「スプラトゥーン3」どこまで売れる? メガヒット「あつ森」の再現なるか?
任天堂の期待作の一つである「スプラトゥーン3」(ニンテンドースイッチ用)が9日、ついに発売されました。何せ前作「スプラトゥーン2」は、任天堂のゲームソフトとしては比較的“新参もの”のシリーズながら、世界出荷数1330万本(2022年3月末時点)を誇ります。今作「3」の大ヒットは当然として、どこまで売れるかでしょう。
◇小学生でも理解できる面白さ
「スプラトゥーン」シリーズは、水鉄砲やローラーなどの「ブキ」を手に、インクを塗った面積の広さを競うゲームです。イカに“変身”して、インクの海を泳ぐ操作もあり、戦略が問われます。ここ最近、敵味方に分かれて相手を撃つシューティング(射撃)ゲームが世界的に主流で、多くの人気ゲームがあります。しかし「スプラトゥーン」シリーズのキャラクターは見た目がキュートで、銃で相手を撃って殺したと感じるような残酷な表現を避けています。「水鉄砲遊び」を思わせ、誰もが手を取りやすい仕掛け、小学生低学年でも理解できる面白さがあります。
同シリーズの人気をさらに広げるべく、任天堂はわざわざ、同作を知らない人向けの特設サイト「これからはじめる『スプラトゥーン』」を用意。余計な言葉はなるべく省き、ビジュアル重視で、ゲームのイメージをざっくりつかめる内容で、広い層へのアピールに余念がありません。
◇「2」は国内だけで500万本超え
シリーズ1作目の「スプラトゥーン」は、「Wii U」向けソフトとして2015年に発売。「Wii U」が普及に苦戦する中で、本体の1400万台足らずという数値に対して世界出荷数495万本をたたき出しました。ゲームは知名度の高い「続編もの」「シリーズもの」が圧倒的に有利です。その中でブランニュー(完全新規のタイトル)が、「負けたゲーム機」で爆発的に売れたことは、多くの関係者を驚かせました。
そしてニンテンドースイッチ向けソフトとして、2017年に発売された「スプラトゥーン2」の世界出荷数は1330万本(2022年3月時点)と、前作に比べて約3倍に拡大しました。
書籍「2022 CESAゲーム白書」によると、日本国内の出荷数は初代「スプラトゥーン」が179万本で、「スプラトゥーン2」が503万本でした。日本国内だけで500万本を超えるのは、かなり高いハードルです。同書のデータでは「ドラゴンクエスト」や「モンスターハンター」などの人気シリーズでも、届いていません。
◇「どうぶつの森」のような爆発的伸び
「スプラトゥーン」シリーズの爆発的な伸びは、「どうぶつの森」シリーズのブレークによく似ています。「どうぶつの森」シリーズも、初代(ニンテンドウ64)は品薄になり、続くゲームキューブ版は、前作から約3倍の60万本以上に膨らみました。そして、広く普及したニンテンドーDS版では、500万本を超えるモンスターゲームに成長しました。500万本に届いたのも偉大な「先輩(どうぶつの森)」と同じです。
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前作の発売から5年が経過し、「スプラトゥーン」シリーズは人気ユーチューバーが扱う動画「ゲーム実況」などでも使われていますし、一般層を意識したプロモーションが目立ちます。そう考えると「3」が、前作並みに売れる可能性は「相当高い」と言えます。
しかし、ニンテンドースイッチで爆発的に売れて社会現象にもなった「あつまれ どうぶつの森(あつ森)」の国内出荷数は、何と1000万本を超えています。「あつ森」はゲーム自体の良さももちろんですが、新型コロナウイルスの感染拡大による「巣ごもり需要」という“追い風”がありました。アニメ映画「鬼滅の刃」の大ヒットもコロナの“追い風”があったように、運を味方に付けることも社会現象クラスのメガヒットには不可欠です。
そして「スプラトゥーン3」は、環境面では「あつまれ どうぶつの森」以上に恵まれています。ニンテンドースイッチは世界で1億台以上売れて、日本国内でも約2500万台も普及しているからです。あとは、良い意味で“火”がついて話題になり、多くの人を巻き込めるかでしょう。やはり「あつ森」のように新規層を 巻き込まないと、驚異的な数字は出せません。
もちろん「あつ森」の再現は、簡単ではありません。普通に売れるだけかもしれません(それでもすごいのですが)。こればかりは「神のみぞ知る」でしょう。何せ「あつまれ どうぶつの森」の世界的メガヒットを、誰も事前に予想できなかったのですから。そして「あつ森」や「鬼滅の刃」の大ヒットを受けて、多くのメディアが取り上げるような流れになるか。そこも一つのポイントになりそうです。「イカ」した快進撃を期待したいところです。