルや鍋に水を入れて本体の上から給水ができます。少し水がなくなった時に注ぎ足しできるのはもちろん、タンクに満杯に入れた重い水を運ばなくてもいいので上部給水は便利な機能です。

加湿器内部が1番汚れやすいタイミングは、電源がついている状態で水がなくなった時です。電源がついていると熱や風の影響で内部が乾燥して汚れがひどくなります。上部給水なら継ぎ足し続けることができるので、内部の汚れを少しだけ軽減できます。

マグネット式のコンセント

加湿器は本体ごと洗わないといけない時があります。その時にコンセントが本体から外れない場合、水をかけてはいけない場所があったり、排水方向が指定されていてわずらわしいことがあります。また、配線を隠したりした場合は、洗う際にいちいちコンセントを抜いて移動する必要があります。「コンセントを抜いてまで洗うなら今度でいいか」などと後回しにして汚れが落ちなくなってしまうこともあります。

マグネット式で本体から取り外しができるコンセントの機種であれば、お手入れの際に本体を外して移動が可能です。また、濡らしてはいけない配線部分がないため、大雑把に洗っても問題がない機種もあります。

④デザイン

機能じゃよくわからないって方は、デザインで選んでもいいと思います。デザインでいうと超音波式の加湿器が一番おしゃれなデザインです。気化式は一番家電っぽいデザインです。加湿器はかなり多くのデザインがあって選び放題な部分がありますので、気に入ったものを選ぶのも一つの手です。しずく型の機種や木目調のおしゃれな機種などもありますし、中にはライトが付く機種なともあるのでインテリアに合わせて選ぶのもいいでしょう。

⑤メーカーの特徴

多くの種類がある加湿器ですが、メーカーによって特徴的な機能が付いている機種もあります。加湿方式で決められない場合は、メーカーの特徴で選んでみてもいいかもしれません。

ダイニチ

ダイニチは新潟県にあるメーカーでもともとは石油ファンヒーターなどを製造していたメーカーです。ダイニチの加湿器は温風気化式を採用しており、清潔性に優れていることが特徴です。

APIX

しずく型の超音波式加湿器が有名です。APIXはいくつかの加湿器を作っていますがSHIZUKUシリーズが大人気です。アロマ対応でアロマトレイに好きなアロマオイルを入れることで、好きな匂いを楽しむこともできます。ライト付きのものもあってインテリア要素も高い製品です。

象印マホービン

象印の加湿器はポットによく似たデザインのスチーム式加湿器が有名です。ポットのように開口部が広いことでお手入れがしやすく、ポット洗浄剤の要領でクエン酸洗浄に対応してます。衛生面から選ぶ方も多く転売も多くされているので購入の際は注意してください。

SHARP

シャープの加湿器は気化式の加湿器です。上部給水に対応しているので、楽々給水できます。タンクに直接給水もできるので一気に給水できることもできます。また給水経路がお手入れしやすいので衛生的に保つことができます。

Panasonic

パナソニックの加湿器は気化式の加湿器で、マイナスイオンのナノイーを搭載しています。内部のカビを抑制する効果があります。DCモーターを搭載していて、静音性に優れているので寝室での利用にぴったりです。また省エネ運転ができることで1日8時間の利用で1ヶ月の電気代も約53円と安く済みます。

ということで今回は加湿器の選び方についてのご紹介でした。加湿器は値段も幅広く、種類も多いため迷ってしまいがちです。ただ大きく分けると意外と共通の加湿方式であり、それによって使用用途や使いやすさが変わるものとなっています。お手入れや加湿能力など自分に必要なもの、譲れないものはなにかで選んでいただけると満足のいく買い物ができると思います。

公式ブログの方で「店員が本気ですすめる加湿器3選」と題して紹介する記事を書いてますので、気になる方はそこからチェックしてみてはいかがでしょうか?

家電Youtuber/元家電量販店店員

元家電量販店店員。白物担当として勤務して理美容、調理、生活家電など広い分野を担当。とにかく家電が好きで、YouTubeにて実際に買った商品やおすすめ商品の紹介や、家電の選び方の解説などもしています。Youtube以外にもWebメディアでの記事執筆やラジオ出演など幅広く活動経験あり。

せすの最近の記事