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NY原油13日:イラン情勢の不透明感が続き、期近は小幅続伸

小菅努マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

NYMEX原油5月限 前日比0.27ドル高

始値 51.81ドル

高値 53.10ドル

安値 51.47ドル

終値 51.91ドル

先週後半に続いていイラン核交渉の先行き不透明感が警戒され、期近は小幅続伸した。ただ、期先は小反落するなど、全般的に方向性が定まっていない。

イランの核開発問題を巡る同国と主要6カ国の協議に、進展はみられない。4月2日に枠組合意に漕ぎ着けたが、核開発縮小と経済制裁解除をどのタイミングで実施するのか合意形成が進んでおらず、6月30日までの最終合意形成に疑問の声が高まっている。交渉は続いているが、イラン側からは早期経済制裁を求める声が相次いでおり、段階的な制裁解除を主張する欧米との歩み寄りが可能なのか、やや慎重な判断が求められる局面になっている。こうした中、ロシアはイランに対するミサイルシステムの輸出解禁に踏み切っており、更に状況は複雑化している。地政学的リスクのみで急伸するような動きは見られないが、イラン産原油の輸出拡大時期が先送りされるとの見方が、原油相場の下値不安を後退させている。

3月の中国貿易統計によると、同国の原油輸入量は日量634万バレルとなり、前年同月比では+14%に達した。ただ、水準としては昨年11月以来の低水準であり、評価が分かれる数値になっている。少なくとも、3月には原油価格の安値を背景に調達量を増やすような動きは確認できなかった。

国際エネルギー機関(IEA)のエコノミストは、2015年の石油業界の投資は20%減少するとの見通しを示した。その上で、こうした投資減少を受けて、6ヶ月後には原油価格が押し上げられる可能性があると指摘している。もっとも、原油価格の急伸は想定されていないともしており、安値圏での短期リバウンドが半年後に実現するか否かという視点で考えていることが窺える。

50ドルの節目を挟んで不安定な値動きが続いているが、米国で在庫の貯蔵能力限界を試すトレンドが続いてる間は、反発力が限定されよう。ただ、米国内のシェールオイル増産傾向が緩んでいることも事実であり、将来的な需給均衡化を先取りする動きが強まるリスクには注意したい。需給面からは依然として安値低迷が必要なステージとみているが、相場が先走りするリスクが浮上している。

マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

1976年千葉県生まれ。筑波大学社会学類卒。商品先物会社の営業本部、ニューヨーク事務所駐在、調査部門責任者を経て、2016年にマーケットエッジ株式会社を設立、代表に就任。金融機関、商社、事業法人、メディア向けのレポート配信、講演、執筆などを行う。商品アナリスト。コモディティレポートの配信、寄稿、講演等のお問合せは、下記Official Siteより。

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