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NY金17日:FOMCはハト派評価、引け後に二桁高に

小菅努マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト
(写真:アフロ)

COMEX金12月限 前日比2.00ドル安

始値 1,118.70ドル

高値 1,122.60ドル

安値 1,114.70ドル

終値 1,117.00ドル

引け後に米連邦公開市場委員会(FOMC)の声明発表を控える中、ポジション調整中心の小動きに。ただ、引け後はFOMCの内容がハト派と評価され、1,130ドル水準まで急反発している。

前日はFOMCでの利上げ見送り観測からショートカバー(買い戻し)が先行する展開になったが、本日は明確な方向性を打ち出すには至っていない。アジアタイムは総じて底固く推移したが、欧米タイムは逆に戻り売り圧力が強まり、結果的に前日終値を若干下回る水準で引けている。

そのFOMCであるが、事前の市場コンセンサス通りに利上げ見送りになった。声明文では、「経済活動は緩やかなペースで拡大している」との見方が再確認されているが、「最近の世界的な経済・金融情勢は経済活動をやや抑制する可能性がある」として、特にインフレ見通しに下向き圧力を強めるリスクに懸念が表明されている。ラッカー総裁が利上げを主張して反対票を投じているが、FOMC全体としては引き続き不安定化している国際情勢を見極めたいとのムードが見受けられる。

イエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長は、なお当局者の大半が年内利上げを想定していることを確認している。また、記者会見を特別に設定する可能性も示唆することで、なお本来であれば記者会見が予定されていない10月会合で利上げに踏み切る可能性にも含みを持たせている。その一方で、ゼロ金利維持の可能性も完全には排除できないとして、今後の世界情勢によっては利上げ着手を来年に先送りする可能性にも注意を喚起している。当局者の利上げタイミング予想は、15年が13人、16年が3人、17年が1人となっている。前回の6月時点の予想では15年が15人、16年が2人であり、全体として金利上昇見通しが先送り傾向を強めていることが確認できる。

今回のFOMC全体のトーンとしては、10月利上げの可能性と年内利上げ見送りの可能性を示すことで、何ら今後の金融政策に手掛かりを残さなかったとも言える。ただ、マーケットでは利上げ見送りの場合は、利上げ着手の接近を示唆する発言が行われるとの見方が支配的だっただけに、ドルにネガティブ、金にポジティブとの評価が優勢になっている。

引き続き、金融政策の方向性は利上げ着手であり、イエレンFRB議長も追加緩和は検討していないと明言している。このため、金価格に対する反発力は限定的と考えている。ただ、今後の利上げ着手時期について明確な手掛かりを残さなかった以上、改めて売り込む決め手も欠いており、引き続き海外情勢や米指標などを眺めながら、利上げへの距離感を探る展開が続く見通し。今回のFOMCを受けて短期スパンで安値修正の動きが強まり易くなったが、あくまでもダウントレンドにおけるスピード調整的な動きとの評価で十分だろう。

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マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

1976年千葉県生まれ。筑波大学社会学類卒。商品先物会社の営業本部、ニューヨーク事務所駐在、調査部門責任者を経て、2016年にマーケットエッジ株式会社を設立、代表に就任。金融機関、商社、事業法人、メディア向けのレポート配信、講演、執筆などを行う。商品アナリスト。コモディティレポートの配信、寄稿、講演等のお問合せは、下記Official Siteより。

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