視聴者数争いでNFLに惨敗して、トランプ大統領にネタにされたNBAファイナル
今季のNBAはロサンゼルス・レイカーズがマイアミ・ヒートを退けて、リーグ最多タイとなる17回目の優勝を飾って幕を閉じた。
レブロン・ジェームズ、アンソニー・デービス、ドワイト・ハワードとドラフト全体1位指名選手を3人も抱えるスター選手揃いのレイカーズ。対するヒートは主力にドラフト外入団の選手が2人もいる雑草軍団。戦前の予想はレイカーズが圧倒的に有利だったが、ヒートはジミー・バトラーの奮闘もあり、第6戦まで食い下がった。
バトラーの全身全霊をささげたプレーでNBAの歴史に刻まれた今季のNBAファイナルだが、感動的な内容とは裏腹にテレビの視聴率は歴代最低を記録してしまった。
ニールセン社の調査によるとアメリカ国内での今年のNBAファイナルの平均視聴者数は749万人で、これは昨季のファイナル(1510万人)に比べて51%も減少。これはこれまでの最低だった2007年のNBAファイナル(サンアントニオ・スパーズ対クリーブランド・キャバリアーズ)の929万人を大きく下回り、NBA歴代最低視聴者数のファイナルとなってしまった。
ネットフリックスに代表される定額制動画配信サービスの成長でテレビ離れが起こっているのは事実だが、NBAファイナルの試合と同時刻に放映された3局(CNN、FOXニュース、MSNBC)のニュース番組は78%増で3局合計で870万人が視聴した。
新型コロナウイルスや大統領選挙への関心がスポーツよりも高まっているかと言えば、そうとも言えない。
アメリカで最も人気があるスポーツリーグであるNFLは、相変わらず高い視聴率を誇っている。
レイカーズが優勝を決めたNBAファイナル第6戦は現地時間の10月11日、日曜日の夜に行われ、ABCで放映された試合を観た視聴者は829万人、視聴率は3.2%だった。
ABCのライバル局、NBCは同時間帯にシアトル・シーホークス対ミネソタ・バイキングスの試合を放送したが、こちらはプレーオフではなくレギュラーシーズン中の試合にもかかわらず1508万人が視聴、4.2%の視聴率を記録した。
ちなみに同時刻にはケーブルテレビ局のTBSではメジャーリーグのアメリカン・リーグ・チャンピオンシップ第1戦(タンパ・レイズ対ヒューストン・アストロズ)が放映されたが、視聴者数は334万人だった。
ここ数年、アメリカではケーブルテレビ局に払う受信料が高騰しており、ケーブルテレビから定額制動画配信サービスに切り替えている人が増えているが、ABCやNBCと言った地上波放送局は誰もが無料で視聴できる。
NBAファイナルの視聴者数がNFLのレギュラーシーズンに惨敗したことは、ドナルド・トランプ大統領のツイート・ネタにもなったが、NBA優勝を決める試合の2倍近い視聴者が同時間帯に行われたNFLのレギュラーシーズンの試合を視聴した事実から、NFLがどれだけアメリカ国民に愛され、支持されているスポーツなのかがうかがい知れる。
NBAは昨年のファイナルと比べて51%も視聴者が減ったが、NHLのスタンリーカップ・ファイナル(210万人)は61%減、ゴルフの全米オープン(320万人)も42%減、テニスの全米オープンは45%減、競馬のケンタッキー・ダービー(930万人)も43%減と各スポーツが視聴者数を半減させている中で、NFL(17%減)の健闘が光っている。
シーホークス対バイキングスの「サンデー・ナイト・フットボール」は週間視聴者数2位で、1位は地上波のFOXで木曜日の夜に放送された「サースデー・ナイト・フットボール」のシカゴ・ベアーズ対タンパベイ・バッカニアーズ戦の1511万人。3位は地上波のCBSで放送された「マンデー・ナイト・フットボール」のカンザスシティ・チーフス対ニューイングランド・ペイトリオッツ戦の1470万人とNFLの試合がトップ3を独占。
水曜日の夜に放映された副大統領候補による討論は合計で5790万人が視聴したが、地上波とケーブルテレビ局合わせて18局で放映され、その中で最も視聴者が多かったのはFOXニュースの1194万人だった。