科学でわかった「キャンプの驚くべき効能」。ホルモンレベルで睡眠の質が改善することが明らかに
「最近よく眠れていますか?」
「あなたの睡眠の質は十分に良好でしょうか?」
自信を持ってイエスと答えられる人は少ないのではないでしょうか。そんな生粋の現代っ子の皆さんに朗報です。
キャンプに行くことで、現代人の睡眠の質が改善することが科学的に立証されています。
なぜ、キャンプと睡眠の質が関係しているのでしょうか?
元製薬会社研究職で、現・日本キャンプ協会認定インストラクターの私が、その理由についてわかりやすく説明します。
現代では、ただ生きているだけで睡眠の質が悪化する
実は現代の社会では、ごく普通に暮らしているだけで睡眠の質が悪化していく生活を強いられます。
人間も、時を遡れば、野山を駆け回る野生生物でした。
その後時は流れ、技術の進展と共にものすごいスピードで人の生活環境は変化していきましたが、人間の身体の仕組み自体は野生生活の頃から変わっていません。
つまり、
外界の「光(日光)が多ければ昼」、「光がほぼ完全に無くなれば夜」という基準で体内時計は動いており、眠気を生み出すタイミングをコントロールしています。
しかし現代人は、日中は学校・会社の屋内でわずかな太陽光しか浴びず、日没後も人工照明で光を浴び続けるという、動物としては非常に不自然な生活を送っています。
これにより、原始時代と全く同じ仕組みで動いている体内時計は混乱し、うまく睡眠のリズムを作れず、眠りの質が悪化しているのです。
キャンプは体内時計を整える
そこでキャンプの出番です。
キャンプでは、原始時代と極めて近い生活を送ります。すなわち、昼は屋外でたくさんの日光を浴び、日没後は、焚き火やランタンなどの最小限の光だけでゆっくりと過ごす。
この太陽の動きに合わせた生活により、私たちの体内時計は正常に働くようになります
それを立証したのが、コロラド大学が行なった研究*(1)です。
被験者に2日間のキャンプを行なってもらったところ、睡眠ホルモン(メラトニン)の分泌が改善することがわかりました。
しかも、メラトニンの量だけでなく、分泌のタイミングも改善されており、夜になると自然と眠気を感じる方向に体内時計がシフトしていました。
デスクワークと人工照明を手放せない現代人は、定期的にキャンプに行って、ホルモンレベルで体内時計をチューニングした方が良さそうです。
キャンプに行く理由がまた1つ増えてしまいました。
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「そうは言っても、キャンプに行くにはそれなりにお金もかかるし、行きたくてもそうそう行けないよ」という方も多いかもしれません。
確かに、キャンプ場代を始め、食費、交通費、キャンプギア費用と、出費に事欠かないのがキャンプの弱点でもあります。
そんな方は、こちらの記事を参考に、キャンプの出費をうまく抑えてみてください。
参考文献
*1 『Circadian Entrainment to the Natural Light-Dark Cycle across Seasons and the Weekend』Ellen R. Stothard et al.