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ホフディラン 名盤再現ライヴで感じさせてくれた21年目の瑞々しさ メジャー復帰アルバムへ高まる期待感

田中久勝音楽&エンタメアナリスト

名盤『多摩川レコード』完全再現ライヴ

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ホフディランといえば、小宮山雄飛、ワタナベイビーの二人のポップス職人が作り出す、オンリーワンのポップワールドが愛され続け、今年でデビュー21年目に突入したポップユニット。彼らが1996年にリリースしたデビューアルバム『多摩川レコード』は、90年代の名盤の一枚として、高い評価を得ている。その『多摩川レコード』を完全再現するライヴが2日、渋谷クラブクアトロで行われ、多くのファンが駆け付けた。さらにホフディランは、古巣のポニーキャニオンから、メジャー復帰アルバム『帰ってきたホフディラン』を10月18日発売する事を発表しており、ライヴの第2部では、その仕掛け人ともいうべき、当時のホフディランのレコード会社担当スタッフで、現ポニーキャニオン代表取締役社長・吉村隆氏とのエピソードも披露した。

ワタナベイビー
ワタナベイビー
小宮山雄飛
小宮山雄飛

ワタナベイビーは、自らのオフィシャルブログで、『『多摩川レコード』』再現ライブを10倍楽しむ方法』と題して、ファンに向けこの再現ライヴへの協力を要請。「なんと言っても必要なのが、大合唱系のコーラス。専門用語ではガヤコーラスなんて言ったりもするのですが、簡単だけど頭数が欲しい、というコーラスがありまして、アルバム再現を目指すためにはお客さんのお力が必要です!1曲ごとにコーラスの必要な部分を書いて行きますので、なにとぞご協力お願いします」と、1曲1曲解説し、ライヴ当日に向け盛り上げていた。1曲目「ホフディランのテーマ」からスタートしたこの日のライヴ、セットリストはアルバムと同じ曲順で、MCは一切なし。もちろんキーもテンポもアルバムのまま、という完全再現。第1部では、デビューシングルで代表曲の一つでもある「スマイル」など、収録曲全15曲を演奏した。

観客とのコラボレーションで、一曲一曲を完全再現し、ゴーストトラックまでも披露

ホフディランのライヴの楽しみのひとつは、二人の絶妙なやりとりが繰り広げられるMCだが、アルバムの完全再現だけにそれもなし。しかしこのライヴを待ちわびたファンは拍手と歓声で盛り上がり、しっかりとコーラスで参加し、めい一杯楽しんでいた。「『多摩川レコード』は不思議なアルバムで、今なら入れるような音が入っていなかったり、ヘンな掛け声やゴリラの鳴き声が入っていたり。本当はゴリラも連れてこようと思ったんですけど(笑)」と小宮山が後のMCで言っているように、掛け声はこのアルバムのユーモアやハッピー感を演出する重要な要素でもある。普段のライヴでも観客は掛け声を上手く再現しているが、この日はコーラス・真城めぐみのリードで、いつも以上にパーフェクト。抜群に息の合ったメンバーと観客とのコラボレーションによって、一曲一曲が完成形になった。改めて『多摩川レコード』にパッケージされているメロディの素晴らしさ、瑞々しい言葉、二人の声が重なった時に感じるユニークさと、どこか切ない感じが、エバーグリーンなものでるあるということを感じさせてくれた。アルバム収録曲15曲の後は、「よくこんなに遊ばせてもらったと思います」と小宮山が振り返る、アルバムの豪華ゴーストトラックを披露。「あたしのタイガース」、「僕らのタイガース」、「サッポロちゃん」、「ホフディランのテーマ・リプライズ」に加え、生演奏では難易度の高い全曲メドレーまで完全再現し、観客を沸かせた。

中:吉村隆(株)ポニーキャニオン代表取締役社長
中:吉村隆(株)ポニーキャニオン代表取締役社長

続く2部からMCが解禁。ここからは『多摩川レコード』収録曲以外の名曲を演奏。この第2部のセットリストには、前出の吉村隆ポニーキャニオン社長が関わった。「単に代表曲だけではなく、きちんと選んでくださったのがわかったので、愛されているなぁと」(小宮山)、「当時のツアーライブを観てくださっていた人ならではの選曲でした」(ワタナベイビー)というセットリストは、「11曲選んだのに3曲しか採用されなかった」(吉村氏)、「キミのカオ」、「欲望」、「遠距離恋愛は続く」が披露された。その他、配信限定シングル「愛しあって世界は回る」など、全6曲を披露。またこの日は、5年ぶりのニューアルバム発売以外にも、11月から行う東名阪のライヴツアーや、アルバムの旧譜5作品の再発も発表され、ホフディランまわりがさらに賑やかになってきた。

「ここにきて 最高傑作 ホフディラン」(小宮山)

『帰ってきたホフディラン』(10月18日発売)
『帰ってきたホフディラン』(10月18日発売)

1996年のデビューから大きく進化しながらも、まるでデビューし直すかのような2人のフレッシュなマインドが音楽に込められ、これまでのファンだけでなく、新しい世代にも広く届くことを予感させるライヴとなった。それは10月18日に発売される、ポニーキャニオンからは19年ぶりとなる、9枚目のオリジナルアルバムで、“ホフディラン史上最高傑作”と言われている『帰ってきたホフディラン』にも大いに感じる事ができる。アルバムとそれを引っ提げてのライヴツアー『帰ってくるホフディラン』が楽しみだ。

音楽&エンタメアナリスト

オリコン入社後、音楽業界誌編集、雑誌『ORICON STYLE』(オリスタ)、WEBサイト『ORICON STYLE』編集長を歴任し、音楽&エンタテインメントシーンの最前線に立つこと20余年。音楽業界、エンタメ業界の豊富な人脈を駆使して情報収集し、アーティスト、タレントの魅力や、シーンのヒット分析記事も多数執筆。現在は音楽&エンタメエディター/ライターとして多方面で執筆中。

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