ロスの高級住宅地で土砂崩れ 山火事のあとは土砂災害が起きやすい
昨年アメリカでは、ハリケーン、山火事、寒波など、相次ぐ激しい現象が起き、災害による経済損失が国家史上最大となる3060億ドルに及びました。しかし新年を迎えた今もなお、災害の悪夢は終わっていません。
8日(月)から9日(火)にかけては、山火事の爪痕が残るカリフォルニア南部に大雨が降り、大規模な土砂崩れが発生しました。ロイターは少なくとも17人が死亡、いまだ8人が行方不明と伝えています。
土砂災害の場所と雨の詳細
土石流が発生したのは、ロス郊外の高級住宅地として知られるサンタバーバラ郡とベンチュラ郡です。海岸の美しいヨーロッパの保養地リビエラに似ていることから「アメリカのリビエラ」とも称されています。しかし土砂災害が起きた今では、まるで「戦場」のような惨状と化してしまいました。
上の写真は、大雨が降った時の衛星画像です。大きな渦巻きがロサンゼルス周辺にかかっているのがわかります。発達した低気圧の通過により、多いところでは2日間で約150ミリの雨が観測されました。これはこの地域の年間降水量の3割に相当します。
被害が拡大した一因は、先月起きた記録的な山火事です。「トーマスファイアー」と呼ばれるこの山火事は、11万ヘクタールを焼き尽くした、カリフォルニア史上最大の山火事でした。
山火事の後は土砂災害が起きやすい
では山火事の後ではなぜ土砂災害が起きやすくなるのでしょうか。
まず、火事で地面が焼けると舗装された道路のように表面が固まって、水を吸い込みにくくなることがあります。そのため、雨が降っても地面にたまることなく、すぐに流れ出てしまいます。
さらに、山火事により焼失した木々の残骸、灰などが地表を覆っているために、それが水で一気に流され、家屋や建物、橋などを壊していくのです。
アメリカ気象局によると、土地の傾斜や山火事の規模によって異なるものの、1時間で10ミリの雨が降れば、土砂災害が起きる可能性があるとしています。
その上で気象局は、自分がいるところの上の方に山火事の跡が見え、さらに雨が降り出したら土砂崩れの危険があると思って、そこから離れるよう注意喚起を行っています。