30本塁打7度とGグラブ9度の三塁手は、オプト・アウトせずに残留。契約の残りは5年1億4400万ドル
今オフ、ノーラン・アレナード(セントルイス・カーディナルス)は、現在の契約を打ち切り、FAになることができる。けれども、そうせずに残留するようだ。ジ・アスレティックが最初に報じ、ESPNなども続いている。
2019年の開幕前に、アレナードは、コロラド・ロッキーズと8年2億6000万ドル(2019~26年)の延長契約を交わした。もともと、この契約には、2021年のオフにオプト・アウトできる権利がついていた。昨年2月、アレナードは、5選手と交換にロッキーズからセントルイス・カーディナルスへ移籍し、その際、2022年のオフもオプト・アウトできることになった。また、2027年の年俸1500万ドルも加わった。
現時点では、5年1億4400万ドル(2023~27年)の契約が残っている。その年平均額は、2880万ドルだ。
来年の開幕早々、アレナードは、32歳の誕生日を迎える。FAになる年齢としては、そう若くはない。
ただ、2015年以降の8シーズン中、30本塁打に届かなかったのは、短縮シーズンの2020年しかない。実質的には、7年連続30本塁打以上と見ていいだろう。今シーズンのホームランは30本ちょうどながら、二塁打42本(と三塁打1本)を打っている。OPSは.891だ。2015~19年の5年連続.895以上に対し、2020年と2021年は.738と.807に終わったが、今シーズンはかつての水準近くまで浮上した。
アレナードは、三塁の守備も優れる。2013年のメジャーデビュー以来、9年続けてゴールドグラブを手にしていて、今シーズンもファイナリストとなっている。すでに発表されたフィールディング・バイブル・アウォードは、今シーズンの受賞が2年ぶり5度目だ。こちらは、1ポジションにつき、両リーグ合わせて1名の選出。2015~20年の6シーズンに受賞した三塁手は、アレナードとマット・チャップマン(当時オークランド・アスレティックス/現トロント・ブルージェイズ)のどちらかだった。
また、今オフにFAとなるかもしれない選手のなかに、アレナードと肩を並べる三塁手は見当たらず、今後数年にわたってレギュラーを務められそうな選手も、皆無に近い。エバン・ロンゴリア(サンフランシスコ・ジャイアンツ)とジャスティン・ターナー(ロサンゼルス・ドジャース)――2人とも来シーズンの契約は球団オプションなので、破棄される可能性がある――は、もう30代後半に入っている。30歳のブランドン・ドゥルーリーは、今シーズン、シンシナティ・レッズとサンディエゴ・パドレスでプレーし、計28本塁打とOPS.813を記録したものの、その前の7シーズンとも、ホームランは20本に達したことがなく、OPS.790以上もなかった。ブレイクが継続するかどうかには、疑問符がつく。
それでも、アレナードがオプト・アウトではなくオプト・インを選択するのは、カーディナルスでプレーし続けたいという気持ちに加え、年齢も理由ではないだろうか。FA市場に出た場合、新たに得る契約の総額は、1億4400万ドルを上回るかもしれないが、際立つ上積みはない気がする。そうであれば、オプト・アウトする意味はあまりない。