NY金25日:反落、地政学的リスクでの買いは続かず
COMEX金12月限 前日比3.80ドル安
始値 1,075.00ドル
高値 1,080.40ドル
安値 1,067.10ドル
終値 1,070.00ドル
トルコ軍のロシア軍撃墜を受けての地政学的リスクは盛り上がりを欠き、反落した。
前日はトルコがロシアのジェット機をシリア北西の国境付近で撃墜したことを受けて、金相場は地政学的リスクの高まりを織り込む形で急伸した。アジアタイムはこうした前日の堅調地合を反映して買い優勢の展開になり、一時は1,080.40ドルまで値位置を切り上げている。ただ、前日高値1,080.70ドルを上抜くことに失敗したことに加えて、欧米株が総じて落ち着きを取り戻す中、欧米タイムは戻り売り優勢の展開に転じている。1,070ドル割れで下げ一服となったが、ドル高の影響もあって前日の上げ幅を相殺する動きが優勢になった。
引き続きトルコ・ロシア情勢には十分な注意が必要であり、これをきっかけに中東地区などの地政学的環境が悪化すれば、安全資産としての観点から金相場が買い直される可能性は残っている。ただ、金融市場全体を見ると特に目立ったリスクオフの動きはみられず、ここから一段と金相場を押し上げるようなニーズは高まっていない。フランスの同時テロ発生時も、当初は金相場は買いで反応したものの、その後は欧米株の底固さを確認すると同時に下げに転じている。今回もこれと同様の相場展開が実現した格好になっている。
なお投資家マインドは不安定であり、26日の感謝祭を前に売りポジションの利益確定を進めるニーズも高かった。しかし、それでもマイナス圏に沈んだことは金相場の地合の悪さを明確に物語っている。本日発表の10月個人支出は前月比+0.1%とやや伸び悩んでいるが、10月耐久財受注が+3.0%と急増したこともあり、米景気に対しては高いレベルの信認が維持されている。このまま地政学的リスクのインパクトが解消に向かえば、徐々に戻り売り優勢の地合に回帰しよう。10月下旬から急落傾向が続いてきていただけにリバウンドリスクには注意が必要だが、1,050ドル、1,000ドルと下値切り下げを打診する展開は維持される見通し。年初来安値1,062.00ドルを下抜けば、下げ足が加速しよう。