日本人の86%は「中国の姿勢は嫌いだ」と考えている
文化交流や経済の相手として頼りになる存在の中国だが、今世紀に入ってからの対外拡大・強硬政策の姿勢は、日本にはあまり好ましくない動きであることは否定できない。軍事力の示唆による敵対的威圧もたびたび行われ、剛腕国家的なイメージを持つ人も少なくないだろう。今回はアメリカ合衆国の民間調査会社Pew Research Centerが2017年10月に発表した、日本人を対象にした日本の現状に関する調査報告書「Japanese Divided on Democracy’s Success at Home, but Value Voice of the People」(※)を基に、日本人における中国への認識の実情を確認していく。
次に示すのは中国に対する印象を具体的な説明文で挙げて、その内容を肯定できるか否か、回答者の認識を尋ねたもの。説明文によっては2択の場合もあり、その時には「強い肯定」「強い否定」のみで仕切り分けしている。例えば「中国政府は自国民への自由の権利を尊重していない」は85%の人が肯定を示しており、否定をしている人は9%に留まっている。
「中国政府は自国民への自由の権利を尊重していない」と考えている人は85%、自由の権利を尊重していると考えている人は1割にも満たない。また、中国の姿勢そのものが嫌いだとする人は強弱合わせて86%にも達しており、嫌いではないとする人の11%をはるかに上回る。
現在の中国国家主席である習氏を信頼できないとする人は強弱合わせて81%。国全体としてだけでなく、そのトップに対する信頼度合いも極めて低い。そして中国の影響力は日本にとって脅威であると考えている人は強弱合わせて89%と9割近くにも達している。
トップも国全体も嫌いで、自由の権利を尊重しないような国がすぐそばにあり、脅威であるとの認識もされている。非常にやっかいな状態には違いない。
中国が「やっかいな状態」になった少なからぬ理由は、その国力の増大にある。そこで中国の成長に関して、経済面と軍事面に限り、日本にとってよいことか否かを尋ね、よいことであるとの回答率の推移を示したのが次のグラフ。
経済面での成長に関してはやや減少する傾向があるものの、ほぼ過半数の同意が示され続けている。他方軍事面では同意率は数%でしかなく、低い値が維持されている。多くの日本人は経済面よりは軍事面において、中国に大きな脅威、強い懸念を有していると見てよいだろう。
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※Japanese Divided on Democracy’s Success at Home, but Value Voice of the People
報告書の内容は2017年春のPew Research Centerによる国際的な一斉調査によって行われた調査結果の中から、日本における調査部分を抽出したもの。実施期間は2017年3月8日から4月2日。電話による音声対応でのインタビュー形式で行なわれており、RDD方式で選ばれた電話番号(固定電話と携帯電話が半々)にかけて、電話に出たのが18歳以上だった人が対象。総回答者数は1009人。性別、年齢階層別、地域別などでウェイトバックが実施されている。
(注)本文中の各グラフは特記事項の無い限り、記述されている資料を基に筆者が作成したものです。