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今夏のトレード市場は売り手が少ない!? 30球団中25球団はポストシーズン圏内まで6ゲーム差未満

宇根夏樹ベースボール・ライター
ジョーダン・モンゴメリー(セントルイス・カーディナルス)Apr 29, 2023(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 今夏のトレード市場は、売り手が少ないかもしれない。

 6月18日を終えた時点における、各地区の順位は、以下のとおり。

筆者作成
筆者作成

 ア・リーグでポストシーズン進出圏内に位置しているのは、東地区首位のタンパベイ・レイズ、中地区首位のミネソタ・ツインズ、西地区首位のテキサス・レンジャーズに、ワイルドカード・レースの1~3番手、ボルティモア・オリオールズ、ロサンゼルス・エンジェルス、ニューヨーク・ヤンキースとヒューストン・アストロズだ。

 アストロズとヤンキースは、どちらも39勝33敗。今シーズンは、まだ一度も対戦しておらず、8月3日~6日と9月1日~3日に計7試合を行う。

 ナ・リーグは、東地区首位のアトランタ・ブレーブス、中地区首位のミルウォーキー・ブルワーズ、西地区首位のアリゾナ・ダイヤモンドバックスに、マイアミ・マーリンズ、サンフランシスコ・ジャイアンツ、ロサンゼルス・ドジャースが、ワイルドカード・レースのトップ3に位置する。

 他の17チームは、現時点ではポストシーズン進出圏外だが、地区首位とワイルドカード・レースの3番手、どちらからも6ゲーム以上離されているのは、5チームに過ぎない。オークランド・アスレティックス(26.5ゲーム差と21ゲーム差)、カンザスシティ・ロイヤルズ(16.5ゲーム差と19.5ゲーム差)、ワシントン・ナショナルズ(18ゲーム差と11ゲーム差)、コロラド・ロッキーズ(15ゲーム差と11ゲーム差)、セントルイス・カーディナルス(8.5ゲーム差と10ゲーム差)がそうだ。

 ア・リーグ東地区4位のトロント・ブルージェイズは、地区首位のレイズとは11ゲーム差ながら、ワイルドカード・レースの3番手に位置する2チームとの差は0.5ゲーム。ア・リーグ東地区でブルージェイズの下にいるボストン・レッドソックスも、後者の差は2ゲームだ。

 ア・リーグ中地区4位のシカゴ・ホワイトソックスとナ・リーグ東地区4位のニューヨーク・メッツにしても、2種類のゲーム差、地区首位との差とワイルドカードの3番手との差のうち、近いほうは5.5ゲームなので、極端に離れているわけではない。

 夏のトレード市場で買い手になるのか、売り手となるのかは、ゲーム差や順位だけで決めることではない――どちらかになる必要があるわけでもない――が、トレード・デッドラインが近づいても、このような状況だった場合、買い手が多く、売り手は少なく、需要が供給を上回ることになりかねない。売り手にとっては、有利な市場だ。

 それとともに、買い手と売り手という、基本的な構図に当てはまらないトレードが増える可能性もある。昨年の夏、ヤンキースとカーディナルスが成立させたようなトレードだ。ヤンキースは外野手のハリソン・ベイダーを獲得し、カーディナルスは先発投手のジョーダン・モンゴメリーを手に入れ、両チームとも地区を制した。ちなみに、当時の彼らの年齢は、28歳と29歳。2人とも、今シーズンが終わるとFAになる。

 今シーズンのトレード・デッドラインは、8月1日だ。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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