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己の武器への自信と、相手のプレーへの対応力を発揮し、大坂なおみが初戦突破:マイアミオープン

内田暁フリーランスライター

マイアミオープン1回戦:大坂なおみ 62 26 62 P・パルメンティエ

グランドスラムに次ぐ規模の大会であるマイアミ・オープンに、18歳の大坂なおみが大会主催者推薦枠(ワイルドカード)を得て出場。初戦で30歳のベテラン、パルメンティエ(フランス/111位)と対戦し、苦しみながらもフルセットで同大会初の白星を手にした。

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対戦相手のパルメンティエは、今季開幕戦のブリスベンで勝った相手。その時の経験を踏まえた上で、大坂なおみは「基本的には、前回の対戦と同じようにプレーすることを考えていた」と言います。それは得意のサービスで押し込み、早い展開で自分から仕掛けること。しかし30歳のベテランは、それら大坂の武器に対し、相応の準備をしていました。サービスのコースを読んで鋭くリターンを返し、深いボールで強打を封じる。

「相手が自分のプレーに対応してきたので、私もそれにアジャストしていかなくてはいけなかった」。

流れが二転三転したフルセットの熱戦を、大坂はそのように総括しました。

最終セットのターニングポイントは、中盤の2ゲームの攻防で訪れます。先にピンチを迎え、それを切り抜けたのは大坂でした。第4ゲームで30-40のブレークポイントに直面しますが、この場面でラケットを交換し、そしてセンターに叩き込んだエース。

自信を持つサービスとフォアで攻めきり危機を脱した大坂は、続く第5ゲームでは、苦しい声を上げながらボールを返す粘りのプレーを発揮。最後はバックの強打をストレートにねじ込み、ブレークをつかみ取りました。

この2つのゲームを機に、サービスとフォアはますます鋭さを増して行きます。最終ゲームは、フォアの強打、サービスウイナー、さらには観客の度肝を抜く超高速エースで3ポイント連取。最後もエース級のサービスをセンターに叩き込み、プレミア・マンダトリー(※グランドスラムに次ぐ女子テニスで2番目に高いカテゴリー大会)初勝利を手にしました。

自宅から近いマイアミで開催されているこの大会は、大坂にとってはホームゲームのようなものでしょう。この日の試合も、家族や友人たちが見守る中での戦いでした。

「子どもの頃から、よく観に来ていた大会。最初の思い出は、11歳か12歳の時に、セレナ(ウィリアムズ)の練習を見たこと」

憧れの選手に目を輝かせるも「サインをねだることはできなかった」かつてのシャイな少女は、今や試合後に多くのファンからサインをせがまれる存在に。2回戦で対戦するのは第14シードのサラ・エラーニですが、「私は誰が相手でも、尊敬はしているけれど、恐れたり負けて元々と思ってコートに立つことはない」と、堂々勝利を奪いに行きます。

※テニス専門誌『スマッシュ』のfacebookから転載。連日、テニスの最新情報を掲載しています

フリーランスライター

編集プロダクション勤務を経て、2004年にフリーランスのライターに。ロサンゼルス在住時代に、テニスや総合格闘技、アメリカンフットボール等の取材を開始。2008年に帰国後はテニスを中心に取材し、テニス専門誌『スマッシュ』や、『スポーツナビ』『スポルティーバ』等のネット媒体に寄稿。その他、科学情報の取材/執筆も行う。近著に、錦織圭の幼少期から2015年全米OPまでの足跡をつづった『錦織圭 リターンゲーム:世界に挑む9387日の軌跡』(学研プラス)や、アスリートのパフォーマンスを神経科学(脳科学)の見地から分析する『勝てる脳、負ける脳 一流アスリートの脳内で起きていること』(集英社)がある。

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