ガザ地上戦への緊張高まる中聞くべき ハマスに誘拐され人質にされているイスラエル人々の家族や友人達の声
ガザで人道危機を迎える一方、ハマスに襲撃され家族や友人を拉致され、そして虐殺されたイスラエル市民の声ももっと知らなくていけない。
今も人質として捕えられ救助を待つ人たちがいる。
「伝えて欲しい」と連絡をくれたMiel Ichiharaさんはイスラエルと日本にルーツを持つ。両親や親族は皆イスラエルに。
イスラエル南部で暮らす親族は襲撃を受け叔父は腰を撃たれ今も集中治療室に。友人家族は10人の行方がわからない。うち3人は子どもだ。他にもいる。
自分の家族が拉致される様子をSNSに公開されたハマスの戦闘員が撮影した動画で知った人もいる。
地上戦が始まると言われる中、そうした人たちがガザで人間の盾にされている。この後インタビューをする。
戦争で市民が殺されている。ガザでもイスラエルでも。
Mielさんは「国際社会という言葉が無責任に聞こえてしまう。これは人道の危機。一刻も早く命を救って欲しい」と語る。
ハマスによって拉致された家族と連絡を取り合い、自らの親族も攻撃を受けたMielさんが今、「国際社会」に訴えたいことは何か、インタビューをお伝えする。
堀)
まず自己紹介をお願いします。
Miel)
私は、日本生まれですが、11歳の時にイスラエルに越して向こうで育ち、数年前に東京に引っ越してきました。家族は全員イスラエルにいます。父親は日本人ですが、父もイスラエルにいます。
イスラエルの南の方のエリアには親族が結構多く住んでいます。私達の家族は、テルアビブやハイファなど北の方なので、ロケット弾が飛んでくるくらいで済んでいてそこまで被害は大きくないんですけど、テロ侵入があったのが南の方で、そこで親戚の家が攻撃されたり、叔父が撃たれたりとかをしてしまいました。
堀)
Mielさんのところには、今回の御家族、ご親族が被害に遭われたというのは、どういう形で伝わってきたんですか?
MIel)
母から連絡がありました。南の方に住んでいる私の親族は、テロリストが進入してきた時に、叔父が腰を撃たれて、だいぶ安定してきましたが、今も集中治療室に入院しています。叔母によると、多数の銃声が聞こえ、家が攻撃されている様子を聞いていたといいます。
◆「白い車」でカモフラージュしてやってきた
堀)
さらに具体的な状況はわかりますか?
Miel)
今回のテロ攻撃は本当にサプライズの行為でした。実は詳しい情報を、被害を受けた人自身も分かってないんです。例えば、私の叔父はテロリストに撃たれたけど、そのテロリストがどうやって町に侵入してきたのか、というのは分かってないんです。恐らくガザ地区の方から上がってきて、多分車で上がってきたのだろうと。
イスラエルの南の方は、農家がたくさんいるんですけど、農家は、白い大きいトラックのような車をよく使うんで。今回はその車で侵入してきたようなのですね、その車で侵入してきたのも、やはりカモフラージュ的な理由があって、敢えて白い車を選んできたのではと言われています。そういう白いトラックで侵入してきて、降りていきなり銃殺が始まった様子です。
誘拐された方に関しては、拉致されてしまったので、どこにどういう風に拉致されたのか、生きているのか分からない状態です。
子ども達を誘拐された家族の親族の方にお話を聞いています。その家族のケースは、お父さん、お母さん、双子の赤ちゃんたちが本当に車に乗せられて拉致されてしまいました。家を出る瞬間からガザに入るまでの映像が全部あるんですね。ハマスが撮影していたものです。
◆映像で家族の誘拐を知らされる心理的負担、新たな攻撃
あまりしっかりと報道されていない問題の一つとしては、イスラエルの人全員が毎日凄い苦しい思いをしてる問題として挙がるのがSNSなんですね。
SNSの発信というのは、やっぱりできる限りしていかないといけないという使命感を持って動いてる人たちはたくさんいるんですけど、拉致された自分の親族がどこにいるのかを知るために、SNSを見なくてはいけない。そうすると、虐殺映像がさまざま投稿されてくる状態なので、子供たちのトラウマが増えていたりします。
今回に関してはすごく2023年らしい、戦争の問題だとは思うんですけど、自分のおばあちゃんが殺害されたのをFACEBOOKの動画投稿で知ったりとか、娘が殺されている動画が、日本でいうLINEみたいな感じで送り付けられてきたりとか、そうやって個人的な精神的被害を加えようとしてるっていうのがすごく非人道的なやり方だと思っています。
◆「国際社会」を無責任なことばにしないために必要なこと
「今じゃない」のは分かるんですけど、タイミングとして、イスラエル政府への怒りとハマスへの怒りもそうですし、それを少しでも金銭的な支援をしてきた日本政府の怒りもそうですし、もうお金で解決をしてきて支援したつもりになってる「国際社会」に対しても憤りを持ちます。
根本的な治療。この問題を治療するっていうことをちゃんと考えていないという怒りです。結局何かもがそうです。イスラエルの話をうまい具合に大統領選のスピーチに使ったりなど、もうめちゃくちゃなことじゃないです。アメリカでは、トランプ候補が「俺だったらああいった戦争は起きなかった」ということを演説していて、そういう話じゃなくて。
俺だったらこういう戦争起きなかった、みたいなことを言うんだったら早く私の友人助けてください。今も、現状への怒りと話す怒りと悲しみと憎しみと日本にいる、今の自分の無力さとやっぱりこの「国際社会」っていう無責任な形に思うところがあります。
「国際社会」といっても、実態としては誰も、どこにも属してないじゃないですか。誰も誰の責任も取らないじゃないですか。
結局、パスポート1つか2つじゃないですか。税金を納めているのは1カ国でしょう。「国際社会」と言っても結局何も動かないじゃないですか。
堀)
今いろいろお話気持ち聞かせていただきましたけども、事実関係も含めてこれをぜひ伝えたいってことが他にあれば最後にそれを聞いて一旦インタビュー閉めようと思うんですけども。
Miel)
人質に取られている私の友人達も何十人もいるので、できる限りの手を打って欲しいです。せめて赤十字との面談であったり、和解とまではいかないと思うんですけど、何かしらの「アグリーメント(合意)をしてもらい、人質を解放してもらえるように世界的な問題として取り上げていただきたいなと思っています。
日本も、ヨーロッパだったり、アメリカだったり、先進国の一つにして持たないといけない「人道的問題」だと捉え、責任を果たしてもらいたいと思います。