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新生マーリンズが来シーズンの年俸総額を大幅削減へ

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
大胆なチーム改革に着手するデレック・ジーター氏を代表とする新オーナー・グループ(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 マーリンズの地元紙『Miami Herald』現地13日に報じたところでは、チーム買収に成功したデレク・ジーター氏をはじめとするオーナー・グループが、来シーズンの年俸総額を大幅削減する方向で調整している模様だ。

 記事によると、MLB関係者の証言として新オーナー・グループは来シーズンの年俸総額を9000万ドル(約100億円)前後に設定しているという。今シーズンの年俸総額が1億1500万ドルだったことを考えると大きな削減が必要なさそうに見えるが、実はそうではない。

 今シーズンの選手がそのまますべてチームに残留した場合、来シーズンのマーリンズの年俸総額はさらに1億4000万ドルまで膨れあがってしまうのだ。田澤純一投手を含めすでに来シーズンの契約が確約されている8選手だけですでに9300万ドルを超えてしまっている。さらに年俸調停の資格を持つ主力選手たちと再契約するためには、さらに約3000万ドルは必要だと予測されている状況なのだ。

 やはり目標額を達成するには大幅な削減が必要であり、そのためにはどうしても高額選手のリストラに手をつけなければならない。中でも来シーズンはチーム最高額の2500万ドルが保証されている他、2027年まで残り2億8500万ドルを支払わなければならないジャンカルロ・スタントン選手が大きなネックになっている。

 スタントン選手以外でも、マーティン・プラド選手(1350万ドル)、エディンソン・ボルケス投手(1300万ドル)、ディー・ゴードン選手(1080万ドル)、ウェイン・チェン投手(1000万ドル+800万ドル)が来シーズンに1000万ドル以上の年俸を保証されており、年俸削減を達成するのは放出リストに加えるしかないだろう。ちなみに田澤投手も年俸が700万ドルに達しており、決して安穏としていられる状況にない。

 ちなみにシーズン終了直前にマーリンズ残留希望を表明していたイチロー選手だが、チームが保有するオプション権を行使したとしても支払われる年俸は200万ドルなので、年俸総額を圧迫するほどの額ではない。ただ新オーナーグループにとっては年俸総額削減が喫緊の課題だけに、イチロー選手の契約に関しては高額選手たちの整理が完了してからになりそうだ。

 いずれにせよ、多くのマーリンズ選手たちにとって厳しいオフが待ち受けていることになるだろう。

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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