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ドジャース・ロバーツ監督、勝負所での投手への代打起用見送りが裏目に。ナ・リーグ優勝決定第3戦

豊浦彰太郎Baseball Writer
ビューラーは好投を続けていたが、5回裏の好機では代打起用の手もあったのでは?(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

ナ・リーグ・チャンピオンシップシリーズは1勝1敗で舞台をLAに移したが、4対0でブルワーズがドジャースを制した。ドジャースの先発ウォーカー・ビューラーは好投したが、勝負を掛けるべきタイミングでのベーブ・ロバーツ監督の判断が結果的に裏目に出た。

1対0でブルワーズがリードの5回裏、ドジャースは先頭の7番ヤスマミ・グランダルが二塁打を放った。続く8番のキケ・ヘルナンデスは倒れ、1死2塁で打順は先発投手のビューラーに廻った。元々早めの投手交代で知られるロバーツ監督だ。勝負どころと思われたこの場面では代打を送る策もあった。しかし、そのまま打席に送ったビューラーは三振に倒れた。続くジョク・ピーダーソンも凡退で、ドジャースは好機を逸した。

6回以降もマウンドに上がったビューラーは6回にワイルドピッチで追加点を献上、7回には2点本塁打を打たれ、7回4失点で降板した。このシリーズ、初戦はエースのクレイトン・カーショウを(打ち込まれたとはいえ)4回途中で、第2戦は好投を続けていたリュ・ヒュンジンを5回途中で降板させたロバーツ監督にしては、やや不可解な5回裏の判断だった。

ロバーツ監督が5回裏の代打起用を見送ったのは、もっとビューラーに投げさせたかったということではなく、代打要員は右打ちしかいなかったからかもしれない。このゲームでは、左打ち(または両打ち)の打者を多く並べたスタメンを組んでいた。ブルワーズの先発投手ジューリス・チャシーン(右腕)は被OPSが相手打者の左右で差が大きく、左打者には.781だが右打者には.528とめっぽう強いのだ。しかし、右打ちとはいえその時点ではデビッド・フリーズ、クリス・テイラー、マット・ケンプなどの強打者がベンチに控えていた。ここは、実績ある彼らに賭ける手もあったかもしれない。

もっとも、ロバーツ監督はそれ以上に、後半にブルワーズの絶対的なリリーフエースのジョシュ・ヘイダーが登板した際にぶつけるべく、彼ら右の強打者を取っておきたかったのかもしれない。しかし、結果的にはヘイダーにフルーズ、ケンプをぶつけるもともに三振に切って取られた。

このあたりは、指名打者制を採らないナ・リーグのゲームならではの面白さではあった。

Baseball Writer

福岡県出身で、少年時代は太平洋クラブ~クラウンライターのファン。1971年のオリオールズ来日以来のMLBマニアで、本業の合間を縫って北米48球場を訪れた。北京、台北、台中、シドニーでもメジャーを観戦。近年は渡米時に球場跡地や野球博物館巡りにも精を出す。『SLUGGER』『J SPORTS』『まぐまぐ』のポータルサイト『mine』でも執筆中で、03-08年はスカパー!で、16年からはDAZNでMLB中継の解説を担当。著書に『ビジネスマンの視点で見たMLBとNPB』(彩流社)

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